観た映画の感想 #105『インフィニティ・プール』
『インフィニティ・プール』を観ました。
僕が好きになりがちな俳優のタイプに「ひどい目に遭い続けるのが似合う」というのが一つあります。※褒めてます
その部門だとマイケル・ファスベンダーがダントツで好きな俳優でした。
なんですけど、今作を観てアレクサンダー・スカルスガルドもその系譜の俳優じゃん! と思ってしまいました。いやね、やつれていく様が本当に絶品だったんですよ……
※繰り返しますが褒めてます
誰がどう見ても「そっちに行ったらアカンよ!」っていう悪逆にハマっていって、自分を見失いながらボロボロになっていくアレクサンダー演じるジェームズも良かったんですが、それ以上にミア・ゴスの存在感が凄まじ過ぎました。やばい女の演技がちょっと演技に見えないくらいのハマりっぷり。「女優」(しかも最初にジェームズの前で披露した演技は言葉に困るほどの大根演技)っていうのが『パール』のパールを彷彿とさせる設定でしたけど、今回のミアは演技の上手い女でしたね。
彼女にはいつかバットマンの映画でハーレイクインをやって欲しい。ホアキン・フェニックス版ジョーカーのハーレイはレディー・ガガで決まっちゃってるから、ロバート・パティンソン版のバットマンでどうか……
それはさておき、ブランドン・クローネンバーグ監督。
デヴィッド・クローネンバーグという、あれだけ癖の強い映画を撮る父を持っていて、なおかつ父が得意とするジャンルに近い映画を作るって凄いガッツのあることだと思うんですが、父親の影響が強く出てるなーという部分と父親とはちょっと違うなーという部分が良い感じにミックスされてきたという印象を受けました。頭蓋骨が砕けるまで顔を殴るとか、人体を縦に引き裂いたらその中から……みたいなボディホラー演出だったり、あとは「冷静に考えたらそれ何の意味があるんだ……?」っていう謎の装置とか、
そういうところにクローネンバーグっぽさを感じつつ、例えば怪しげな煙を焚きながら乱交パーティーになだれこむあたりの思いっきりドラッギーな感じの映像表現とかはお父さんのほうはあまりやらない演出だなーと思ったり。
ひとつ気になったのはタイトルにもなってるインフィニティ・プールが物語に全くと言っていいほど関わらなかったことなんですけど、何かのメタファーなんだろうか……