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映画感想 #161『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』

『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』を観ました。

監督:ジュリアス・オナー
脚本:ロブ・エドワーズ、マルコム・スペルマン、ダラン・ムッソン、ジュリアス・オナー、ピーター・グランツ
出演:アンソニー・マッキー、ハリソン・フォード、ダニー・ラミレス、シラ・ハース、ティム・ブレイク・ネルソン、ジャンカルロ・エスポジート、カール・ランブリー、ゾシャ・ロークモア、平岳大、他

初代キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースから最も信頼され、ヒーロー引退を決めたスティーブから“正義の象徴”でもある盾を託されたファルコンことサム・ウィルソンが、新たなキャプテン・アメリカとなった。そんなある時、アメリカ大統領ロスが開く国際会議の場でテロ事件が発生する。それをきっかけに各国の対立が深刻化し、世界大戦の危機にまで発展してしまう。混乱を収束させようと奮闘するサムだったが、そんな彼の前にレッドハルク(赤いハルク)と化したロスが立ちふさがる。しかし、そのすべてはある人物によって仕組まれていた。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/97590/

ソニーもFOXも関わってない純正(?)のMCU映画ってすごい久々ですね。

誤解を恐れずに言うなら、ユニバースの中の1作としてものすごく丁度いい面白さだったと思います。

良かったと思うところはいくつかあるんですけど、一番感じたのは未来の作品に向けた伏線ばら撒きが全然なかったってことです。
最近、というかエンドゲーム以降のMCUにうっすらと漂ってた
「これ!! ここです!!!! 今のとこ後の映画で回収するんでよ~~~く覚えといて下さいね~!!!!!」
みたいな、押しつけがましいというかわざとらしいというかな伏線の張り方が今作にはほとんどなかった。強いて言うなら「アダマンチウム」というワードがいつかX-MENのアイツを合流させるための準備なのかなー? とか、ポストクレジットでのやり取りが「改めて言うけど今のフェーズはマルチバースやりますよ」っていうおさらいなのかなー? くらい。あとは予告になかったバッキーのサプライズ登場。

今作におけるユニバース間の繋がりって全部過去作から引っ張ってきてるんですよね。ずっとほったらかしだったティアマトの頭どうすんの問題は勿論『エターナルズ』からだし、「ヒーローとサディアス・ロスとの確執」は『インクレディブル・ハルク』以降たびたび問題になってきたテーマだし、ルースがレッドルーム出身なのは『ブラック・ウィドウ』、バッキーだって次の本格登場こそサンダーボルツではあるけど、ここで描写されていたサムとの関係性は『ファルコン&ウィンターソルジャー』を経てのもの。イザイアとの関係性もそう。
スターンズを十数年ぶりにヴィランとして再登場させるなんてのも普通のフランチャイズだったらまずできない芸当なわけで。
(ツイッターで「インクレディブル・ハルクの復習必須」って言ってくれてた有識者がいなかったら完全に忘れてるところでした。ありがとう有識者)

MCUが本来持ってた強みってこういうところだったと思うんですよね。何年も先の展開ありきじゃなくて、少しずつ積み上げていった面白さがいつか爆発する。それがアベンジャーズでありシビルウォーでありエンドゲームでありスパイダーマンNWHだったはず。(NWHはMCUというにはウルトラCだったけど)

なので、かつてのMCUらしさが戻ってきたというのは正しいと思うんですよね。正直「この一作でMCU大復活や!!」みたいな映画ではない。先に述べたように、そういう特大のカタルシスは個々の面白さを積み上げていった先にあるアベンジャーズとかが担うべきところ。そのためには”今観てるこれ”が普通に面白いと思える映画が必要なんですよ。最初に「丁度いい面白さ」と書いたのはそういう意味です。

で、ヒーロー映画としてどうだったのかというと、”キャプテン・アメリカ”の名前を冠する映画が示すべき志に対してすごく誠実だったなーと思います。
キャプテン・アメリカがヒーローである理由って常に正しく在ろうとする人だからで、そう在ろうとした時に伴う責任を背負う覚悟がある人だから。「覚悟」の部分はドラマで一度やってるけど、今回それが一度折れかけるじゃないですか。でもまた背負う覚悟を決める。その心の在りようがもう誰がなんと言おうとキャプテン・アメリカなんですよね。

ロスが善き人に変わろうとしていることを信じて、対話と説得でレッドハルクを抑えようとするのも肉体的にはただの人間なサムだからこそですよね。スティーヴだったらハルク相手でもちょっとは戦えちゃうし。
(空飛びながら反射を計算して盾投げたりするのはだいぶ人間やめてる感はあるけども……)

ハリソン・フォードのロス/レッドハルクもスターンズも良かったんですけど、ヴィランとしてはサイドワインダーが圧倒的に好みでしたね。ただの人間として頑張るサムに対して、同じくただの人間が徹底的に冷徹なタクティクスで迫る。あの人が出てる時だけ世界観がジョン・ウィックみたいだった。

かつてに比べたらすっかり落ち着いて、それどころか追い続けるモチベーションも下がりに下がっちゃったMCUへの期待感がちょっと復活する一作でしたねえ。ちゃんと普通に面白かったので正直ほっとしてます。

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