風に吹かれて
と
長田弘は問うのである
電気ポットがお湯を沸かす
電子レンジが何か温めている
食器を取りに動く家人
テレビで坂本龍馬の話をしている
それを聞きながら
今 書いている
アタマの片隅では
さっき失敗したパズルゲームの画像
(小悪党ばかりの今の政治家と違って
龍馬の頃には傑出した人物がいたのだろうが
今は目先の金ばかりだ)
などとさかしらに考えているのは
前頭葉のというより意識の
表層的な部分でしかないだろうと感じている。
こんな感じの
騒々しい日常だ
世界の美しさはたぶん悲哀でできている と
長田は言うが
騒々しさというのは
まるで煤のように我々の日常に降り積もるのではないか
だから
我々は ときどき一人で散歩をしなければいけない
と 思うのである
騒々しくないところに自分をおき
風に吹かれて少しでも煤払いをしようとして
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