絶景を五感で体験!インドの山奥をツーリング
インドといえば?
と聞かれるとカレー、ガンジス川、ダージマハール、ボリウッド映画、広い、人が多い、衛生面が良くない、カオス、得体の知れない場所、二度と行かない・・・という答える方が多い。
確かに全て正解である。ある一面を見るとね。
ただ、これだけ広く人が多いと色々な面があるはず。ひょっとしたら行く地方を変えるだけで、あなたの知らなかった全く違うインドに出会えるかもしれない。
今回紹介させて頂くのは、私がインドの山奥をスクーターで移動し実際に出会えた景色である。同じ場所にあなたが行ったとしても、季節や時間、天気など状況が変われば、また違ったものが見えるだろう。
これからインドに行こうとしている方や気になる方はもちろん、景色を楽しみたい方や旅行好きな方もぜひ。
インドのレーを起点に市内をツーリング
2023年5月13日、私は今、長い冬が明け春を迎えようとしているインドのレーという街にいる。一週間の長期休暇が取れたため、日本を離れ旅行中だ。
レーはデリーから北へ直線距離で約500㎞で、飛行機で1時間程で来れる、のんびりした田舎町である。これでもラダック州の州都だ。
同じ国でもこの時期のデリーは最高気温40℃を超えるし、他の都市も軒並み酷暑を迎えている。だが、レーは春を迎え徐々に過ごしやすくなっているため、ここに行くしかないと思った。
旅はここから始まる。
①まずはまずはバイクを借りてみる
宿の店主より知り合いのバイクレンタル業者の方を紹介してもらい、本日20時より4日間 (96時間)、スクーターを借りることにした。スクーターがあれば、この近辺やちょっと離れた見どころも、気軽かつ自由に行けてしまう。
ちなみに、このラダック地方は日本の運転免許証の提示があれば、バイクを借りて運転する事が可能。ただし、一部制限エリアがあり、そこに行くには公的入域許可証が必要だ。
今回スクーターで向かうのは、レー市内のツーリングスポットの他、
①レー近郊の寺院
②レー近郊の絶景スポット
という、周りの景色を見ながら4000m級の山をツーリングを楽しむルートである。
では、レーのツーリングへご案内!
②シャンティ仏塔(Shanti Stupa)
レーの中心部から北に約4km位の標高約3500m山の上にある、日本人が作った仏塔である。
バイク駐輪場から坂道をひたすら登って行く。頂上に到着すると気の流れの良さを感じられる風景とシャンティ仏塔が存在している。
ここからレー市街やザンスカール山脈を見ると景色は広大感ばっちりだ。
特に夜は街の素敵な景色である。
夜のシャンティ仏塔はかなり幻想的である。
スクーターで中心部まで戻る際、街灯があり道路も舗装されているので、問題はほとんどないだろう。
ただ市街地は道が入り組んでいるので、迷子にならないように。Google mapは必須だ。
安全運転でいけば初心者向けのツーリングコースである。
③ツェモ寺院(Tsemo Maitreya Temple)
レー中心部から北東に約5kmの山の上、標高約3500m位の鷹の巣の様な場所にある寺院。3500m位と言えば、富士山の頂上に匹敵する高さだ。
市街地から北まわりで山をのぼり、右手に街の景色を一望しながらツーリング。やがて山頂に寺院と展望スペースの駐車場が見えてくる。
駐車場の展望スペースから見た景色も素晴らしい。
晴れた日にはレー市街地はもちろん、はるか向こうにはザンスカール山脈が眺められる。
斜面の細い路地を下っていけば、レー王宮まで行くことができる。逆に登ってくることは、富士山並みの標高の場所で空気が薄いためおすすめできない。
寺院内部の階段をのぼり最上階から景色を見ると、駐車場の展望スペースより高い場所からレー市街を見下ろすことができる。
写真中央部にあるジグザグの階段を使い、レー市街までおりることもできる。
日が沈み、辺りが暗くなる。レー市街にある街灯や建物の照明が徐々に点灯し夜を迎える。
ここまでの道のりは街灯があるため夜間でも問題は少ない。ただし交通量が比較的多い時もあり事故に注意だ。
このツーリングコースは初級〜中級者レベルであろう。
レーを起点に近郊のスポットをツーリング
①ティクセ・ゴンパ(Thiksey Monastery)への道のり
宿を朝6時に出発する。僧侶の方々の朝の勤行見学のため、この時間に出ることとなった。
まずはレー市内の出入口であるメインゲートを目指す。
レー市内の宿からメインゲートまでは、結構道が入り組んでいる。しかしこの時間だと交通量が少ないので走りやすい。
メインゲートを過ぎるとひたすら南へ向かう。前方にザンスカール山脈を眺め、朝日を浴びながらのツーリングだ。
道も広く舗装されており走りやすい。当然車もガンガンスピードを上げてくる。
こちらはスクーターなので、速度を上げず左側をマイペースで行けば良い。折角の広々とした素晴らしい景色をゆっくり楽しまないともったいない。
約1時間位走ると左側の山の上にある壮大な寺院が見えてくる。それがティクセ・ゴンパだ。
ティクセ・ゴンパ
レー市内から南へ約20㎞の場所にあり山の上にあるチベット仏教寺院である。駐輪場から坂道を歩き寺院に入ると階段を登ることになる。
標高3500mを超えてしまっているので息切れも激しくなるはず。呼吸を深くゆっくりにし水分をとりながら進もう。
マニ車(まにぐるま)と呼ばれるチベット仏教の仏具である。これを回転させたら功徳を得られるといわれる。
だが、回し方には要注意!
