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映画感想 #156『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』

『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』を観ました。

監督、原案:近藤亮太
脚本:金子鈴幸
出演:杉田雷麟、平井亜門、森田想、藤井隆、他

一緒にかくれんぼをして遊んでいた弟が失踪してしまったという過去を持つ兒玉敬太。その後も弟の日向は見つからないままで、現在の敬太は行方不明者を捜すボランティア活動に従事している。そんな彼のもとに、母親から古いビデオテープが送られてくる。そこには、日向がいなくなる瞬間が映されていた。霊感のある同居人・天野司はそのビデオテープに禍々しさを感じ、敬太に深入りしないよう忠告するが、敬太は忌まわしい過去の真相を暴くために動きだす。敬太を取材する記者の久住美琴も加わり、3人は日向が失踪した山に足を踏み入れるが……。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/102282/

今月一番楽しみにしていた新作ホラー映画。

事前に「ジャンプスケアなし」を売りの一つにした宣伝が結構打たれてたと思うんですが、観た印象だとそれは七割方正しいっていう感じです。

確かに急にでかい音をバーンて鳴らす恐怖演出はないんですけど、音で驚かせる演出は結構、それもかなり効果的に使われてるんですよね。何度も印象的に鳴らされる熊よけの鈴の音だったり、誰も触ってないはずのテレビがひとりでにつく時のブゥン……って音だったり、電話での会話中に一瞬だけ聞こえるノイズだったり。あとは音が全くない状態が逆に怖い場面もかなりあって、基本のボリュームをめちゃくちゃ絞ってるから小さい音でも十分怖いっていう味付け。

とにかく観ている間ずっと安心できない映画でした。
上述の通り派手な演出はないんですけど、その代わりに不穏で満たされた空気の中に飛び込んでひたすら我慢する2時間というか。
視覚的な恐怖演出も、途中に一回だけある直接的な幽霊出現描写以外はなんとなく観てると見逃しかねないアハ体験みたいな演出が多くて、でも映画自体が画面に食い入るように集中して観ることをなかば強いられるような作りになってるので、否が応でも気づいてしまうようになってるんですよ。
最初に敬太の実家を訪ねた時、窓から入ってきた光が司の頭の上にかかっていて、空気の対流で埃が舞っているように見えていたと思ったら黒いもやみたいなものが司に降り注いでる絵に変わってたりとか、司がもう一度敬太の実家に行った後で久住記者と電話している時、後ろにある家の窓に人影が少しずつ浮かび上がってきたりとか。

あと民宿で祖母の話を聞かせてくれる人があまり慣れてない感じなのも良かった。敬太の母親が突然送ってきたビデオを観る、というファウンドフッテージものの部分と、弟失踪の真相を探る現在のパートの間に彼がいる感じとでも言ったらいいんでしょうか。

例の廃墟で久住記者の腕を掴んだのは誰だったのか、とか、弟は結局何のせいでどうなったのかとか、核心に近い部分ほど観客の想像に委ねるのも往年のJホラー感があって僕は嫌いじゃないです。多分こういうことだったんじゃないかなあという予想は2つほどあるんですが、ここでは述べないことにします。

余談ですが、こういうファウンドフッテージもののホラー映画を観るたびに「いやでもVHSの映像ってもうちょっと綺麗じゃなかったっけ……? いくらなんでも画質ガビガビにしすぎじゃない?」って思ってて、今作を観た時もそうだったんですが、パンフレットによるとこの映画には実際にビデオテープを使って撮影された映像が使用されているとのこと。もうちょっと綺麗だと思ってたのは僕の思い出補正だったみたいです。

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