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観た映画の感想 #101『ゴーストバスターズ フローズン・サマー』
『ゴーストバスターズ フローズン・サマー』を観ました。
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脚本:ギル・キーナン、ジェイソン・ライトマン
出演:ポール・ラッド、キャリー・クーン、フィン・ウルフハード、マッケナ・グレイス、セレステ・オコナー、ローガン・キム、クメイル・ナンジアニ、パットン・オズワルト、ジェームズ・エイカスター、ダン・エイクロイド、ビル・マーレイ、アーニー・ハドソン、アニー・ポッツ、ウィリアム・アザートン、エミリー・アリン・リンド、他
真夏のニューヨーク。日差しが降り注ぐビーチで大勢の人々が海水浴を満喫するなか、海の向こう側から突如として巨大な氷柱が大量に現れ、街は一瞬にして氷に覆われてしまう。ゴーストバスターズとしてニューヨークの人々をゴーストたちから守ってきたスペングラー家は、その元凶が全てを一瞬で凍らせる「デス・チル」のパワーを持つ史上最強のゴーストであることを突き止め、事態を解決するべく立ち上がる。
(映画.comより)
『ゴーストバスターズ アフターライフ』に続く次世代ゴーストバスターズの2作目です。
僕がアカウントだけ作ってずっと放置していたnoteを使い始めたのは前作の感想をまとめた時からなので、僕の感想語り活動はゴーストバスターズと共に始まったと言っても過言ではない(過言)。
その時にも書いた通り僕は前作もとても好きなんですが、今回の新作はこれを更に超えてきたと思います。オリジナルのゴーストバスターズの、その後の物語として文句なしの続編。本当に良かった。
前作にあって今作にあったもの、言い換えれば今作の評価点を大幅に上げたもの、それはずばり舞台がニューヨークってことです。「それだけ?」って思うかもしれませんがこれが思ってた以上に本当~~~~~に大事で。
”ニューヨークが舞台の映画”ってニューヨークという街自体の象徴性というか、街がもう一人の主人公になってる場合がとても多いと思うんです。『タクシードライバー』もそうだし、スパイダーマンもそう。『アフターライフ』はすごく好きなんですけど、ただ一つ小言を言うなら舞台がずっと田舎町だったんですよね。面白い映画ではあったんですけど、田舎町が舞台だとスピンオフというか外伝っぽさが出てしまっていて……一応ミッドクレジットでニューヨークに戻ることが匂わされてはいましたけど、やっぱり若干の物足りなさはあって。
その点でいくと今回は最初から最後までニューヨークが舞台なので、ECTO-1でビル街を逃げる霊を追いかけるオープニングのシーンからもう「これこれ~!!」ってテンション爆上がりですよ。
あのビル街、あの図書館、そして勿論あの消防署跡。
このディテールこそがゴーストバスターズには必要だったんです。アベンジャーズのメンバーとして世界中を飛び回っていても、スパイダーマンの本質が「ニューヨークの親愛なる隣人」であるように。
ジュブナイルの2作目としても良くて、「まだ子供なんだから大人と同じ活動はできないよ」っていう自分ではどうしようもない理由でお留守番を強いられちゃったフィービーに対して、家族が知らない秘密の友達としてのメロディ、勝手に受けた幽霊退治を一緒にやってくれる悪友のポッドキャスト、そしていつもとは違う種類の冒険に連れて行ってくれる近所のおじさん的ポジションのレイモンド、と様々な形で背伸びをさせてくれる人物がいて、その上で改めてゴーストバスターズとしての自分の立ち位置というものを確かにしていく。前作を踏まえた成長譚としてもいいんですよ。そんでマッケナ・グレイスがまた可愛いんだ……
あとポール・ラッド。
僕がMCU贔屓だったからというのもあると思うんですが、「善き父親になろうとするおっさん」をやってるポール・ラッドがすごく良くて。コメディ演技も勿論上手いし、冒頭の幽霊退治のあとでペック市長(まさかあいつが市長になってるとは)の叱責からフィービーを守ろうとする時のすっとぼけた躱し方なんてそれこそ1作目でペック部長(当時)が同じようにゴーストバスターズを叱責した時のベンクマンの言い訳みたいなノリでしたし。
オリジナルキャストの扱いについては、前作と対になってる部分も結構あると思いました。特にレイモンド。
フィービーに「幽霊になりたいと思ったことある?」と聞かれて「いつも思ってる」って即答し、ウィンストンにも「新しい老後の楽しみを探せ」と釘を刺される、今回のレイモンドは前作以上に「老い」を突き付けられるキャラクターでしたけど、そんな彼がクライマックスで「これが俺の老後だ!」と叫ぶ。そしてかつての仲間達と一緒に幽霊退治を心から楽しんでいる。こういう着地にしてくれたのもすごく嬉しかったんですよね。あの世界の中で彼らはこれからもゴーストバスターズとして生き生きとした人生を送っていくだろうってことだから。
オリジナル版と違って幽霊コワイ描写が割と本格的に怖いところは前作と同じなので、ホラーがものすごく苦手という人にはちょっと気軽にオススメしづらいというのは数少ない欠点でしょうか。というか今回の敵であるところのガラッカ、歴代で一番殺意が高いんですよね。ゴーストが直接的に人間を殺害したのって多分今回が初めてなんじゃないかなあ……