EAA(アミノ酸)とWPH(ペプチド)はどちらのほうが吸収が早い?
"安本教伝 (1980). 小腸粘膜におけるアミノ酸とペプチドの輸送" より。
タンパク質はペプチドやアミノ酸に分解されてから吸収される。ペプチドが小腸の吸収上皮細胞から吸収される機構は以下のような3種類がある:
- 機構A : 上皮細胞にあるペプチダーゼによってアミノ酸に分解された後、アミノ酸トランスポーターによって、アミノ酸として吸収される
- 機構B : ペプチダーゼ反応によってペプチドとして吸収される
- 機構C : 上皮細胞にあるペプチドトランスポータによって、ペプチドのまま吸収される
アミノ酸は機構Aでのみ吸収されるが、吸収速度はアミノ酸濃度に依存する。ペプチドがアミノ酸に分解される場合、上皮細胞周辺でのみアミノ酸濃度が上昇するため、アミノ酸が小腸内に均等に溶けている場合より吸収が速い。
つまり、ペプチドは機構Aにおいても通常のアミノ酸より吸収が速く、しかも機構Bや機構Cという追加の吸収機構を持っているため、アミノ酸より吸収が速い。
また、吸収時に必要なエネルギーは、アミノ酸とペプチドで同じなので、アミノ酸が複数組み合わさったペプチドのほうがエネルギー効率の面でも良い。