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かしこさラボ【分析編0:かしこさを再構築する】

◎かしこさを再構築する

これまで、賢さの構成要素を8回にわたって分析してきたが、「全体の因果関係の整理」がうまくいっていないという印象があった。

そこで自ら、PDCAサイクルのC/Aを行って、「かしこさ」の概念図を再構築した。ただ「シンかしこさ」で提示した概念図のほうが直感的で理解しやすいという利点は感じている。使い分けが必要だ。

①理性や感情と折り合いをつけながら

この「理性」を支える力が「語彙力と論理性」第1回)ということになる。しかし、「理性で感情をコントロール」することばかり重んじる傾向に疑問が生じて、「シンかしこさ」第8回)の提言を行ったわけで、前提条件は「理性や感情と折り合いをつけながら」という表現にした。

実際、心理学や行動経済学の有名な論理の多くが、追試(あらためて実証してみること)に失敗したとの記事が出ていた。理性を支える論理が有名だからといって必ずしも確かではなく、違和感があれば検証する必要があるということだ。学者も人間だ。

ただし、過去の記事で分散して扱った「集中力を高める」「覚悟を決める」「危機感をもつ」「緊張感と向き合う」などは、理性で感情をコントロールすることにあたるので、理性を軽視して良いということにはならない。

②論理的で計画的な実行と改善を行う

実は「行動力」第6回)を扱ったときに、そこに含まれる各論が多すぎて、行動の「開始と継続」という観点でしか書けなかった。計画・情報収集・分析・判断・実行・修正も全て「行動」に含まれてしまう。これは語彙の選択ミスといえる。

結局は、「情報収集能力」第3回)と「判断力」第5回)で扱った内容が、ここで必要な能力の主な要素と言える。上のチャートの「目標設定」から「軌道修正」まで全てに「能力」という言葉を足してやれば、必要な要素が細分化されて見えてくる。

また、これはPDCAサイクルそのものだ。ただし、このステップは組織で行うことが多く、全体を通して「コミュニケーション能力」第4回)の重要性が高い。情報化社会で、関わるコミュニティの種類や人数が爆発的に増えているなかで、この能力が更に重要視される傾向は感じる。「的確なコミュニケーションを行いながら、PDCAを回す」ステップと言ってもよい。

③結果としてのかしこさ

もちろん②の段階で意識されていなければ、この結果を勝ち取ることはなかなかに難しいが、偶然に獲得できたということも起こり得る要素だ。適当に走っていたらゴールについた、もともとスピードが速かった、化学反応の結果として新しいものが偶然できた、などである。

結果としての賢さは「正確性」第2回)だけではなかった。同じく第2回で「スピードの要素」として扱った「効率性」だが、むしろ因果関係は逆でここに含めてよい。そして、第7回で扱った「創造力」も、結果的に新しい価値観を生み出したことが賢さとして評価されることから、ここに含めた。

さらに改善すべき点が出てくるとは思うが、自分のなかでは因果関係の整頓は結構前進したと感じている。

◎まとめ

今後の教育に向けて必要な要素は以下のようなところか。

・PDCAサイクルは偉大かも
・コミュニケーション能力の徹底追及
・そのためにも感情と向き合う
・この時代の創造性って難しい

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★「かしこさラボ」実践編について

さて、次回からは「かしこさラボ」の実践編のスタートです。これまでの「分析編」で、賢さの要素はそれなりに理解できたとして、それを育むために実践としてどのようなことをすればよいのかに踏み込んでいきます。

残念ながら、自分の専門分野だけでは、時代に即した包括的な方法論を作りあげることが難しいからこそ、この探求を始めたので、いきなり「これが答えです」とお伝えすることはできません。

「今後の社会で求められる性質とは何か」を、帰納的に掘り起こしていく作業をこの実践編では行っていきます。目標としては、今年中に新しい教育の実践に必要な要素をあらかた掘り起こすことにします。

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(2022/8/26・改)

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