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人事企画の0→1を丁寧に実現した経験をまとめてみた

これまで新しい人事施策を実行する人事企画の0→1の仕事を幾度となく経験しました。人事制度の新設・改定・人材育成の新施策導入などが代表的なものです。前職で実際に手掛けた制度が今でも使われていたり、さらにレベルが上がっているのを見ると誇らしく思いますし、経験させて頂いた当時の会社や上司にはとても感謝しています。

人事企画の0→1は難しい仕事です。やるべきことは見えているのに、なかなか思うように進んでいかない、経営者がやる気になってくれない、そんな悩みを持つ人事の方も多いと思います。
そこで僕がどうやって人事施策を企画し社内で導入してきたかについて話します。

会社を良くしたいという思いが強かったが、それが故の悩みもあった

僕は、会社をよくしたいという思いが強い方だという自覚があります。
困っている人がいる・解決すべき課題がある、こういうことが目の前にあると、自らの手で良くしたいとテンションが上がるタイプです。

人事企画の0→1は、専門知識・人を巻き込む力・提案力など色々な力が必要であり、進め方がとても難しい仕事ですが、会社全体への影響力が大きな仕事でもあります。こういう難しい仕事にもチャレンジすることを厭わなかったのは、自分が会社を良くしたいという思いを持ち、それを自らのやりたいことに掲げてやってきたからだと思います。

しかし、強い思いを持ちすぎて失敗したこともありました。変えていくスピードが早すぎたり、ドラスティックに変えすぎて周囲から疎まれることもありました。
会社をよくしたいという思いと行動が強くなりすぎていないか、常に気にしながら取り組むことが大切です。

経営者からGOサインを頂くために、数々の要素を満たしていった

人事企画は経営の施策です。なので経営者の意を汲み取って経営者に提案し、この内容で進めていこうというGOサインを頂く必要があります。そして、経営者が人事施策でGOサインを出す時というのは次の3つの要素が揃っている必要があります。

経営者が人事施策でGOサインを出す時の3つの要素
①施策が必要な理由に納得感があり経営者自身の意見と一致している
②施策が必要な時期に納得感があり経営者自身のスピード感と一致している
③経営者自身の意見・スピード感が、他の役員etcの考えと一致している

つまり、的確な提案ができたとしても(①)、今すぐやろうと思わせる提案をしないと(②)施策は前進しません。また、その提案内容について多くの役員などが賛成すること(③)により、実行に移そうという動機が働くというわけです。
この3つの要素が揃わずに、途中で止まる人事施策がとても多いですね。

この3つの要素は、待っているだけでは生まれてきません。企画担当者自らこれらの要素を作り出すことで実現させていく必要があります。
一例として、僕が人材育成責任者の時、ミドルマネジャー向けの研修を提案していましたが、次のような方法で実現可能性を高めていきました。

  • 現状の研修体系図を作成し、マネジャー以上の領域が手薄いことを図示して説明した(①)

  • 初回の提案時は時期尚早という反応だったので暫く塩漬けにし、半年後の来期予算策定のタイミングで再度説明をした(②)

  • 経営TOPの関心の高い「ミドルマネジャーの早期育成」の必要性について全ての事業部長の意見を聞き、経営TOPと同意見だったことを説明した(③)

さて、ではこれらの要素を全て揃えて説明してGOサインが出たかというと、最後の一押しのようなものが必要でした。論理的には完璧な提案だったので、一体何が足りないんだろう?と悩みましたが、自らがその施策をやりたいという思いの部分を込めて提案をしたところ、じゃあやってみようかというGOサインが出たのです。人を動かすには、理屈だけでなく熱意も必要だということに気づきました。

現場の事業責任者から企画内容のフィードバックを頂き、施策をチューニングした

経営TOPのGOサインで大きく前進しました。しかし人事施策をうまくいかせるためには、実際にその施策の運用に深く関わる事業責任者の賛同と協力を得る必要があります。重要な人事施策の導入は経営判断で決まることが多いですが、どのように運用するかは現場の意見を十分取り入れられる状況を作っていくことが肝要です。

ミドルマネジャー向け研修は研修運営会社の協力の下、受講者の上司にあたる事業部長に体験版研修を実施しました。体験版研修を受講した感想のフィードバックをもらい、本番の研修内容の微修正を行いました。
その結果、実際の現場感覚を踏まえた研修を実施することができました。それだけでなく事業部長が研修に対する当事者意識を持ってもらえたことが色々な意味で効果を発揮していきました。

対象者に丁寧に説明し、不安の軽減に努めた

ここまで進めていくと、経営TOP・役員・事業部長の大半が施策の賛同者となりました。最後は施策を提供する対象者に対して、丁寧に説明する機会を作ることで、説明責任を果たし理解を生む必要があります。
丁寧に説明責任を果たす一例としては次の方法が挙げられます。

  • 人事施策の説明会を開催し直接説明責任を果たす機会を作る。その感想や質問をアンケートで回収し、Q&Aを全社に公開する。

  • 人事施策の理解を深めるワークショップを開催し、実際に体験することで施策の理解を深めたり不安の軽減を図る。

人事施策の0→1には、賛成・反対の両方の意見が発生しやすいです。特に反対意見の中には、不安が第一で不安が解消することを求めている意見が多かったです。これをただの反対者とか変化の柔軟性が低いとみなすのではなく、不安の解消に向けて丁寧に対応することが肝要です。

ミドルマネジャー向け研修の導入時は事前説明会を開催し、研修を行う目的を丁寧に説明しました。その時には本当に色々な意見が出ましたが、丁寧に対応し続けることにより、真剣に人材育成を考えていることが伝わっていくようになりました。

最後に

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

人事企画の0→1を成功させるためには、経営TOPが今すぐやりたいと思えるように熱意を込めて提案し、社内のキーパーソンには企画の賛同者になってもらい、全社には丁寧に説明責任を果たすことが肝要です。また、導入後もコツコツとPDCAを回すことで改善を重ねてレベルアップしていきます。こういった取組みをひとつひとつ丁寧に行うには時間がかかりますが、成功した時の効果とやりがいはとても大きいものがあります。

ぜひ参考にしていただければ幸いです。

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