優しさと辛さの狭間で。
いつだって、どんな時だって、
前向きに、明るく陽気に
笑顔で振る舞ってくれる
励ましてくれる女性がいます。
甘えでしょうか、
つい、その強さに
敵わないことが重荷だと感じ、
私には出来ない
君だから出来ることなんだ
と、
優しさを振り払ってしまうことが
私は、あります。
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「お金のことは、
なんとかなるよ!
そうだ、わたしたちの
あの マンション
あれを手放せば、
お金になるんじなゃない?
だって、大丈夫だよ」
「なんで、
そんな簡単なこと言えるんだ?」
「え?」
「なんで、そんな、
前向きでいられるんだよ
義理の親父が、
バカやって騙された金だぞ
愚痴の一つも言ってくれよ
俺、由梨子に迷惑かけっぱなしじゃん」
「そんなこと…」
「文句を言えよ
何やってんだよって、
もっと呆れてくれよ
俺は、1ヶ月もしないうちに
由梨子と同じ仕事はずされたんだぞ
なんで そうなるんだ! って、
ダメな人間だって、
そう言えよ」
「ダメなことない、
呆れるわけ無いじゃない
だって私のは恭一さんのこと…」
「頼りにしてる?
え? ん?
ほんとに頼りに
してんだったらさ
なんで鳥谷のところに
頼みに行ったりするんだよ?」
「ごめんなさい…
鳥谷さんのことは…」
「誰が頼んだ?
なんで、俺に相談しないんだよ
なんで、自分一人で勝手に動くんだよ
何もかも、俺が頼りねえからだろ」
「嫁に当たるんじゃねえよ
小せえ男!」
「あぁ、そうだよ、小せえ男だよ
由梨子に敵うものなんて
一つもねえよ
「ずっと、そんなふうに
思ってたの?
…
もう、おしまい!」
「………」
「もう、ケンカは終わり、
みんな、言いたいこと言ったし
さぁ、ご飯にしましょ
いつまでも片付かないから
ほら、早く、みんなが
食べないんだったら
私かぜ〜んぶ食べちゃいますからね
(TVドラマ『早海さんと呼ばれる日』より)