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プロジェクトマネージャ試験に独学で合格した勉強方法(合格体験記)

2023年10月のプロジェクトマネージャ試験に合格しました。
私は、2回目の受験で合格することができましたので、1回目の反省点も踏まえ、合格体験記として、勉強方法等をご紹介いたします。
私の体験が皆さまの一助になれば幸いでございます。

参考までに、1回目の試験結果は以下のとおり、午後Ⅱ通過ならずでした。
→ 午前Ⅰ:免除、午前Ⅱ:86、午後Ⅰ:72、午後Ⅱ:C

以下、合格論述・論文の記事を投稿しました。
ご興味ございましたら、こちらもよろしくお願いいたします。



1.プロジェクトマネージャ試験とは

プロジェクトを取り巻く環境変化やステークホルダの多様な要求に柔軟に対応しながら、プロジェクトを確実に成功に導くマネージャを目指す方に最適です。
 
■対象者像
高度IT人材として確立した専門分野をもち、組織の戦略の実現に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を単独で又はチームの一員として担う者
 
■受験資格 ・受験料
・年齢、学歴等に制限はなく誰でも受験可能
・受験料:7,500円(税込)

■試験時間・出題形式・出題数(解答数)
・午前Ⅰ 9:30~10:20(50分)
       多肢選択式(四肢択一)
     出題数:30問 解答数:30問
・午前Ⅱ 10:50~11:30(40分)
     多肢選択式(四肢択一)
     出題数:25問 解答数:25問
・午後Ⅰ 12:30~14:00(90分)
     記述式
     出題数:3問 解答数:2問
・午後Ⅱ 14:30~16:30(120分)
     論述式
     出題数:2問 解答数:1問

2.試験合格のメリット

プロジェクトマネージャ試験に合格することで、プロジェクトマネジメンに必要な知識や実践能力が身についているものとして国からお墨付きが貰え、企業によっては、報奨金の対象や昇格の条件になっています。
 
プロジェクトマネージャ試験合格者は、官公庁系システムの開発案件における入札条件になっているケースがあり、そのような案件に入札する機会が多い企業においては、特に歓迎される可能性があります。
 
プロジェクトマネージャ試験の合格者は、他の資格試験で免除される項目があり、将来的にこれらの資格取得を目指している方は、視野に入れておくとよいかと思います。

■試験と免除される試験内容
・中小企業診断士試験:第一次試験科目の一部免除
・弁理士試験:論文式筆記試験の選択科目(理工Ⅴ・情報)が免除
・技術士試験:第一次試験の専門科目(情報工学部門)が免除
・ITコーディネータ(ITC)試験:ITC試験の一部が免除される専門スキル 特別認定試験を受験可能

3.受験理由

IPAの試験は、20代の頃に基本情報技術者試験(2回目で合格)、ソフトウェア開発技術者試験(現:応用情報技術者試験、2回目で合格)、情報セキュリティアドミニストレータ試験(現:情報セキュリティマネジメント試験、初回合格)を受験しておりました。以降、久しくIPAの試験から離れておりました。

そうこうしている内に40代になり、他企業の方とも交流を深める中で多くの良い刺激をいただき、「久々に勉強してみようかな」という気持ちになったことが大きなきっかけになったと思います。

その後、2019年に情報処理安全確保支援士(初回合格)、2022年にネットワークスペシャリスト(初回合格)を受験を経て、未経験であった論文試験に挑戦しようという気持ちになりました。
加えて、自身の知識や経験の棚卸しと体系的な再整理を目的に、受験を決めました。上述のとおり、2022年の試験は午後Ⅱ論文が通過できず残念な結果となりましたが、2023年の試験で無事に合格することができました。

4.午前Ⅰの勉強方法

(勉強時間→10~15時間 ※免除のため参考目安)
  
正直、午前Ⅰは午前Ⅱ以降への注力を考慮すると、「免除」の権利を取得しておくことが望ましいです。
応用情報技術者試験・安全確保支援士試験・他高度試験の合格、または、他高度試験・安全確保支援士試験の午前Ⅰのみの合格により、合格後2年間は「免除」の権利を取得することができます
 
午前Ⅰから受験する場合は、過去問演習を中心に実施しましょう。
高度午前Ⅰはその回の応用情報の午前問題から30問を抜き出して作られるので、応用情報午前問題と問題範囲は同様となります。
よって、解説のついている応用情報の過去問対策サイトで直近5~6年分を
対策しておけば問題ないと思います。 


5.午前Ⅱの勉強方法

(勉強時間→15時間)
 
こちらも過去問対策サイトで直近5~6年分を対策しておきましょう。
ただし、2023年の試験では新問題がいくつか出題されました。
よって、答えだけを暗記するのではなく、「なぜそのような回答になるのか」を過去問対策サイトの解説を確認しながら体系的に理解するようにしましょう。午後に必要な知識定着にもつながるのでお勧めです。


6.午後Ⅰの勉強方法

(勉強時間→初回受験時(40~50時間)、2回目受験時(15時間))
 
過去問中心の学習で問題ないかと思います。
通称「みよちゃん本」と呼ばれる翔泳社 の問題集一冊で勉強しました。
PDFとはなりますが、過去問の解説も豊富で、私は、iPadMiniにダウンロードし、活用しました。
傾向として、平成31年度の試験から徐々に新技術・DX・アジャイル関連の問題が出題されていると感じますので、最低限、平成31年度以降の問題は実施しておいた方がよいかと思います。その他、本書で推奨とする問題を解いておけばよいかと思います。
 
高度試験初めての方は、以下のとおりフェーズを分けて解くことをお勧めします。高度試験が2回目以降等、長文読解問題に慣れている方は、フェーズ2から実施してもよいかもしれません。
 
