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魔女と過ごした七日間
警視庁の鑑取り班という、犯人の写真を覚えて町で探すという仕事を
過去にしていた父が殺され、中学三年の息子が関わった刑事と、それから
魔女と事件を追うという話だ。
魔女という言葉もほとんど使われず 彼女が何らかの特殊能力を持っているかもしれないことを匂わせるだけだ。
父が警察を辞めたのは、監視カメラが多くなり、街中で目視でたくさんの指名手配犯を探していく仕事が無くなり、移動になった部署が合わなかったためである。
母とは死別。父親とはそんなに話すこともないが、二人だから事務連絡はちゃんとしていて、お互いの事をいろいろ察している。
父は実は恋愛もしていて、母の違う妹がいたこともわかる。
その子が特殊な力を持つ子のいる施設にいて、魔女「羽原円華」と出会うのである。
監視社会である。どこにでも監視カメラがあるらしいが
犯罪者の逃走する姿を追えたりするのは庶民には頼もしいとも映る。
それと同じようにその辺に落ちている煙草の吸殻とか、いろいろなものからDNA が採取されて、そのDNAからモンタージュ写真も作ることができるとしたら、もうどう考えたら良いのかわからない。
骨格からたぶんこんな顔 というのができるのは知っているがなんとDNAで、とは。
「セブン」という映画だったように思うが、図書館で誰がどんな本を借りたかを検索して、思想的に病的な怪しい人をリストアップするというのを覚えている。むしろそこが一番怖かった。
借りても読まずに返す本なんてたくさんあるのに と思ったものだ。
心の中を覗かれる気味の悪さみたいなものである。
権力って何するかわからない。
警察がそんな資料を本当に集めているのかどうかは知らないが
そういう所の資料と警察幹部のメンツとかいろいろなものがせめぎあい
事件になっていったということである。
と書くとネタバレみたいだが
この小説では、中三の子どもとその保護者と、わりとヒューマンな刑事と
それから魔女と。描写が見事でぐいぐい引き込まれ読み進むことができた。面白かった。
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「ラプラスの魔女」はシリーズだそうだが
実は読んだことはなかった。東野圭吾の著作もたぶん初めて。
何か絶賛している感想をを見たか聞いたかして予約した。
魔女関連を何冊か予約したのだけれどこの本を最初に読むことになった。
最新刊だけれど前日談のようでもあるような位置づけらしい。
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