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全国優勝するたった一つの方法

先週末日帰り温泉に行って、風呂上がりにぼーっと牛乳を飲みながらテレビを見ていたらジャンクスポーツが流れていた。「スポーツ強豪校特集」みたいな番組だったのでつい昔の話を思い出してしまった。

私は昔、かなり本気でバドミントンをしていた。
そして30も中盤に差し掛かり、選手から指導者になった友人とたまに近況報告するのだが、強豪校の仕組みが時代に追いつかなくなってきているらしい。

スカウト力 

実は強豪校の指導者が成功するために最も必要な能力は、
「競技を教えること」ではない。
それは「スカウト力」である。

指導者の成功は全てこれで決まる。いくら身体能力の高い素人に素晴らしい指導をしたところで高校3年間では経験者に勝つことは難しいので、ジュニア(中学生)時代からの強い選手をかき集める事になる。

全国大会は品評会

この前も全中(中学生の日本一を決める大会)があったが、中学校で教えている友人がこうボヤいていた。

「高校の先生が体育館のそこら中で名刺を渡しては頭を下げてる。結果だけ見て試合なんか見ちゃいないんだよ。」

つまり、大会は競走馬の品評会で実績のある馬を買い付けに来ているのだ。最近はお金で買うわけにはいかないから実績や練習体制でアピールし、時にはバーター取引(1人の強い選手に2~3人の補欠選手がくっついて一緒に入学する制度)を中学校の指導者へ持ちかけている。

練習環境を整える能力

スカウト力に付随して大切なのが、練習環境を整える能力だ。

私がやってきたバドミントンという競技は、究極的に言うと自分より上手な人とやれば上手になるスポーツだ。ある一定のレベルまでは環境に勝る指導方法はない。

だいたいインターハイでベスト4くらいまでは、身体能力と中学の時の競技実績があれば行くことができる。大学生やプロの早いスマッシュや長いラリーに慣れてくるので、中学時代に全国大会で活躍した選手は自動的に高校生になっても環境さえあれば伸びる。

なので実業団チームに連れて行ったり、OBの大学生を呼んだり、よその強豪校と練習試合をたくさんしたり、海外遠征に行ったりと、とにかくコネを使って強いプレーヤーとたくさん試合ができる環境を作る。入学したら強い先輩がいるのも強豪校の有利な環境の一つなのだ。

スポーツ強豪校の宿命

スポーツ強豪校の指導者が求められるものは「結果」だけである。スポーツ強豪校は全国大会で優勝してオリンピック選手を輩出して、願わくば金メダリストが卒業生から生まれ、それによって学校名が世間に認知され受験者数が増えるのを狙っている。

スポーツ強豪校の指導者は絶対に結果を出す為に、ある程度確立されたアプローチの仕方で勝ちにいく。いきなり「超オレ流メソッドこれ一本で全国優勝します!」なんて言う無謀な賭けに出ても結果が出ないと3年したらクビになるからだ。

勝ちのサイクル

スカウトして、環境を与えると強い生徒が集まった年は優勝ができる。その結果を見て中学生の親たちは「あそこにいけば強くなれる!」と思いまた強豪校に選手が集まり、5連覇や10連覇などと言う素晴らしい実績が出来上がる。そうしているうちに時代の新陳代謝が起き、フレッシュなニュー指導者が新たな人脈を提げて登場し、新しい強豪校が同じ手法で出来上がる。ウルトラCはない。

これがスポーツ強豪校の正しい作り方である。
自分の部活を強くしたい指導者はぜひ参考にしてください。
私は全くお勧めしませんが。


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