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大学で「体育実技Ⅱ」という授業を受け持つ僕の悩み。スポーツの評価をどうするか(後編)

今年の4月から大学で「体育実技Ⅱ」という授業科目を受け持つことになりました。

「楽しくスポーツをする」

という授業においてどうやって学生たちの評価をするのか?

そのことについてこの記事では書いていきます。

まだ前編を読んでいないという方は、ぜひこちらから読んで見てください。

体育実技Ⅱの評価方法

色々と悩みましたが、今回の授業の評価方法は以下のようになりました。

「大人(社会人)がスポーツを楽しむためには何が必要か?」

この問いについて、自分自身の考えを2分間で話してもらいます。

あなたが学生だったらどうですか?

難しそう?簡単そう?

なぜ、レポートではないのか?

なぜ、喋りなのか?

なぜ、2分間なのか?

なぜ、こんな幅広いテーマなのか?

毎週の授業との関連性がどこにあるのか?

実はこれは僕なりにかなり意図がある評価方法なんです。

テスト内容が2分間のお喋りになった理由

①なぜ、レポートではないのか?

まず、レポートだと学生は何回も何回も再考することができます。100点の回答を出せるまで何回でもやり直しができます。

でも、現代社会において大事なのは時間をかけた完成度よりスピードと即興力です。

あらゆる企業が100点の製品を長い年月かけて作り上げてから、ようやくリリースなんて世界ではないんです。

どこよりも早く60点以上のものを作ってともかく出す!そして運用しながら頻繁にアップデートして100点に近づけていく。

これからそんな社会を生きていく学生たちなんだから、悠長に何時間もかけて体育実技のレポートなんて書いてる場合ではないんです。

②なぜ、喋りなのか?

また、今回の授業を受けている学生は全員教育学部の1年生です。

みんながみんな教育学部卒だからって学校の先生になるわけではないでしょうが、全員必ず教育実習には行くわけです。

自分よりも若い児童・生徒に対して話をする機会は全員に訪れるんです。

だとしたら、たった2分間のプレゼンくらい出来ないと話になりません。

将来を考えても、教育学部卒というのは、一般企業就職を目指した時に、特別なスキルを大学で学んでいるわけではありません。

技術職にはなりにくいということです。(モチロン独学で頑張れば何でもなれるが一般論として)

だから、たとえ教員にならなくても、コミュニケーション(喋り)は自分の武器の一つになるくらいじゃないとしんどいはずなんです。

だから、今回のテストはレポートではなく喋りにしています。

この授業の学生にとって、現代社会にとって大事なスキルはむしろそっちだと考えています。

③なぜ、2分間なのか?

じゃあ喋る時間がなんでこんなに短いのか?

2分間なんてあっという間です。多くのことを論理立ててイチから丁寧には喋れません。

でも、世の中そんなもんです。

クオリティーよりスピードが重要視される世の中において「時間」というものは何よりも代えがたい価値です。

だからこそ、まだ何者でもない、何の成果も出していない奴に与えられる時間なんて本当に少ないということです。

会議の時の発言時間も、プレゼン時間も、重要なクライアントが立ち止まってくれる時間も若い彼らには本当にちょっぴりしかないはずなんです。

だからこそ、短い時間で端的に話をまとめて伝える。興味を持たせる。

そんな力が今後は必要とされるので、だから2分間としてます。

また、おそらく喋り慣れていない学生にとっては実は2分間は長いはずです。

質問に対して「〇○だと思います。」と答えるだけならものの十数秒です。

もちろんそんな小学生みたいな回答されても評価のしようがありません。

〇○だと思います。のあとに続けて、なぜそう思ったかを言語化する努力が必要になります。

その言語化をちゃんと事前に考えて、トレーニングしてみると2分間に収めるのがいかに難しいのかを知ります。

そしてそれらの事前準備をしっかりすれば2分間ちょうどぐらいである程度の「回答」を喋れるはずです。

要はどれぐらいの時間を使って何というかで事前にかけた時間や労力もおおよそ分かります。

ちなみに僕みたいに毎日ラジオを配信して常日頃から喋る練習を繰り返ししている奴だと、このテスト前にかける時間と労力が圧倒的に減ります。

モチロンそんな特異な奴がいないことは分かってますが。

④なぜ、こんな幅広いテーマなのか?

それはスポーツシーンにおいて「楽しい」を作り出す要素は多岐にわたるからです。

競技(技術)力、勝敗、コミュニティ、差別化、演出、緊張感、選択肢の豊富さなどなど。

多くの要素がその場の「楽しい」を作っています。

学生自身がそのどこに着目したのかをみるために敢えて何でも選べるようにテーマを幅広くとっています。

これが字数制限のないレポートだと、テーマが広いと無限に書けてしまいますが、2分間の喋りだと広いテーマに対して幅広く全体を取り上げることが不可能です。

イヤが様にも広いテーマのどこかを切り取るしかなくなるので、その切り取り方を見てます。

④毎週の授業との関連性がどこにあるのか?

ココが大事なとこです。

毎週の授業は楽しくスポーツをするだけで済んでいて、それでいて最後のテストに向けて思考力を巡らさないといけない。

これが理想だと思いますので、毎回の授業の最後にアンケート(振り返り)を集計しています。

自分が今日の授業で楽しかった度合いを5段階評価。

楽しくなかった度合いを同じく5段階評価。

そして、なんで楽しかったのか、なんで楽しくなかったのかを書ければ言語化して書いてもらいます。

そうすることで、今回はなぜ楽しかったのか?楽しくなかったのか?を自問自答してもらいます。

もちろん、毎回の授業も漠然とスポーツをするだけではなく、毎回やり方を微妙に変えます。

仲良しの人だけで自由にやるパターン

能力差をある程度差別化してやるパターン

音楽や動画を流しながら演出してやるパターン

大会形式でやるパターン

形は変わるけど基本的には卓球やテニスをやっているだけ。

そこで「楽しい」と「楽しくない」を測定していきます。

そこから最後の自分なりの答えを導き出してくれればなと思っています。

学生たちの回答が楽しみ

大学1年生はついこの間の3月まで高校生でした。

つまり「答えのある問い」と向き合ってきました。

そして、大学生になりその後社会に出た時に「答えのない問い」に直面していきます。

「答えのない問い」との戦いは、ともかく自問自答と言語化を諦めないことが大事だと僕は思います。

しかし、多くの大人たちが「考えるのが面倒くさい」「思考停止してたい」と不平不満を愚痴りつつも現状維持に甘んじます。

似たような事を前日も記事にしました。

こんなに可能性に溢れた世の中で、チャレンジしやすい世の中で、そんなつまらない大人になって欲しくないのでぜひ今回のヘンテコなテストにも学生たちにはトライして欲しいなと思います。

僕はただただ学生たちの回答が楽しみです。

「楽しい」はどうやったら作れるのか。毎週スポーツをしていて毎回楽しいか楽しくないかを自問自答した学生たちが「楽しいの作り方」に対して、どんな答えを出すのか?

きっと当日はニヤニヤしてることと思うので、学生たちはキモがらないでください。

学者とはそういう生き物ですw



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原田 光
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