寿命の延びた要因は、医療ではない。
我が国の平均寿命は、戦後からぐっと伸びました。
これって、なんとなく医療技術が発達したお陰って思わされているんですけど(私もかつてはそう思ってました)、実は、ほぼそれ以外の要因なんです。
多くの国民にそう思わせることができた、医療業界のマーケティングにはいつも脱帽します。
西洋医療批判をすると、たまにこの疑問点が挙がってきますので、一度ちゃんと説明しておいた方が良いかなと思いました。
では実際は、何が主要な要因だったかというと、
「衛生と栄養」です。
衛生状態が悪いことで昔は、様々な菌がまん延して多くの人が命を落としました。
特に下水道とその処理場の充実は、逆にコレラの爆発的感染などを機にしてどんどん整備されることとなります。
いまだに途上国の平均寿命が低いのは、水回りのインフラが整っていないことが主要な要因の一つです。
そしてもう1つが栄養です。
人類の歴史とは飢えとの闘いの歴史でもあります。
先ほどの衛生とも関係しますが、栄養状態が悪いと、免疫力が下がります。そんなときに菌がまん延すると、太刀打ちできずに命を落とすこととなります。
明治時代の小説とか読んでいると、若くても感染症で病に伏している人とかよく出てきた印象です。それがいまやあまり聞かなくなりましたね。
菌自体は撲滅できてないものも多いのですが、国民全体の栄養状態が上がったために、菌に対抗できる免疫力を得たということです。
出産時に亡くなる母子が減ったのも、衛生状態の改善の影響が大きい。
昔は、菌が制御できていないところで、出産などをしたために、傷口から感染して、死亡するケースなどがとても多かったのです。
もちろん、医療が衛生を取り入れたことは大きいですし、医療自体がまったく寿命に貢献していないとは言っていません。
ただ、主要因としては、「衛生と栄養の改善」というのが、データが示す事実なのです。