【集客施策】B3クラブが2日で13000人呼んで分かったこと
2023年1月14-15日に有明アリーナで行われた「B3リーグ第14節 #SUNTORY Presents 【TUBC fes】 New Year Home GAME 2023 ~ #有明祭典~ 東京ユナイテッドBC vs 金沢武士団」においては、初日は5384名、二日目は8008名のお客様にご来場いただきました。
今回もTUBCが行なった集客施策について、今回も備忘録的に書き綴っていきます。
2026-27シーズンからBリーグは将来構想として、大きく生まれ変わる予定です。特に各チームにとって平均入場者数は最もセンシティブな問題になってくると思います。
勝敗関係なく、観客者数で昇格等が決まることになるので、どうなるのか、、、
そんな状況の中で各種スポーツチーム・団体の参考になって、日本スポーツ界に貢献できたら幸いです。
反響を呼んだホーム開幕戦
東京ユナイテッドBC(以下、TUBC)は2022年10月に行われたホーム開幕戦では、当時のクラブ主管試合でB1リーグの記録を上回る9295名の方にご来場いただき、かなりの反響を呼びました。
その際のnoteはこちら▼
多くの方にご連絡いただき、お話させていただく機会もあり、私自身も多くのことをさらに学ぶことができました。ありがとうございました。
その中で、ホーム開幕戦のあとはどうですか?という質問を多くいただきました。
開幕戦後のTUBCについて
観客動員数推移は下記となります。開幕2試合で17000人以上入りましたが、その後は平均330人でした。
全然入っていないじゃん。と思われるでしょう
平均330人という現実
なぜ、そんなことになったのか?
開幕戦では1.5万人収容の有明アリーナ(メイン)での試合でしたが、その後は約500人収容の有明アリーナ(サブアリーナ)と、約300人収容の有明スポーツセンターという会場の問題があります。
有明アリーナ(サブ)での試合の土日開催は様々な戦略で完売に近い状況でした。
※金曜日開催の集客は非常に難しかったです。
キャパを考えたときには、この数字になるのは致し方なかったと言わざるを得ません。
ファンに向けてやってきたこと
10-12月の試合のテーマではそれぞれHALLOWEEN DAY、UNITED BLUE DAY(アリーナを青に染めろ)、BLUE RABBITS DAY(ファンクラブデー)、CHRISTMAS DAYとして、TUBCがどんなチームなのか、どう応援してほしいのかなど、ファンとコミュニケーションを取りながら、創り上げていきました。
TUBUはファンサービスが良いよね、応援面白いよねと思っていただけるようなチームを目指しています。
ここは選手たちが非常に協力していただけるので、ありがたいです。
【TUBC fes】有明、祭典。
ホーム開幕戦のときは、シーズン前ということで2022年6-7月からホーム開幕戦に向けて全力集中して集客施策など様々な準備をしていました。
※有明アリーナが開業前であること、TUBCにとっても初めての試合だったのでめちゃくちゃバタバタしていましたw
今回は、シーズン中ということで約2週間に1回ある通常のホームゲームの集客、企画準備を行ないながら、1月のメインアリーナでの興行の準備も並行して進めなければならないというかなりハードワークでした。
今回の集客施策方針
ホーム開幕戦では、とにもかくにもTUBCの知ってもらうために無料招待で有明アリーナに来てもらうことを大目標に招待を進めていました。
今回の試合は、個人的には
TUBCはこんなチームであると中身を知ってもらうこと
有料顧客を増やしていくこと
でした。
※最多入場者数を更新目指していませんでした
(ただし、前週でアルバルクさんに抜かれて悔しくなりました笑)
今回の試合テーマを「有明、祭典。(TUBC fes)」と提案して決まりました。
クラブ理念でも「フェスとして様々な人が集まり、共に楽しめる空間を作っていきます。」ということを掲げていて、それを体現する場として設定しました。
また、江東区はお祭りが盛んな地域でもある中で、近年はコロナで中止となっていたので、少しでも地域を盛り上げたいという気持ちもありました。
TUBC fesの体現
本当に超少人数で企画から実行までやり切りましたが、開幕戦の反省点も踏まえつつ、多くの人にバスケ以外でも楽しんでもらえるコンテンツを用意しました
フードパーク:2日間で計12台のキッチンカーを用意
スポーツパーク:バスケシュートチャレンジ、車いすバスケ体験会、東京ユナイテッドFCによるキックターゲット
アートエリア:アートパラ深川作品の展示、ファンが撮影した写真(TUBC PHOTO)の展示
キッズエリア:塗り絵
結果としては、すべて大成功だったのではないでしょうか。
ダイバーシティの体現
TUBCのクラブ理念のひとつに「ダイバーシティの尊重」があります。
それを体現するための招待施策も企画していました
地域の子どもたちの招待
ウクライナ難民の招待
車いすや障がいを持つ子どもたちの招待
経済的な事情を抱える親子の招待
