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映画感想 #136『ヴェノム:ザ・ラスト・ダンス』

『ヴェノム:ザ・ラスト・ダンス』を観ました。

監督、脚本:ケリー・マーセル
出演:トム・ハーディ、キウェテル・イジョフォー、ジュノー・テンプル、リス・エヴァンス、スティーヴン・グレアム、ペギー・ルー、アンディ・サーキス、他

ジャーナリストのエディ・ブロックに地球外生命体シンビオートが寄生したことで生まれたヴェノムは、強靭で真っ黒な肉体と鋭い牙を武器に、長くのびる舌で人を喰らう恐るべき存在でありながらも、エディと一心同体となって強敵カーネイジを倒し、世界の危機を救った。エディとヴェノムは深い信頼関係で結ばれたバディとなり、見事なチームワークで敵を倒していく。そんな彼らは、シンビオートを極秘に研究する施設に侵入したことで特殊部隊に追われる羽目になってしまい、さらには新たな脅威が地球外から飛来する。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/101865/

ヴェノム3作目。

3作目だけあってますます磨きのかかったエディとヴェノムのバディムービーとして観るならば見どころは結構あったと思います。
人間の立場で考えるとちょっとやりすぎじゃない? っていうヴェノムの奇行(?)に対して、エディがもうほとんど何も言わなくなってるんですよね。二人でひとつでいることを当たり前のものとしているのもそうだし、そこに他のアメコミ原作映画にはない魅力があるシリーズなのは間違いないので、この二人のやり取りずっと見てたいなーっていう楽しみはあったんですよ。

ただ一方で映画としては上手くいってないなーっていうところが多々あったのも事実で……総合的には80点満点で65点くらいかなーって印象でした。

一番ダメだなって思ったのは端的に言うとキャラクター、特にヴィランの使い捨て感がひどいってことです。
これヴェノムに限らずMCUでもDCユニバースでも一緒だと思ってるんですけど、「複数の作品を繋いでいってひとつの大きな物語を作る」っていうユニバース世界観が既定路線になりすぎていて、個々の映画が単に連ドラの各話の一つになってしまっているせいで、原作コミックでどれだけ強力なヴィランであろうとビッグネームな俳優が好演を見せようと、全体のエピソードの中の「途中の一話」にあたる映画に出てしまうとその映画だけで終わっちゃう中ボスくらいの存在感にしかならないんですよね。
MCUで言うなら『ソー ラブ&サンダー』のゴアとかがそうでしたし(クリスチャン・ベールのゴアが1作限りのヴィランだよ!?)、当のヴェノムだって2作目でカーネイジをものすごい雑に使い潰しちゃってるし。だってウディ・ハレルソンのカーネイジだよ!? いくらでも美味しい使い方ができるキャラクターとキャスティングなのにあんな感じで……ねえ?

今回だってアンディ・サーキスがヌルだよ!?
それがあんなチョイ役みたいな扱いって……ねえ??
(アンディ・サーキスはヴェノム2作目の監督なので、因果が巡ってきたと思えなくもないところがちょっとおもしろポイントと言えばそうなのかもしれないけど)

まあヌルに関しては今後の映画にも関わってきそうな匂わせは残した終わり方でしたけど、そうなるとソニーのマーベル映画シリーズだけが抱えてるMCU(というかトム・ホランドのスパイダーマン)との接点どうするのか問題が足を引っ張ってくるわけですよ。

『スパイダーマンNWH』の時にエディとヴェノムがちょっとだけMCUにやって来たのはあの映画がマルチバースものだからっていうファンサービスの一環として捉えられるとして、『モービウス』の最後にMCUのヴァルチャーが出てきた件とかその後どうなってるんだって話ですよ……そこがいつまでも煮え切らないというかはっきりしないから、ソニーのマーベルユニバースがずっとピンボケした感じになってるのって絶対あると思います。

キャラクターの使い捨てと言ったら今回大量に出てきたヴェノム以外のシンビオート達の使い捨て感もなかなか酷かった。この映画上映時間が103分くらいでアメコミ映画としては短めなんですけど、それもあってものすごい速度でキャラクターが雑に消費されていく感じがあってですね……

MCU以前のアメコミ映画ってこれくらいの温度感だったかもなーって思えば確かにそうかもという気はしなくもないけど、一つでもいいからホームラン級の映画が来ないかなーって思いますよやっぱり。

そういうわけでほんとに頼むよ、クレイヴン!!

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