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映画感想 #145『クレイヴン・ザ・ハンター』

『クレイヴン・ザ・ハンター』を観ました。

監督:J・C・チャンダー
脚本:アート・マーカム、マット・ホロウェイ、リチャード・ウェンク
出演:アーロン・テイラー=ジョンソン、アリアナ・デボーズ、フレッド・ヘッキンジャー、アレッサンドロ・ニヴォラ、クリストファー・アボット、ラッセル・クロウ、他

幼い頃、裏社会を牛耳る冷酷な父親とともに狩猟に出かけた際、巨大なライオンに襲われたことをきっかけに「百獣の王」のパワーをその身に宿したクレイヴン。自身の父親がもたらしたこの世の悪を始末するという目的を抱いた彼は、金儲けのために動物を殺める人間たちを次々と狩っていく。一度狙った獲物はどこまでも追い続け、必ず自らの手で仕留めるクレイヴンだったが、そのなかでやがて、縁を切ったはずの父親との対峙を余儀なくされる。さらに、全身が硬い皮膚に覆われた巨大な怪物ライノの出現によって、戦いは次第にエスカレートしていく。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/99688/

ソニーが展開するスパイダーマン(のヴィラン)ユニバース、SSUの新作。
これまでがこれまでだったので「頼むから次こそは面白い映画であってくれ……!」という気持ちと「今回もガッカリして帰ってくるんだろうな……」という気持ちがないまぜになった状態で観に行ったんですが、SSUの中ではトップクラスに一本の映画としてよく出来てたんじゃないかと思います。

この「一本の映画として」っていうのが重要で、本作には今までのSSU作品に程度の差はあれど必ず存在していた「最終的にトム・ホランドのスパイダーマンとの合流もさせようかな~、どうしようかな~」みたいな匂わせが全然ないんですね。そのどっちつかず感がなくて、これ一本であるキャラクターのオリジン映画として成立している。この一点だけでもSSUの中では突出して潔いし、好感度が高い部分。
劇中ではっきり今後の展開に繋がりそうなのってディミトリがカメレオンとして完成したことくらいだし、ユニバース関係なしに単独シリーズとしての続編も十分あり、というかやって欲しいくらいなんですよね。なので日本での公開前にSSUが事実上の打ち切りになってしまったのが残念でならない。

アーロン・テイラー=ジョンソン史上最高に仕上がった身体と役への取り組み方を見てるだけでも楽しいし、アクションの塩梅もなんか丁度良かったんですよね。超人過ぎない超人さというか。

今作でのクレイヴンは父親の支配から逃れることと、父親が生きてる世界にはびこる悪人を断罪していくことが劇中での目的なので、立ち位置的にはヴィランというよりダークヒーロー寄りなんですが、その手段が殺しである以上はライトサイドのヒーローにはなれないし、父親を殺した結果その後釜に弟が収まって次の敵になるっていうのも親の因果が子に巡るというか、正しくない戦い方をすれば正しくない結果になるというか、クレイヴンもまたヴィランとして完成してしまった感があって良かった。

全体的にディテールが曖昧というか、なんかぼやっとしてるなーというところは正直結構あって、個人的に一番気になったのはクレイヴンがアジトにしてる建物がいくらなんでも子供一人で行くには僻地すぎるだろうってことと、最初あんなにボロボロだったのにどうやって修繕したんだろうとか、世間的には都市伝説レベルの謎のハンターってことになってるのに輸送機のパイロットやってくれてた人とはどういう関係なんだろうとか、

あとはもうSSUの根本的な問題として、スパイダーマンが出てこない以上は敵もまたヴィランになるわけで、どうやったってヴィラン同士で潰し合うストーリーになるしかないっていうのはやっぱり勿体無いよなあと。今回におけるメインヴィランのライノだって、本当なら一人でスパイダーマンのヴィランを張れるキャラクターなんだし。

……本当にこれでSSU終わりなんですか……?

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