闇の礎
作者ナオミ・ノヴィクは、ハリーポッターのシリーズがとても好きだったそうだ。何度も読みなおし、作家として疑問に思ったことなどを追究する作品としてこの「闇の学校」シリーズができたという。
ハリーポッターを思わせる部分があるのは当然なのかもしれなかった。
「闇」ってなんだろうと思っていた。
魔法族の子どもを食らう魔物が沢山出てくるからか、
卒業する時のゲートを通るのも命がけだからか
そんなことを思ってきたのだけれど、
この学校スコロマンスもあちこちの魔法自治領も
みんな「マリア」で成り立っていることが「闇」なのだった。
「マリア」とは、マナ(他の生物や魔法族の生命力や魔法力)を奪って
自分のものにすることだ。
虫や小動物は言うに及ばず、魔法族の子どもたちまで犠牲にして
魔法自治領を成立させるマナを蓄えるのだ。
「目玉さらい」というラスボスみたいな魔物がいる。
人間を頭から呑み込み、その犠牲者を苦しみながら死に続けさせる。
エルは在学中に二体殺し、
最後の一体をやっつける直前に、オリオンに背中を押され
学校のゲートから出されてしまう。
その「目玉さらい」が実は、自治領の基盤を作る時に生み出されたもので
ずっとマナを基盤に供給する役目を担っていたことがわかる。
目玉さらいをやっつけると、その目玉さらいとつながっている自治領が
壊れてしまうことが次第にわかってくるのだ。
エルに目玉さらいを退治させることによって
他の自治領の基盤を壊させ、難民になった魔法族のマナを奪おうとする
そんな陰謀に巻き込まれてしまうのである。
600ページ、ちょっと大変だった。言い尽くせない。
最後まで、教師などは出てこなかった。
ハリポタの魔法省の大臣みたいな大人が多く
「マリア」という他を蹂躙するような行為をしない人は数えるほど。
ガザ地区の子どもたちのことなどを考えると
そういう犠牲を栄養にして太っていく魔物がいるんだということが
身に染みて、何とも言えないのである。
非魔法族は、基本的には魔物に襲われたりしないようだ。
つながっている部分には目くらましの呪文がかかっている。
映画化の話も出ているそうだ。