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3年ぶり!YOSAKOIソーラン祭りに本気で挑戦 【週刊新陽 #63】
今年、札幌の6月の風物詩『第31回 YOSAKOIソーラン祭り』が3年ぶりに開催されました。(開催期間:6月8日(水)〜6月12日(日))
高知県のよさこい祭りをルーツに、よさこい祭りの鳴子と北海道の民謡・ソーラン節をミックスして1992年に誕生したYOSAKOIソーラン祭り。大通公園を中心とする市内各所がステージとなり、様々な衣装を身にまとった踊り手たちが演舞を披露します。
今年は規模が縮小されたとはいえ、YOSAKOIの再開を喜ぶ大勢の人で街中が躍動。祭りもクライマックスに向かう6月11日(土)、新陽高校1年次230名が全力で踊りました!
今週の週刊新陽は、YOSAKOIに本気で挑戦する新陽生そして先生たちの記録です。
3年分の新陽ソーラン
新陽高校の生徒がYOSAKOIソーラン祭りに出場させてもらうようになったのは2017年。当時の荒井校長の「新陽の1年生全員でYOSAKOIソーラン祭りに出場しよう!」という一言ですべてが始まりました。
以来、1年生が入学すると体育の授業を中心に南中ソーランの練習が始まり、6月の本祭を目指すのが恒例となりました。
2017、2018、2019年と出場し、1年生で経験したあとの2・3年生が有志でYOSAKOIチームを作るほど新陽に根付いていましたが、2020年はコロナ禍でお祭りが中止。秋に延期されるという話もあり、最後まで諦めず練習を続けたものの結局、本祭が行われることはありませんでした。
続く2021年は私が校長になった初年度。伝統の新陽ソーランを楽しみにしていましたが再度中止になってしまいました。10月、学校のグラウンドで保護者や法被デザインでお世話になった平取町の方々が見守るなか、全力で演舞した生徒たちの姿には勇気と感動をもらいました。
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保護者のほか平取町の方々も来てくださいました。
「悔しい思いをした現2・3年生の分まで、今年の1年生には最高のYOSAKOIを経験してもらいたい!」
入学した生徒たちを迎える新陽ソーラン担当の先生たちも気合が入ります。
4月、さっそく始まった練習を覗きにいくと「あらら?本番まで2ヶ月切ってるけど大丈夫・・・?」と言いたくなるような雰囲気。
自らリーダーに立候補しヤル気十分の生徒たちでもなかなか振付が覚えられなかったり、体育の授業ではふざけたり後ろの方で座り込んだりしている生徒もちらほら。
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それでもGW頃にはみんな振りが身に付いて、やっと形になってきました。
『青藍』『群青』『紺碧』という今年の3チームそれぞれのステージ演舞用フォーメーションも決まり、練習にも力が入ってきました。
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いよいよ本祭まで2週間を切った頃、リーダーの生徒たちや担当の先生たちに緊張感が漂い始めます。「全力で最高の演舞に仕上げたい!」という気持ちと「時間が足りない。もっと練習しなくては!」という焦りが交錯。
その熱意に動かされ、様々な教科の先生たちが授業時間を提供してくれることになりました。通常の授業を潰して練習するなんて、と思う方もいるかもしれませんが、生徒たちの集中力を見たらそんな心配は吹き飛びます。そこにはある意味、授業以上の学びがあり、今この瞬間にしかできない経験をした生徒たちは確実に成長したと思います。
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やれることは全部やった!
YOSAKOI 完全燃焼!!
