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観た映画の感想 #34『鳥』

アマゾンプライムで『鳥』を観ました。

監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:エヴァン・ハンター
出演:ティッピー・ヘドレン、ロッド・テイラー、他

新聞社の社長令嬢メラニーは、ペットショップで知り合った弁護士ミッチに興味を抱き、彼を追ってボデガ湾沿いの港町を訪れる。その町で、メラニーは突然舞い降りてきた1羽のカモメに額をつつかれてしまう。翌日、ミッチの妹キャシーの誕生日パーティで、カモメの大群が子どもたちを襲う事件が発生。夜には無数のスズメがミッチの家に侵入し、その後も町のあちこちで鳥の大群が人間たちに襲いかかる。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/62576/

大昔に一度観たことはあったんですけど、その時は最後まで観られなかったんですよ。この映画って前半ものすごく退屈じゃないですか……?
(※個人の感想です)

何も起きないし、メラニーとミッチの駆け引き(?)もなんか回りくどいし、ボデガに行くまでの道程もなんか間延びしてるし……
(※個人の感想です)

ただ、今改めて観ると当時とは全然違った感想が湧きまして。

鳥が人間を襲い始めた理由って劇中では結局最後までよく分からないままだし、最後もボデガを脱出してはいるけど単に鳥から逃げただけで根本的には何も解決してない。どころか脱出先のサンフランシスコでも同じような状況になっている可能性も示唆されている。

一方で鳥に襲われたボデガの人達がどうなったかっていうと、聖書を引用して終末論的な妄言をぼやくおっさんがいたり、鳥に詳しいっぽい人を中心になんや解決策っぽいものを議論したり、あるいは「お前が来たからこんなことになったんだ!」と何の根拠もなくメラニーを責める人がいたり。

これ、コロナ禍で起きたことだったり現れた人達にすごく似てるなーと。

先述した通り、なぜ鳥が人間を襲うようになったのかは最後まで分からないし、それに対して明快な解決が描かれるわけでもない。例えば鳥を狂暴化させている原因を特定して大人しくさせる薬的なものを撒くとか、街中の鳥を殺してしまうとか、そういう『バイオハザード』的なことは起きないわけですよ。それもウイルスそのものがこの世からなくなったわけではないのだから、というパンデミック後の社会の暗喩にも見える。

そう考えると何も起こらなくて退屈としか思えなかった前半のパートも、もう何もなかったあの時には戻れないのだから、という味わいが出てくる。元からこういうシナリオ立ての作品だったとは思うんですけど、昔に観ようとした時はそこに気づかなかったんですね。その時の社会とか自分自身の状況によって観る視点も全然違ったものになる、ということに改めて思い至るなど。

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