ブックサンタになろう
「ブックサンタ」という取り組みをご存知でしょうか?
これはクリスマス時期に合わせて、「大変な環境にある子供たちに自分が選んだ本を贈ろう」というもの。
かくいう私は今年まで知りませんでした……! というかたぶん、知る機会があっても私のアンテナがキャッチできていなかったんだと思う。感度が低すぎてとても恥ずかしい~。
もし私のように知らない人がいて機会を逃してしまったらと思うととても惜しくて、慌てて書いております。
ちなみにこの企画、なんと参加期日が明日12/24(日)までなのだ! 参加しようと思ってたけど忘れてた、とりあえず参加方法だけ知りたい! という方はこっちに飛んでくださいな。
今年はクリスマス募金をしようかなあ、と思っていたときにたまたま知ったんだけれど、その内容があまりにも素敵で「これだ~!」となったのでした。
本ってなかなか高価で手が出にくいですよね。数百円・数千円じゃんと言われたらそれまでなのだけど、衣食住の優先度合いには勝てないし、余裕がなければ後回しにされてしまう。
ブックサンタはそういう「本を必要としているけれど買うのが難しいご家庭」からの応募と「本をプレゼントしたい人」の双方の応募で成り立っているそう。どちらもハッピーになる素敵な取り組み!
これ何が素晴らしいかって、プレゼントする側もされる側も、そして企画された方も、関わる人すべてが「本が好き」というところなんですよね。
さらにこの取り組みの素敵なところは、この企画に参加している書店、出版社、本の著者と、「本に関わる人みんな」が幸せになれる良い連鎖が続いているところ。
参加方法はめちゃくちゃ簡単で、書店で贈りたい本を選んで購入。その際レジで「ブックサンタでお願いします」と伝えるだけです。
参加書店はこちら、たくさんあります↓↓↓
書店に行けない人はオンラインでの参加も可能なんだそう。
このリストにある本から選ぶ形になるので、どうしても贈りたい本が決まっている人、応援したい書店がある人は現地での購入がいいかも~!
どうやら幼児向け絵本など低年齢の層が現在飽和状態らしいので、できれば小学校高学年~高校生向けの本を選ぶと喜ばれるかもしれません。
私はミヒャエル・エンデの「魔法のカクテル」と木下龍也さんの「あなたのための短歌集」を選びました。
小さい頃ミヒャエル・エンデに夢中になった人って多くないですか?
私も例にもれずその一人だったのですが、「魔法のカクテル」は今読み返してもなんて素晴らしい本なんだと思う。
こういうファンタジーが大好きだ。
ファンタジーって好んで読まない人からはただの夢物語、子どもが読むものだと思われがちなのですが、ファンタジーほど地に足が着いている物語って実はないのではと思っています。贔屓目は承知なんだけど。
ミヒャエル・エンデは特にそうだと思う。
エンデもそうなんだけれど、お話に出てくる魔法って決して「現実には起こり得ないただの空想」ではなくて、「あなたの勇気でちゃんと起こすことができる奇跡の可能性のことなんだよ」ってメッセージなのです。
あなたは本当は何になりたいの、何がしたいの。どうなったら嬉しいの。そういう人の心の奥底にある本当の願いが何なのかとか、じゃあ叶えるために本当に必要なのは何なんだろうとか、そういうことをずっと言ってくれている。
大抵のことは技術とか才能とか今置かれている境遇とかではなくって、ほんの少し勇気が出せたらちゃんと叶えることができるんだよ。そしてあなたの中にはちゃんとその力も勇気もあるんだよ。
そういうことをずっと伝えてくれている本です。
子どもの頃にこんな本に出会えたら、その後の人生がすごく豊かになるだろうなと思う。「こういう本に出会えた」という経験が大人になっても自分の力になってくれると思うし、実際私もそうです。こんなことを伝えてくれる大人がいるんだ、ということそのものが希望すぎる。それは自分が大人になってより痛感したことです。
だから絶対に選びたかった本のひとつなのです。
同じような理由で、木下龍也さんの「あなたのための短歌集」も絶対に誰かに届けたかった本。
「あなたのための短歌1首」は、歌人の木下龍也さんが依頼者のお題に沿って「あなたのため」だけの短歌を作るという取り組み。これはどこにも誰にも公開されることのない、本当に依頼者のためだけに作られる短歌です。
私も数年前に運良く機会があって作ってもらいました。超宝物。
「いつも悲しくなってしまう理由」と「自分が大事にしたいこと」がまったく同じで、だけどやっぱり大事にしたいことを捨てきれないからお守りになるような短歌を作ってください。依頼文は忘れたけど、そういうお題で作ってもらいました。
「あなたのための短歌」なのになぜ歌集になっているんだと思われるかもだけど、あまりにも反響があって絶対になかったはずの書籍化が実現してしまったんですよね。
だけど木下さん自身は印税を受け取らないという条件の上で、印税分は学校などに寄付する歌集の購入に充てるという試みがあるそうで。
書籍化のときにナナロク社から過去の依頼者宛てに掲載短歌の募集メールがあって、本当にギリギリまで悩んだけど私は掲載しないことにしました。
やっぱり自分だけの宝物にしておきたいという気持ちが勝ってしまったので。
だけどもしも掲載していたら絶対誰かの力になっていただろうな、と今でも思います。そういう短歌や依頼者の気持ちがめいっぱい詰まっている本です。
本当にすごいんだからこの本は!!!!!
長くなったけど、とにかく素晴らしい取り組みなのでブックサンタに興味がある方はぜひ参加してみてほしいです。
明日まで!!!!!(もっと早く書け)
ブックサンタを応援している作家の今村翔吾さんもおっしゃってたけど、図書館ってセーフティーネットの役割があるんですよね。
図書館もそうだし、本そのもの、読書そのもの、物語そのものにセーフティーネットの役割がある。本を読めば今自分がいる環境だけがすべてじゃないと思えるし、子どものころに心を動かされた体験は絶対に大人になった自分を助けてくれる。
私も本に沢山助けられてきたので、そういう人が一人でも増えたらいいなあ。
みなさまもよき読書人生を!