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バウムクーヘン

ひらがなの詩である。
「まいにち」という詩の
二連目がすばらしかった。

カレンダーにはまいにちが
すうじになってならんでるけれど
まいにちはまいにちおなじじゃない
ハハがしんでチチがひとりでないていたひ
そのひはどこへもいっていない
いつまでもきょうだ
あすがきてもあさってがきても

まいにち

もうひとつ、「たりないじかん」

じかんがたりないんだ
あおぞらがぼくをおいこしてゆく
なのはなもいまよんでるほんも
ぼくをおいこしてゆく

じかんがたりない
ヒイジイよりながくいきても
おはかのなかのじかんをたしても
ぼくにはじかんがたりないんだ

ぼくはわかりたい
いちばんだいじなことが
まだどうしてもわからないから
わかるようになるまでのじかんがいる

ねているとよるがおいこしてゆく
ゆめもぼくをおいこしてゆく
たちどまってなんかいないのに
みんなぼくをおいこしてゆく

たりないじかん


2018年の出版である。
谷川さんはたくさん出版しているので追いつけない。

「たりないじかん」は少し年をとるとみんな感じるのではないだろうか。
時間の使い方の中に「空費」という項目がありそうな私は
追い越されるままである。


追い越す

この前駅まで歩いている時に
若い女性に追い越された
全然急いでいる風な歩き方に見えなかったので
あとについていこうと思ったら
かなり早歩きをしなければならなかった
ちょっとわらってしまった
駅の手前でその人は道を曲がった

わたしもきっと
あちらこちらで曲がったり止まったり急いだりしながら
こんなところまできたのだろう




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