時計回り(右回り)に回すと功徳が得られる。逆に反時計回り(左回り)に回すと悪い業が生じる。
間違えないように!
階段を登りきると寺院内部では僧侶の方が勤行を行っているようだ。
奥にダライ・ラマ14世が座っている様に見えるが、本物ではなく写真を貼ったものである。遠くから見るとリアル感ありすぎる。
大広間で行われている若い僧侶の方々の勤行の様子だ。
寺院内部には大広間の他には
①キャリアを積んだ僧侶がお祈りをしている、ちょっと暗めの修行スペース
②観光客には開放されていないスペース
③僧侶の生活スペース
がある。
寺院はあくまでも僧侶の方々の修行及び生活の場であるので、この箇所の写真撮影は控えることにした。
建物の外のデッキに出てみたら、この広々とした大自然の景観を全身で感じることができる。
清々とした感覚、鳥の鳴き声、風の音、春のにおい、空気の薄さ(笑)などを。
帰り道、寺院の麓の塀の部分には、たくさんのミニマニ車があった。
②南プルエリア レー市街と氷河の撮影スポット(Leh City & Glacier Photography Point South pullu)への道のり
夕方3時半ごろ、レー市内の宿を出発し、市街地から北東にある山道をひたすらスクーターで登る。
舗装されていない区間もあり、たまにすれ違うのは輸送用トラックばかり。標高が上がるにつれ風も強くなる。
出発してから1時間半位過ぎた頃、google mapでは目的地の近くにいるが、あたりに展望台や車両の駐停車場等施設は無い。
もう少し先まで進み、スクーターを止め振り返ってみると、そこには広大な景色があった。
南プルエリア レー市街と氷河の撮影スポット
レー中心部から北東に約17km、カー・ダング・ラ・ロードという山道をひたすら登って行った標高4200m位の絶景ポイント。やった!富士山の高さを超えた。雲も近く見えて手をのばせば届きそうだ。
広大感があり山々の先にレーの市街地が見える。
私が行った5月には、氷河は見られなかった。
注意点と対策
南プルエリア レー市街と氷河の撮影スポットに行くには、以下の注意が必要である。
・明確な目印がない
・夜間は周りにバイク以外の照明がない
・道路も完全に舗装されていない
・標高が高い為、風も比較的強い
・上りの坂道では、燃料の消費が激しい
・山道入るとガソリンスタンドはない
・施設・民家もない
対策としては、
・google mapは必須
・夜間、悪天候時スクーターで行くのは大変危険なため行かない
・無理だと思ったら引き返す
・当坂道入り口付近のガソリンスタンドで燃料を十分に入れる
・レンタルバイク屋さん等に行き先を事前に伝えアドバイスをもらい何かあったら連絡入れる
注意事項の多いこのツーリングコースは上級者向けである。
③本当はこの先も行くつもりでしたが
到着時、時間も夕方5時を過ぎており、天気も怪しくなってきた。おまけにガソリンの残りも残り25%位だった。更に目の前にそびえたつ山が暗くなっていて不吉な予感がした。
結果的にこの先には行かないことにした。
【おまけ】ツーリング以外のちょっとしたレーの楽しみ
歩いていけるレー市街地のマーケットやレー王宮
レー市街のマーケットには、日常用品店はもちろんカフェや飲食店もある。都会とは違ったゆったりした雰囲気を味わえる。
マーケットから5分位歩き、20分位坂道を登ればレー王宮に行ける。
カレーと中華系の料理が美味しい
カレーは濃厚な味でチャパティとの相性もよく美味しい。写真はエッグカレー。
宿の朝食で頂いた、ピクルスのカレー風味のような漬物、チャパティとヨーグルト。なかなか組み合わせが良かった。
チベットに近いので、現地ではモモと呼ばれている餃子も侮れない。
焼き飯も何気に美味しかったりする。
今回のレーの旅は食事についてはあまり考えていなかったが、何気に食べたものが案外美味しかった。他にも探せば、美味しいものも見つけられるかもしれない。
高山病対策
レーは富士山位の標高の場所のため高山病対策は必須だ。到着した日は坂道を登ったりバイクに乗らず、ゆっくり過ごすことを強くおすすめする。
高山病の症状を和らげるダイアモックスやロキソニンを用意した方がよい。私は東京駅近くにある東京ビジネスクリニックにてダイアモックスを処方してもらった。
行く場所が変われば
今紹介した場所はどれもレー市内、近郊でスクーターでいけるスポットの一部であり、出会えた忘れられない景色である。
パスポート、航空券、インドビザ、宿の予約、旅の資金、原付免許、5日位の有給休暇と、ちょっとした勇気で、絶景にであえるはず。
さあ、あなたも是非行ってみよう!