特にウクライナ難民の招待とNPO法人AYAの子どもたち招待企画は完全ソロプレーで動いており、ウクライナ人には英語と1ミリも分からないウクライナ語をグーグル先生を用いて、メール連絡して来てもらうというドキドキ・ハラハラの展開でしたが、計60名以上の方々に来ていただき感謝のメールもたくさん届いて、やってよかったなと思う施策でした。
TUBCファッション
NBAチームがよくやる会場入りの私服写真の撮影をやり、こちらもかなり反響がありました。
齋藤選手の着物には度肝を抜かれましたw
そのおかげもあり?有明ガーデンの無印良品さんとのコラボファッションの取り組みもできました。
ありとあらゆるところがコンテンツになり、営業やプロモーションにもつながるなと改めて思いました。
地域を巻き込んだゲスト
ホーム開幕戦では、ウンパルンパ氏に応援団長、車いすバスケの香西選手、豊島さんにゲストとして来場いただきました。
今回は、深川福住太鼓と江東区砂町小学校鼓笛隊に各日演奏いただきました。
これも結果としては、かなり反響があったこと・会場の雰囲気も非常によかったです。
地域の子どもたちは正義でした(笑)
プロポーズ大作戦
TUBC fesとは関係ないですが、2日目の試合後にアシスタントコーチの竹内さんが公開プロポーズをするというサプライズ演出がありました。
選手はほぼ知らない状況で、限られたスタッフのみが知るというシークレットプロジェクトでした。
内輪ネタの茶番になるかも、負けたらどうしよう、暗転演出はやめた方がいいのでは、、、などなど議論がありましたが、一世一代の竹内さんのプロポーズに花を添えるために全力でやり切ろうと試合数日前に決まり、見事に最高のプロポーズとなりました。
日刊スポーツWEBのトップを飾る偉業も達成しました。
※バスケネタでトップになることはほとんどないそうです。
29万インプレッションも獲得し、かなり反響がありました。
さらに、フジテレビのS-PARKでもプロポーズの様子が取り上げられました。
13392名を集めた集客施策
開幕からこの試合まで、そして試合のことを先に記載しましたが、B3リーグで3部のチームがどうやってまたこんなに人を集めたのか
我々はホーム開幕戦で「地上戦と空中戦」の勝負を仕掛け、ある種成功を収めました。
基本的には同じ戦略を取りました。
そこに、今回いくつかのアップデートを含めて戦略を取っていきました。
①4区への学校招待
ホーム開幕戦では江東区の区立小中学生36000人への招待でしたが、今回は江東区に加えて、文京区・中央区・台東区の小中学校に配布させていただきました。
江東区が拠点ではあるものの、地域を広げた活動も必要ということで4区にご支援いただき、子どもたちを招待する施策を取りました。
各自治体・教育委員会の皆様にご尽力いただきありがとうございました。
②区報招待
江東区26万世帯と文京区12万世帯に配布する区報に掲載していただき、招待を行ないました。
③今回も怒涛のマンション招待
近隣のマンション25棟17497世帯へのダイレクトポスティングと、有料ポスティング9.5万世帯に行いました。
エリアセールスのAさんと数名のスタッフで17497世帯に直接ポスティングをする施策では、1.7万人のうちかなりの人が申込を行なってくれました。
タワーマンションで、ポスティングするまでのハードルがある&家族層が多いという条件がこのパーセンテージを作っていると思われます。
④SNS招待施策
開幕戦で効果があったインスタグラムとフェイスブックの広告による無料招待も試合1週間前の直前のタイミングで行いました。
約1週間で11万インプレッションで1538枚の配券がありました。エリアを有明アリーナ周辺でターゲティングを変えながら行いましたが、少ないコストでかなりの効果を出すことが証明できました。
⑤開幕戦に来場していた方へのリタゲ
開幕戦のnoteで記載したようにファンクラブ・チケットシステムは弊社独自で開発したシステムです。
顧客データを自社で管理しているため、ダイレクトマーケティングを行なうことができます。
開幕戦に来場した人の中で今節のチケットを持っていない2548名に対してメルマガ配信をして、招待施策をしました。
この辺の施策は弊社のスクラッチ会員システムだからこそ簡単に出来た施策と言えます。
⑥アップデート戦略
①〜⑤で無料招待をしていましたが、その無料招待していた3000組以上のターゲットに対して、有料顧客を増やすために席にアップデート提案のメールをしていました。
●コートサイド指定席へのアップグレード(特別優待割引によるご案内)
大人:定価 3,000円 → 1,500円
子供:定価 1,000円 → 無料
その効果もあり、最終的には1000席弱のコートサイド指定席は完売となりました。
⑦勝利割スペシャルキャンペーン
前日段階で「スタンド自由席」しか余っていないということもあり、勝利したら思い切って大人500円、子ども無料という戦略を取りました。
勝利が確定した瞬間にチケット担当に値段を変更してもらい、1万人いるLINEとTwitter告知、試合後のインタビューで話すチームオーナー家本に告知してもらうという戦法を取り、200−300人を追加で来場してもらうことに成功しました。
Twitterのフォロリツキャンペーンも同時に走らせ、瞬間風速的に知ってもらう施策を試合前日金曜に思いついて、実行にたどり着きました(笑)
今回の試合で分かったこと
イベント企画は重要なのか?
