インドの山奥を125ccスクーターで走って見ると、目の前は絶景映画のワンシーンだった①
旅のスタイルも絶景の楽しみ方も人それぞれ
バスや車で行けば、きっと何気なく見すごしてしまう景色も、一人でスクーターや自転車、徒歩で行くと絶景映画の主人公になった気分にもなれる。なぜなら大自然の中にたったひとりになることもあるからだ。
だが、身の危険にさらしてまで行うのは本末転倒である。各々が無理のない範囲で最大限楽しむことが第一であろう。
北インドにはたくさん絶景ポイントがあるが、自分ならではの「これだ!」という絶景がきっと見つかるはず。
あくまでも旅の一例としてお付き合いしていただければ幸いである。
準備と下調べ
2023年5月14日お昼を過ぎた頃、私は北インドにあるラダック州の州都であるレーにいる。
明日から1泊2日の日程で、スクーターに乗ってツーリングに出る。
目的地はレーから220km位北西に向ったカルギルだ。
特に下記②現地の情報収集に関しては、治安の状況が変わりやすいエリア(特にカルギル方面)であるため、かなり重要だ。
決して無理はしないこと。
①準備
スクーターでの移動のため持ち物は最低限とし、リュック1個分にまとめた。
中に入れたものは以下の通り、もちろん貴重品のスペースは南京錠で常時施錠してある。
1泊分の着替え一式、財布、パスポート、スマートフォン、ミネラルウォーター、モバイルバッテリー、変圧器とプラグ、洗面道具一式、タオル2枚、胃腸薬、スマートフォン用スタンド、常時着用として防寒着、ヘルメット
②現地の情報収集
宿のオーナーの友人でもあるバイクアドバイザーの方とお会いすることになっている。ツーリングコースの設定に無理がないか、注意事項や現地状況の確認のためだ。気になる点は2つある。
①治安
カルギルといえばインドとパキスタンとの国境ラインからかなり近い場所だがどうなのか?
治安面は停戦管理ラインの和平が進んでいるため、ここのところ問題はない。途中カルシ(Khalsi)という町に検問が1箇所ある。
②道路状況
ルート的に1日でスクーターで行くのは可能か?
物理的には(笑)可能である。
但し、検問のあるカルシでガスを絶対に満タンに補充しておく事。ここからカルギル付近まで約120km位ガソリンスタンドがない。
最初250ccのバイクを勧められた。山を越えるならパワフルなバイクが良いからだ。だが、私は中型自動2輪免許証を持っていない。
打ち合わせ後、レー近郊の標高4200m位の絶景スポットまで走行テストも兼ねて行ってみたが何の問題もなかった。
だが時間はかなりかかりそうだ。
カルギル(Kargil)へ向けて出発
①レー〜シュリーナガル(Leh 〜Srinagar)道路まで向かう
レー中心部から、Ibex Choukというロータリーを目指し左折する。
直進するとレー〜スリナガル道路に繋がる。この先、輸送トラックや軍用車の交通量が増えるのと軍事基地の近辺を通るため、しばらく写真撮影は控えた。
②レー(Leh)からニムー(Nimoo)までの道のり
レー〜スリナガル道路に入り、レー市内を抜けると一気に交通量が減る。
スクーターだと速度が出ないので、軍用車や輸送トラックが横を通り過ぎていく。
少し走ると広大な景色が全開になる。道路のまわりは工事を行っているようだが、軍事施設の建設なのか、新しく町を作っているのかは不明だ。
気がつけば谷間にインダス川が流れている。
このインダス川の上流はヒマラヤの奥地にある。この先はパキスタンに入り下流のカラチからアラビア海に抜ける。
サンガムビューポイントから見た
手前がインダス川、奥がザンスカー川である。
この景色を見ると、長い年月をかけて自然が作り出した1つの作品の様に感じる。とにかくスケールが半端ではない。
今回は時間の都合上行けなかったのだが、このザンスカー川に沿って少し山奥に向かうと、バンジージャンプのできるスポットがあるらしい。
ザンスカー・バレー道路と合流しニムー市内に入る。
この辺りはチベット仏教が浸透している感じである。あちこちで建物の建設工事が行われている。
③ニムー(Nimoo)を抜けて検問のある町カルシ(Khalsi)へ
バスゴ(Basgo)に入ると高原の長閑な雰囲気全開だ。スクーターを止めると、鳥の鳴き声が聞こえていた。
しばらく走りふと辺りをみると、目の前に雲が迫ってきていた。ここまでくると飲み込まれそうだ(笑)
目の前の山々に圧倒されながらのツーリングだ。スクーターに乗っている私がちっぽけに感じる。
この辺りは5〜9月にかけて避暑地的な場所なので、リゾートに近い宿泊施設がある。
岩山を削って作った道路でなかなかスリル感があった。道路が狭いのであとから走ってくる車両がたまってきたら一度スクーターを端に止めて、先に行ってもらう。私はその間、水分補給をしながら景色を楽しんでいる。
やがてちょっと賑やかなカルシの町に到着した。だがガソリンスタンドが見当たらず。まわりの方に聞いてみると、2kmほど町の手前にあるとのこと。つまり通り過ぎてしまったらしい。
10分位戻ると、Indian Oilがあった。
ここで満タンにしておかないとカルギルまで燃料がもたない。PETROLを2.92L入れて300インドルピー(日本円で500円位)だった。
再びカルシの町に入った途端、道も狭いせいか渋滞に巻き込まれた。渋滞の先端では軍隊の方が交通整理をしていた。治安の安定に貢献している軍隊の方々にはとても敬意を抱かざるをえない。それに加え検問所が近いこともあり、つい緊張感が走ってしまう。この町で食事を摂り散策したかったが、カルギルには明るいうちに着きたかったためパスした。
いよいよカルシの検問所に到着。
山を越えてきた輸送トラックが手続きを終え、次々とレー方面に向かって行く。
右の建物にてパスポートと、念のために発行した入域許可証のチェックを受け、台帳の記載をし手続き完了となった。入域許可証は北回りルートでカルギルへ向かう場合のみ必要である。
今回は南回りルートでカルギルへ向かう。
この検問所を出発したのが12時30分ごろ。
ここでようやくほぼ中間地点である。
夕方までに無事にカルギルに着けるのか?
この後いよいよ、山越えが待っている。
(続く)