そして迎えたYOSAKOIソーラン祭り当日。
この日の様子については、法被のデザインにもずっと関わってきた細川先生が学校HPやSNSで6月12日に発信してくれた文章が素敵なので、そのまま引用させていただきます。
***
〜本気で挑戦する人にしか見えない景色に向かって〜
昨日、新陽高校の1年次は、第31回YOSAKOIソーラン祭りに参加しました。
コロナ禍において2年間、中止となっていた大通公園での本祭。
3年ぶりの実施となり1年次の生徒たちは、入学式からここまで準備を進めてきました。
時には意見をぶつけ合い、
時には仲間と励まし合い絆を深め、
本気で挑戦する人にしか見えない景色に向かって
230名の生徒が2ヶ月間 進んでいきました。
そして昨日。
本番を迎えました。
街が祭り一色になる中、
お揃いのSHINYO法被を着た生徒たちが
「青藍」「紺碧」「群青」の3チームに分かれ、
大通公園西8丁目会場
道庁赤れんが広場会場
JR札幌駅南口広場会場
の3会場で演舞を披露しました。
演舞に向けては、生徒や保護者のボランティアスタッフがサポートをしていただき、トラブルなく進行することができました。
そして迎えた最後は、
3チーム合同での大通パレード。
昨年、一昨年と本祭に参加することができなかった在校生や、新陽高校の卒業生もかけつけ、1年次の応援をしてくれました。
地方車の上には怪我で踊れなかった生徒が上がり、
仲間に声をかけます。
先生方も生徒たちを全力で支え応援をしてます。
多くの人たちの想いを受け、
新陽高校1年次の生徒たちが札幌の中心で演舞をしました。
声を合わせ、全力で踊り、満面の笑顔で、
生徒たちは完全燃焼しました。
こうして、今年度のYOSAKOIは幕を閉じました。
6年前、初出場をしてから新陽高校の伝統行事となり、ここ2年間は中止に。
生徒も教員も悔しい想いを抱き続けてました。
念願の出場を果たした昨日、
生徒たちは、満面の笑顔で達成感を味わい、
仲間と教員と喜びを噛み締めてました。
「頑張ってよかった」
「本気でぶつかってよかった」
新陽ソーランを通して仲間と協働する大切さ、
本気で挑戦する経験を得ることができました。
生徒にとって、とても大切な1日となりました。
最後になりますが、
3年ぶりに実現に向けて、支えていただいた保護者の皆様、生徒ボランティアの皆様、そしてYOSAKOIソーラン祭り組織委員会の皆様、
ありがとうございました。
また、応援をしていただいた皆様、
たくさんのご声援や応援メッセージ ありがとうございました。
そして生徒の皆さん、
この2ヶ月間、お疲れ様でした。
本気で挑戦する人にしか見えない景色は見ることができましたか。
今回の学びを活かし、これからの新陽高校の学びを充実させてください。
***
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本気で挑戦した人だけが見える景色
週明け、まだYOSAKOIの興奮冷めやらぬ参加メンバーから話を聞くことができました。
まずは生徒リーダー3名の感想です(聞き手は小崎先生)。
『本気で頑張ってきた分、やった後の達成感をものすごく感じる』
最初は、自分にできるのか不安でした。考えることがいっぱいだったし、最初は誰も話を聞いてくれなかった。たぶん、YOSAKOIをつまらないとかやりたくないという気持ちが強かったのかなと思います。でも、練習を積み重ねていくうちに興味を持ってくれました。
リーダー同士協力し合って、どうしたらみんなにうまく伝えられるかを考えて取り組んできました。徐々にみんなも協力してくれるようになり、当日はみんな全力でめちゃくちゃ笑顔で踊ってくれて、最後には理想の形になれたことがとても嬉しかったです。本祭後には、みんなから「愛菜がリーダーでよかった」と言ってもらって感動しました。
YOSAKOIが好きでリーダーに立候補し、たいへんなこともたくさんありましたが、リーダーをやってよかった!と今は強く思っています。
(『青藍』リーダー:渡部愛菜さん)
『YOSAKOIリーダーをやったからこそ、多くの人と関わり仲良くなれた』
新陽高校を志望した理由はYOSAKOIに出場できるから。小さい頃から毎年見に行っていて、YOSAKOIの迫力や衣装の美しさなどに興味がありました。新陽ソーランに挑戦したいと強く思い、リーダーをやろうと決めました。入学した頃は人と馴染めず、最初はみんながついてきてくれるか心配だったけど、最後までやり切れたことに喜びを感じています。
放課後、群青はほぼ毎日練習をしていましたが、最初は来てくれる人が限られていました。そこで、参加してくれている人に協力してもらい、みんなに声かけをして、ほぼ全員が参加してくれるようになりました。
当日は全員にミサンガを作っていきました。みんなが一致団結し、本番も今まで以上に揃っていて、後から動画を見て感動しました。群青の人たちもみんな楽しかったと言ってくれてうれしかったです。いろんなことがありましたが、今はリーダーをやって本当によかったと思います。
(『群青』リーダー:澤村澪奈さん)
『どんな時も客観的に視野を広げていけば、自分自身の成長につながる何かが見つかる』
最初は強いまとまりはなかったのですが、本番に近づくにつれてチームの団結力が強くなっていき、最終的には3チームの中で最も良い演舞ができたんじゃないかと思っています。
リーダーになったのは、まず入学したら何かをやりたいと考えていたのがきっかけです。何か行動を起こして学年で人と関わりたいと思い、そして人と関わる中で自信をつけ、自分のスキルアップ向上を目指したいと思いました。
2ヶ月リーダーをやらせてもらって、スキルアップはもちろんのこと、多くの人と関わることによってリーダーとしての能力が発揮されていったのではないかと感じています。また、自分の成長だけではなく、チームの成長に繋がったと強く思います。
(『紺碧』リーダー:加藤響さん)
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最後に、先生たちからも2ヶ月頑張った生徒たちへメッセージ。
入学していきなり「YOSAKOIソーラン祭りに出場する!」と言われて戸惑った生徒も多かったはずです。それでも、リーダーを中心に授業時間や放課後を使って一生懸命、新陽ソーランに取り組んでいました。
最後のパレードは全員が一つになり、本気で挑戦した姿を見て、私もうるうるしていました。みんな最高です!感動をありがとう!
