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観た映画の感想 #26『オオカミ狩り』
『オオカミ狩り』を観ました。
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2022年。フィリピンで逮捕された犯罪者たちを乗せた貨物船が釜山港へ向けて出航した。船内には凶悪犯罪担当のベテラン刑事約20人を配置、釜山では海上交通管制センターで海洋監視システムを設置するという万全な体制の中、プロジェクト名「オオカミ狩り」と呼ばれる韓比共同護送計画が展開される。しかしその夜、密かに脱走を企んでいた凶悪犯ジョンドゥが、刑事として紛れ込んだ仲間とともに反乱を起こし、船内は武器を手にした犯罪者たちで溢れかえる事態に。さらに眠っていた「怪人」が目を覚まし、想像を絶する戦いが幕を開ける。
(映画.comより)
事前情報をほとんど入れずに観に行ったので、船版の『コン・エアー』とか『エグゼクティブ・デシジョン』みたいな映画かなーと思ってたんです。
キャッチコピーの”極悪犯罪者vs警察vs怪人”も「『極悪犯罪者』は真ん中の人で、『警察』は多分右の女の人、じゃあ『怪人』は左の人かなー?」くらいに考えてて、逃げ場のない閉鎖環境が凶悪犯に占拠される系映画(こういうジャンルって何か名前ついてるんでしょうか?)と舐めてた相手が殺人マシンでした系映画を足して2で割ったようなやつなのかなーと。
そしたら途中でいきなりプレデターが乱入してきて、やりたい放題に暴れて死体の山を築いて去っていく……みたいな、そんな映画でした。
プレデター乱入前の時点ですでに過剰に人が死ぬし冗談みたいに血が流れる。あまりにも派手に死んでいくので、一周回ってそうか、人って硬いもので叩いたら血が噴き出るんだな……って冷静になってしまうほどで。
その段階ですらまだエンジン温めてるみたいなもので、「怪人」乱入後は死体のバーゲンセール! 血液の源泉かけ流し! みたいな感じで死体が量産されていく。あまりにも人命の値段が安いんですけど、痛そうとかグロいって感想はあまり湧いてこなくて不思議な爽快感すらあるほど。スプラッタってやりすぎるくらいのほうがエンタメになるんですね……
ジョンドゥ役のソ・イングクさん、恥ずかしながら今まで全く存じ上げなかったんですけど、ホントにこれが悪役初挑戦なの……? ってくらい激ヤバ犯罪者の役が堂に入ってて素晴らしかった。警官の胸にゆーっくりナイフを刺していったり、その警官の死体に立ちションしながらタバコ吸ったりとかの死人の尊厳破壊にもほどがありすぎるんですけど妙な色気も同時にあって、今後しばらくあの手の役しか来なくなっちゃいそうな雰囲気すらある。
一つ惜しいなと思ったのは、続編に繋がりそうな伏線をラストシーンに全部詰め込んでたところ。ストーリーに期待するタイプの映画じゃないし、本編の一大殺戮ショーのスピード感をゆるめない為っていうのも分かるんですけど、それでも真相の一端が分かる会話のシーンなんかは所々にあったわけだからもう少し上手く散らすこともできたんじゃないかなーと思ったり。
観る人を選ぶタイプの映画なのは間違いないんですけど、こういうのをエンタメとして面白がれる人には最高に楽しい映画だと思います。