観た映画の感想 #131『悪魔と夜ふかし』
『悪魔と夜ふかし』を観ました。
ホラー映画にとっての「面白さ」って「怖い」ことがまず何よりも優先されがちだしそれは間違ってはいないと思うんですけど、こういう観やすいホラーにこそまずはヒットして欲しいと思ってます。ジャンプスケアも全然なかったですし(グロは後半に少々あり)、あとはCGなんかの特殊効果も良い意味で古めかしくて。
海外のTVショーはほとんど見たことがないんですが、「これ全部台本がある芝居だとしたらとんでもないことしてないか……?」ってくらいTVショーの司会者にしか見えないデヴィッド・ダストマルチャンの役への入り込みっぷりが凄まじくて、それだけでも一見の価値はあると思います。カメラの前に登場してから最初のゲストを呼び込むまでの長ーーーーーーーい一人喋りのパートとか本当に実在の司会者にしか見えないし、ゲスト役の俳優への質問とかも(パンフレットの監督インタビューによると)アドリブが多分にあったみたいだし。
予告に「TVショー版エクソシスト」みたいなキャッチコピーがありましたけど、実際はTVショー版ヘレディタリーとかTVショー版ローズマリーの赤ちゃんみたいな話だったと思います。
話が進むごとに現実と悪夢の境目が分からなくなっていくタイプの映画なので解釈は分かれるかもしれませんが、僕個人の解釈としては映画のイントロでジャックとの関係を示唆されていたカルト教団が裏で全ての手を引いていて、あの番組で行われていたことは教団が何らかの儀式をジャックにやらせたくて仕組んだこと、劇中で死んだ人間はそのための生贄、みたいな感じなのかなと。
劇中で何度か印象的にクローズアップされる、骸骨や悪魔の恰好で全身を覆い隠した観客がいましたけど、あの人は脚本の初期段階では正体を隠して客席に紛れ込んでるカルト教団のリーダーだったらしい(これもパンフレットの監督インタビューより)ので、なんなら観客も教団が用意したサクラだったんじゃないかなくらいには考えてるんですがどうなんでしょう?