■フェーズ1
最初は時間をかけてもよいので、全問解き切ることを意識し、解答後はじ っくり解説を読み込み、なぜそのような解答になるのかを自身に腹落ちさせましょう。例えば、平成31年度と令和2年度の6問を当フェーズで実施する等も一案です。

■フェーズ2
時間を図って解く「訓練」を行ってみましょう。
例えば、令和3年度から令和5年度の9問を当フェーズで実施することも一案です。

なお、私はiPadにGoodNoteアプリをインストールし、午後Ⅰ問題でつまずいた箇所を「標語集」のようなかたちで簡単にまとめ、振り返りに活用しておりました。


7.午後Ⅱの勉強方法

(勉強時間→初回受験時(30時間)、2回目受験時(20時間))
 
午後Ⅰと同様、翔泳社の問題集を活用しました。
加えて、当筆者のYouTubeや以下論文事例集を活用しました。

午後の最大の鬼門となる論文試験となります。
合格時の対策をとしては、後述の「初回受験時の反省点」の反省を踏まえ、論文テーマを自身が経験したプロジェクトを一つに絞り、自身でイメージしやすいかたちでエクセル表にまとめたことです。
具体的には、以下の要素を整理・可視化していくことで、プロジェクトを具体化していきました。特に、QCD(品質・コスト・納期=スケジュール)、人間関系テーマ(リスク含む)、事業環境変化への対応あたりを「具体的(定量的)」に整理しました。
理由は、QCDはプロジェクト目標の基本であり、人間関係テーマはプロジェクト課題の起点になることが多く、様々なテーマに膨らませることができると考えたからです。
事業環境変化への対応については、最近の流行り(VUCA時代)ということもあり、抑えておきたいと思いました。
 
・プロジェクトテーマ
・プロジェクト期間(工程ごとの期間も明記)
・プロジェクト予算(工数)
・プロジェクト体制(チーム編成、人数やリーダ・キーパーソンの定義)
・外部ステークホルダ(関係部署と役割、ステークホルダ登録簿を意識し、各キーパーソンの関与度も整理)
・外部ステークホルダ側に起因するリスク(要件定義の検討やレビュー参画機会が少ないことで要件定義が遅延し、プロジェクトが納期どおりに完了しないリスク等)
・過去問を活用した人間関係テーマ(「みよちゃん本」を参考)
 →情報システム開発プロジェクトにおける交渉による問題解決について(H19年問1)
 →システム開発プロジェクトにおける動機付けについて(H21年問1)
 →システム開発プロジェクトにおけるプロジェクトチーム内の対立解消(R3年問2)
 
■初回受験時の反省点
午後Ⅱ対策において、準備論文を作成することに終始してしまい、試験本番時に応用が利かない状態だったと考えます。 具体的には、PMBOK知識エリアのスコープ、品質、スケジュール、コスト、リスク等、それぞれに特化した内容で論文を準備し、複合テーマや違った角度からのテーマに対応できていませんでした。プロジェクトの背景やストーリーについて、登場人物を含め、しっかりと準備していれば、予期せぬテーマが出題されても応用がきくと思い、上述の対策につながっております。
 
ちなみに、私はサンプル論文の写経等は行っておりません。
一部実施されている方もいらっしゃいますが、写経より、論文骨子を「考えて」「構成する」方が自身の血肉になった実感がありました。

なお、一からプロジェクトマネジメントを学ぶ際は、以下書籍も参考になると思いますので、ご紹介します。

8.試験当日の状況・留意事項等

■前日と朝
1回目、2回目ともに午前Ⅰ免除でしたが、余裕をもって、前日は22時か23時頃に就寝、当日6時30分に起床のスケジュールとしました。
早起きの理由としては、試験会場には、余裕を持って遅くとも1時間から1時間半前には到着したかったためであり、電車遅延時にも速やかにリカバリできる態勢にしておきました。
朝ご飯は割としっかり目に食べ、コーヒーを飲みながら午前Ⅱの最終確認を行うことで、脳のウォーミングアップになりました。
 
■お昼
昼食は早めに試験会場に到着する場合は、近くのコンビニで購入することもありですが、私は前日に準備を済ませました。(カロリーメイトフルーツ味4本入り、トマトジュース、麦茶、チョコレート)です。

■試験中 
他の皆さんも記載しておりますが、高度試験区分は特に脳を使うので、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの前には必ずチョコレートを食べて糖分を摂取するように心がけました。
  
午後Ⅰは国語の試験という方が多いですが、1回目・2回目に受験した際もその要素は高く、「設問のヒントや答えは必ず問題文中にある」印象でした。(稀に、知識を問う穴埋め問題ありますが)
よって、自身の思い込みや根拠のない解答にならないよう配慮しました。 

午後Ⅱは月並みなことですが、問題文の「重要である」や「必要である」箇所に気を付けながら、題意を把握します。また、問題に記載されている例示(例えば、、、)は参考にしても良いですが、過去の講評でそのまま記載している旨指摘されたこともあるため、例示を参考にしつつ、具体的に(少し掘り下げて)記載するように配慮してください。
また、設問で問われていることには、一つずつ丁寧に論文に盛り込むように配慮してください。以下のとおり、副題として整理すると比較的抜け漏れなく盛り込めると思います。

以下はあくまで例です。副題内にさらに(1)(2)等分けることも有
 
1.設問1の主題
  1-1.設問1の副題1
  1-2.設問1の副題2
2.設問2の主題
  2―1.設問2の副題1
  2―2.設問2の副題2
  2―3.設問2の副題3
3.設問3の主題
  3―1.設問3の副題1
  3―2.設問3の副題2

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