(『青藍』教員リーダー:青山真里子先生)
初めて新陽ソーランを踊ってから2ヶ月。本気で挑戦し、みるみる上達していくみんなの姿に驚かされました。そして当日、各チームいつも以上の素晴らしい演舞、そして迫力ある最後のパレードをみせてくれて本当にありがとう。
感動しました!みんなの笑顔、最高でした!!
(『群青』教員リーダー:合田享弘先生)
3年ぶりのYOSAKOIソーラン祭り開催で、今年度はいつもと違う想いが強かったです。その中で、生徒たちは明らかに大きな変化があり成長が見えました。最初は不安しかなかった中、あらためて本気で挑戦する気持ちを呼び起こさせてくれた生徒の力に深く感謝しています。
「本気で挑戦」した後の景色は、まさに挑戦した人にしか見えませんね!!
(『紺碧』教員リーダー:小崎達也先生)
3年ぶりに見る新陽ソーランは「最高」でした。
生徒の演舞と高揚感を見て胸が熱くなりました。同時に原体験こそ学びの機会だと実感しました。
素敵な景色を見せてくれた生徒はもちろんのこと、サポート役に徹したメンターの先生、保護者の方々に心より感謝いたします。 また温かい声援を送ってくださった観客の皆様にも厚く御礼申し上げます。
これからも生徒たちの本気で挑戦を、本気で応援していきます!
(1年次メンター長:植田祐矢先生)
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もうひとつのYOSAKOI
「この2年間YOSAKOI本祭に出られなかった生徒(2・3学年)の中で、YOSAKOIに本気で挑戦したい生徒がいれば一緒に本祭に向けて活動したい。」とお声がけくださったのは、伝統チームの『平岸天神』の村井さん。
校内に呼びかけるとすぐに5名の生徒が「やりたいです!」と手を挙げました。
4月23日、最初の打ち合わせに参加し、平岸天神のチーム練習に合流した5名の挑戦は決して簡単なものではありませんでした。
なんと言っても、平岸天神は過去何度もYOSAKOIソーラン大賞を受賞しているハイレベルなチームです。メンバーの皆さんの、踊りの技術の高さはもちろん、3年ぶりの開催となる今年のお祭りへの想いは人一倍。
最初はなかなか練習についていけず、心が折れそうになったこともある5人でしたが、村井さんや平岸天神の皆さんが真剣に向き合ってくださり、諦めずに指導していただいたおかげで当日を迎えることができました。
色とりどりの法被に身を包み、繊細且つダイナミックなキレッキレの演舞。「平岸天神だ!」と全員で叫ぶところは本当に鳥肌ものです。この場に新陽の生徒たちが参加させていただいたこと、あらためて感謝の念に堪えません。そして、堂々と踊りきった5人を心から誇りに思います。
平岸天神ソーラン踊り保存会・会長の中井さん、代表の村井さん、そして関係者の皆様、本当にありがとうございました。
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【編集後記】
YOSAKOIソーラン祭りは、「手に鳴子を持って踊ること」と「曲にソーラン節のフレーズを入れること」という2つしかルールがなくあとは自由です。各チーム銘々の衣装や曲と振付、全国各地からの参加など、オープンでカラフル、まさに多様性のお祭り。ビシッと踊りが揃うときの迫力は、踊り手の個性があればあるほど映えると感じました。
実は今年初めてYOSAKOIを体験しました。観るだけではなく、新陽ソーランを踊る生徒たちと一緒に参加するという貴重な経験をさせてもらいました。
最後になりますが、感動をくれた生徒たち、準備からずっと尽力した先生たち、応援してくださった保護者の皆さま、そしてYOSAKOIに関わったすべての方々に御礼申し上げます。ありがとうございました!