京都時代の中原中也の集合写真考察-4
古写真の撮影地の考察の続きです。
・地形からの推定
撮影地を訪問して痕跡を探すのですが、都市開発や災害などで地形が変わっていることもあるので古地図も参照してみます。資料として立命館大学アートリサーチセンターの近代京都オーバーレイマップのサイトを参照しました。
http://www.arc.ritsumei.ac.jp/archive01/theater/html/ModernKyoto/
大正元年地図、大正11年地図、昭和2年地図、昭和4年地図などを現在の地図を重ね合わせて比較してみることにしました。大正後期から昭和初期にかけて京都の市街地が急速に拡大していることがわかります。田畑や御土居、小川などが失われ、宅地と道路、市電の線路などが拡大されていきます。このため写真に写っている地形も変わっているまたは斜面などが消失している可能性も考えられます。
・撮影場所の推定地の現地調査
上記を踏まえ、地形的な特徴の似ているところを京都市内及び周辺の地域で探してみました。
・北大路周辺:大徳寺、今宮神社、建勲神社、船岡山、旧立命館中学高校北大路学舎近隣、御土居跡、植物園周辺及び賀茂川河川敷
・上賀茂神社周辺:上賀茂神社境内及び社家周辺、御薗橋周辺の御土居跡
・鴨川デルタ周辺:下鴨神社、加茂街道築堤、御土居跡、上御霊神社
広小路近隣:旧立命館広小路学舎跡地近隣、御土居跡、下御霊神社、京都御苑、鴨川河川敷
如意ヶ嶽周辺:大文字登山口及び点火台、哲学の径及び沿道社寺
北野天満宮周辺:北野天満宮、平野神社、わら天神、御土居跡
延暦寺周辺:延暦寺東塔、根本中堂、横川、日吉大社、八瀬、三宅八幡宮
吉田〜岡崎:吉田神社、吉田山、真如堂、金戒光明寺、南禅寺、岡崎疏水関連施設
東山周辺:青蓮院、知恩院、円山公園、八坂神社、高台寺、京都霊山護国神社、清水寺、二年坂、三年坂
豊国神社周辺:京都国立博物館、方広寺、豊国神社、秀吉築造の石垣、智積院及び京都女子小中高大周囲の斜面
伏見周辺:鳥羽離宮跡地、伏見稲荷大社、明治天皇陵・昭憲皇太后陵、伏見城周辺大名屋敷跡、御幸宮神社(薩摩軍陣地跡)、伏見奉行所跡周辺(幕府軍陣地跡)
淀、石清水八幡宮周辺:千両松古戦場跡、淀城周辺、石清水八幡宮
これらの場所を現地調査しましたが、斜面ときれいに整形された石で構築された石垣、背後に垂直な石垣などの地形的特徴のうちいくつかが一致するのは一ヶ所だけありました。それが京都霊山護国神社でした。