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売り専で生きる者の過酷な現実【Sauvage】

海外の売り専事情はよく分からないけど、作中で見る限りだと、路上に立って道行く人が誰か買ってくれるのを待っているスタイルっぽい。
今はネットやアプリがあるからもっと手軽に売る場合もあるだろうけど、路上で捕まえるスタイルも未だ健在ということなんだろう。
彼らはただ立って指名されるのを待っているだけ。
自分から何かアピールするでもなくずっと待っている。

気になったのは、主人公はずっと同じ服装をしてるということ。
売り専として生きていくためだけのその日暮らしをして、家などなく、寝るときは野宿か相手の家に泊まるかするだけなんだろう。

買われたときに体を洗うからなのか、時には道に溜まっている水たまりから水を飲み、顔を洗う。
ホームレスのようなその暮らしは、売り専だけでは暮らしていけないんだろう。
その他で働く気がないのか能力がないのか諦めているのかする気がないのか、彼は自分の体を売ることでなんとか生きようとしている。

売り専は金をやれば何でもすると思われがちで、価値観的にも仕方ないけど軽く見られがちになりかねない。
ただの性欲を満足させるためだけの人ならいいけど、度を越えて色々やらせようとする人に会うとかなり厄介だ。
規格外の玩具を挿れようとしたり、満足できなかったからと金を払わずに門前払いしたり。
紳士そうな人のふりして実はヴァイオレンスな人だったりと、買う人がみな健全な人という訳でもない。

そんなリスクのある暮らしをしながらも、売り専を続けようとするのか、売り専から抜け出せないだけなのか、主人公の生き様は見ていて痛ましい。
生きていくのにも精一杯なのに、喘息の病気も発症するなど、不幸は彼を襲っていく。

たぶんだけど、彼は同じ売り専仲間のことを好きになんじゃなかろうか。
日本語字幕で観てないので、なんとなくの雰囲気だけど、多分彼のことが好きなんだろう。
でもその人はパトロンのような人を見つけたのか、一緒に暮らすようになってしまい、売り専から脱却したようだ。
恋仲になるのか、世話をしてくれる人と巡り合うのは羨ましいけれど、今でもそういう人が居たりするんだろうか。

彼もまた最後に世話をしてくれる人に出会ったようだけど、何故か飛び出してしまっている。
瀕死の状態を助けてくれたにも関わらず、売り専から抜け出せるかもしれないにも関わらず、最後は不思議な結末を迎える。

売り専で生活している人の現実は厳しい、と感じた。
気持ちいい事をしてお金までもらえる! と安価な気持ちで飛び込んだのかもしれない。
けれども、道路の水たまりをすするような生活が待っていたり、体を痛めつけられるような客に当たったりと、快感でチャラになるようなものでは決してなさそうだな、というのが素直な感想だった。

Sauvage / 2018

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