田児のYouTubeが未来を変える
※この記事はバドミントンのことしか書いておりません。バドミントンをしない人にはなんのこっちゃわからん記事です。
田児がユーチューバーとして大成功している。
田児賢一と言えば近代日本バドミントン界で初めて世界に通用した日本人プレーヤーだ。そして、何を隠そう僕の後輩なのであるエヘンッ!←一番ダサい自慢。。
僕と彼との関係性だけ説明しておくと、僕が高校2年生の時、彼は同じ系列の付属中学校に入学してきて、2年間だけ一緒に練習をしていた。当時は高校生と中学生の練習場所が違ったので滅多に羽根を交えることはなかったが、一緒に練習をする時は休憩時間にヘアピン勝負を申し込まれた記憶がある。
ついこの間まで小学生だった変声期前の田児に、僕は一度もヘアピン勝負で勝てなかった。そのうち、あまりにも弱いと思われたのか勝負は申し込まれなくなり、代わりにクロスヘアピンの打ち方とかネットインしてきたヘアピンをどう打ち返すかを一緒に実験していた、というかほとんど教えてもらっていた。
彼は技術に対して並外れた探究心があり、常に技の事を考えている珍しい中学生だった。
その後の彼の活躍は目を見張るものがあり、僕が大学生になった頃にはすっかり遠い存在のスター選手になっていたので、高校卒業以来15年近く言葉を交わしたことはない。
動画で学ぶバドミントン
時は経ち、すっかりおっさんになった僕は、数ヶ月に一回しか羽根を打たなくなった。しかし最近田児のYoutubeを見出してからは、田児が解説していた打ち方を試してみたくなり、体育館に足を向ける頻度は前よりも多くなった。
彼の動画を見ていると、20年前に知っていればよかったと思うことがたくさんあるのだ。
例えば、彼曰くバドミントンはリスク回避のスポーツである、と言っていたが確かにその通りだ。豪快なスマッシュを100本決めても101本ミスをすれば負けるのだ。僕は現役時代、完全に「バドミントンは決めに行くスポーツじゃい!」系サメの脳みそプレーヤーだったので、相手のミスを待つという思考がなかった。
調子の悪い時に自分のやりたいことをしてはいけない、も目から鱗発言だ。そう言えば僕はうまくいかない時ほど自分のプレーをしなきゃ!と思ってよりドツボにハマる、悪い流れを修正できないタイプの選手だった。
技術的な動画はさらに役に立つ。ハイバックやヘアピンの打ち方はすごくわかりやすく説明されている。と言うか、もっと早く知りたかったぜ。
もし僕が子供にバドミントンを教えるのなら、最初の30分はiPad でTago Kenチャンネルを見せると思う。
田児が言うから意味がある
田児がユーチューバーになった事で、日本のバドミントンのレベルは確実に上がるはずだ。
結局世の中は、何を言うか、ではなく誰が言うか、だ。
田児が話すことは「田児が話すこと」によって説得力を帯びる。同じ事を僕が言っても誰も聞いてくれない。
少なくとも僕の周りでバドミントンをやっている人間はほとんどみんな、彼の動画をチェックしている。すごい影響力だ。
そして田児のYouTubeチャンネルは、実はスポーツ界の構造を変える可能性を秘めている。
インターネットが地域差をなくす
今までのスポーツ指導の構造はこうだ。
それぞれの地域に情熱のある指導者がいて、子供達にバドミントンを教えている。ほとんどがボランティアだ。
当然指導者にはそれぞれスタイルがあり、技術を伸ばすことを第一に考えている人、体力づくりが大切だと考えている人、楽しくやる事をポリシーにしている人など、実に様々だ。
そして技術力に関しては、伝統と実績のあるクラブや学校の選手には敵わない、と言う風潮がある。先輩やOBから教えてもらったり、実際にその技術を見て学べる環境こそが、スポーツ技術伝播の条件なのだ。
例を挙げると、僕は山形県大会で優勝して満を持して埼玉の高校に進学したものの、しばらくは埼玉県の中学生に勝てなかった。さらに高校生の頃に青島に海外遠征に連れて行ってもらったが、日本で三番目に強い僕の先輩(高校2年生)が中国の小学生に負けていた。(それが後のリオ五輪金メダリスト諶龍だったらしい。。)
それくらいスポーツは地域やクラブによって実力差が出る。
しかし今は、田児がYoutubeで世界レベルの技術を惜しみなく披露している。しかも解説付きで。
Youtube上では世界トッププレーヤーの試合は無料で見ることができる。
スマホで自分のプレーを撮影してその場でチェックすることなんて今では誰でもやっている。(おじさんの頃は親に頼んでビデオカメラを回してもらってたんだよ、って言う話をすると大いに嫌われるのでやめておきましょう。)
ちなみに昔スタイルの強豪校の作り方は前に書いたので、興味のある方はどうぞ↓
未来予想図
ここからは僕の希望を含んだ未来予想なのだが、将来的には地域にとらわれない優秀な選手が現れると思う。
オンラインで世界トップクラスのプレーを学べるのだから、山形みたいなバドミントン弱小地域に住んでいても技術の習得は可能だ。そうすると今までは伝統あるクラブや環境の整った地域から強い選手がたくさん輩出されてきたが、これからは聞いたこともないような学校の選手が、突然試合会場を席巻することが起こるだろう。
それから、企業に所属しないトッププレーヤーも出てくるかもしれない。
今は高校→大学→実業団が一般的なトッププレーヤーの進路だが、そのうちYoutubeで金を稼ぎながら世界を転戦する選手や、海外のチームに所属する選手なんかが出てきても面白い。全部田児が開いた道だ。
田児のYoutubeをきっかけに、所属場所による競技力の差異がなくなる可能性がある。
「田児さんのYoutubeを見て強くなりました!」みたいな選手のインタビュー記事を読むのも、そう遠くない未来かもしれない。
ちなみに今、田児のチャンネル登録者数は6.4万人だ。日本バドミントン協会の登録人数は30万人。まだまだ伸び代がある。しかも再生回数20万回超えの動画が続出!単純に日本のバドミントン人口の2/3が見ていると言うことだ。(実際は何度も見返している人がいるはずで、それはそれで価値がある)
と言うことで、今後もいちファンとして動画を楽しみにしています。
バックハンドの打ち方教えてください。
田児賢一のYouTubeチャンネル