映画感想 #138『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』
『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』を観ました。
一番好きな仮面ライダーがWで、その続編たる風都探偵にも原作、アニメともに絶大な信頼を寄せている身としてはそれだけでもう観る前から120点出るのが決まってる映画ですし、内容もTVドラマ本編をやってた頃から何度も繰り返し言及され描かれてきたところなので今作も「わかる!」しかないんですが、実写ではないアニメならではの良さっていうのも確実にあって。
一番でかいのはやっぱりドーパントのデザインと挙動。
最初にTVアニメになった時にオーロラドーパントの腰布がちゃんとオーロラになってたみたいに、実物のスーツだと難しい造形がアニメなら破綻せずに出せる。
今作でいうならタブードーパントが戦ってる場所にある配管を蛇みたいに巻き付きながら移動する描写とか、ああいうのも実写だとなかなか難しいと思うんですよ。
スカルに変身する前のおやっさんの格闘シーンも、実写でやると明らかに人間離れしすぎてる跳躍の仕方とかしててもアニメならケレン味になる。
(余談ですけどおやっさんがやたらハイキックを決めるのは原作、というか実写のほうでおやっさんを演じてた吉川晃司要素なのかなーって冗談半分で思ってたら、脚本の三条さんから「吉川さんのシンバルキックで」というオーダーがあったという話とかアニメーターの方々もおやっさんの足技のことを特に前置きもなくシンバルキックって言ってる話とかがパンフレットに載ってて笑っちゃいました)
お話的なところで言うと、これは僕が仮面ライダーWというシリーズを好きな理由の一つでもあるんですけど、鳴海壮吉という人はずっとカッコイイんですよ。
物語が始まった時点で故人である人の話をする場合って必然的に時間を遡ってエピソードを深掘りしていくしかないわけですけど、その作り方って続けていくと過去に作られた因縁が敵になったり、今まで見えてなかった負の側面みたいなものが現れたりすることがままあるじゃないですか。
例えば”おやっさん”繋がりで言うなら『龍が如く』シリーズ。
ゲームをずっとやってる人なら分かっていただけると思うんですけど、風間のおやっさんも荒川組長も続編が出るたびに(あれっこの人やっぱりダメだったんじゃね……?)ってなっていくじゃないですか。
で、そうなっていくとそういう人物に無条件に近いレベルで心酔している主人公の株も少し下がった感じになり……ってことになりがち。
だけどWのおやっさんは、鳴海壮吉はどれだけ過去のエピソードが深掘りされてもずっとカッコイイままなんですよ。おやっさんがずっとそういう人でいてくれるから、そんな人に憧れて背中を追い続けている翔太郎のことも信じられるし彼の言葉をきっかけにミュージアム離反を決断したフィリップのことも応援できる。
(強いて言うなら亜樹子にもうちょっと何かしてあげて欲しかった感はあるけど、それもMOVIE対戦で一応の決着はついてるので)
津田健次郎さんの声も、吉川さんとは似てないけど「この座組の」おやっさんの声として完璧でしたし、他のキャストの皆さんもTVアニメの時より馴染んでて、特におやっさんが死んだ時の翔太郎の慟哭なんてもう完全にイメージ通りの翔太郎の声でした。
挿入歌も「ここでこれ流れたら気持ち良いよね~!」っていうタイミングと選曲で、すでに知ってることを知ってる通りに映像化していく映画の最後に映画だけのサプライズとしてオーシャンドーパント戦というオマケまで用意してもらって本当に最後まで大満足でした。
ただ、この映画にも明確に欠点と呼べるポイントが一点だけあって、
それはエンドロールの後に「TVアニメ2期製作決定!!」のアナウンスがなかったことですよ!!!!
だって万灯たちがミュージアムとWの戦いを振り返ってるシーンに、原作漫画の同じ箇所では登場してなかったジョーカードーパントの姿を映してるっていうのはもう続編のこと見据えてますよってことじゃないですか!
そう捉えてもいいんですよね!!
待ってますよほんとに!!!!