マンション施策は11月ごろから動いていて、ある程度の数字を作ることは出来ていましたが、やはり直前2週間でかなり配券の動きがありました。
年末年始を挟み、冠スポンサーとなっていただいたサントリーとの告知の調整にかなりの時間を要し、有明祭典としての告知は8日前の1月6日でした。。。
この日から、私が得意の?一週間以上毎日投稿でインプレッションを高め、試合の認知と向上感を煽っていくマーケティング戦略を取っていきました。
ちょっと矛盾した話にもなりますが、それまで約1週間前まで試合情報がほぼ全くなかったわけですが、それでも多くの人は試合に来てくれることが分かりました。(当然最後の1週間でチケットの配券は伸びましたが)
それだけ、バスケ・エンタメに興味を持っている人がいるということの裏付けでもあります。
これはうれしいところでもありつつ、企画をする立場としては悲しいところもあるといった気もしますw
ゲストは不要?
いまのバスケ界では、アルバルク東京さんがマツケンサンバを呼んだり、著名なアーティストやYouTuberなど盛り上げ役・集客ツールとして呼んでいますが、これは本当に効果があるのか、かなり疑問があります。
マツケンサンバのUGC効果は半端さなそうでしたがw
ゲストを呼ぶのに、数十万~数百万円かかるなかでそのコストを懸ける必要が本当にあるのか、チームとゲストに親和性がある人を呼ばなければ効果がないと私は思っています。
逆に、親和性があるゲストが来ると最高ですw
その親和性を生み出すところから作り出すことが腕の見せ所になりますね。
ベガルタ仙台の応援歌をゲストの氣志團が逆カバーという最高の展開はムネアツです。
UGCを増やしていくことの重要性
現在のマーケティングで最も重要視されている項目の一つがUGCです。
UGCとは、「User Generated Content」の略で「一般ユーザーによって作られたコンテンツ」のことです。要は口コミです。
数千人が来場し、全員が各SNSで試合の様子をアップしてくれれば、数百万インプレッションを獲得できることになります。
TwitterやInstagramを見ていても観客数が多いこともありますが、メインアリーナでの試合は本当に投稿数が多かったです。
投稿写真で多かった順で言うと(分析ツールは使ってません)
会場全体写真(自撮り含む)
選手写真
チア写真
ユナイト
ウェルカムボード
その他コンテンツ写真や有明アリーナ
バスケ好きの方は一眼カメラを持っている方が非常に多いです。
映える演出が多い、選手との距離が近いなどいくつか要因があると思いますが、これはバリューなので、もっと生かしていかなければならないです。
TUBCPHOTO企画として、今まで撮った写真をSNSにアップしていくという企画を今回は考えましたが、メインアリーナでの試合はそれだけで映えるので、投稿数が多いですがもっと観客を巻き込んだ施策や演出を考えていきたいです。
【まとめ】バスケのポテンシャルはこんなもんじゃないだろ
B3リーグでありながら、今回も2日間で13000人以上に来場いただくことができました。
J1リーグの2022年度の平均観客数は14328人でした。
一方のB1の2021–22シーズンの平均観客数は1983人。
約1/10です。
私はずっとサッカーを観てきて、バスケのことは一切分からなかったですがサッカーに負けないくらい面白い競技です。
特に現代のSNS進化によって、サッカーは90分が長い、試合をずっと見れないといった人が増えている中で、バスケはテンポ良く点が入り、アリーナスポーツとしてコンテンツも充実しています。
それなのになぜ観客数は1/10なのか
ここはバスケ関係者全員が危機意識を持つべきです。
バスケ日本代表の活躍、八村選手や渡邊選手のNBAでの活躍、スラムダンク効果などバスケニーズは爆発的に上がってます。
そのことは開幕戦含め今回の集客をしてみても本当に感じたことです。
バスケを会場に観に来てもうためには、他のエンタメはもちろん、Netflix、YouTubeといったネットコンテンツと競合になります。
可処分時間の奪い合いの中でどうやってバスケに時間を割いてもらうのか
もっともっと価値を向上させて、リピートして来てもらうためのことをしなければなりません。
個人的には日本バスケ・Bリーグに対して、色んなところで思うことがありますが、(下記有料コンテンツに書きなぐってますw)興味がある人は是非直接お話しましょう笑
TUBCが固定概念崩して色んな挑戦をしていけたらなーと思ってます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ちょっとでも参考になった、頑張ったねと思っていただけたら、スキ♡をお願いします!
※有料部分は削除いたしました。