観た映画の感想 #40『ブラフマーストラ』
『ブラフマーストラ』を観ました。
まず、映画が始まって最初に出てきたのがシャー・ルク・カーン! 予告編見ても全く気付いてなかった(一瞬姿は映ったけど顔は分からなかったし、最後のキャストクレジットも見逃してた)からそこで一つ大きなサプライズがあって、しかも割とあっさり退場するんですよ。
勿論見せ場はちゃんとあって、恐らく彼が最も得意としているであろう飄々としてるキャラクターだったり、壁蹴りとか突起を利用した壁登りに足技を多用した軽快なアクションとか楽しい要素もあるんですが、それにしても映画始まった直後の序盤も序盤でシャー・ルク・カーンをこんな風に使ってもいいんだ……ハリウッド映画で例えるならMCUの新作にトム・クルーズがチョイ役で出て、しかもMARVEL STUDIOSのあのロゴが出る前に死ぬみたいなもんですよ? これだけで「贅沢~!!」ってなるし、この映画すごいことをやろうとしているな……!? って期待度爆上がりなわけですよ。
余談ですけど本作の”アストラバース”(宇宙からもたらされた神秘の力である「アストラ」と、それを現代まで代々受け継いできた守り手がいるという世界観)はシェアワールド展開も視野に入れている設定らしく、シャールクが演じてたキャラクターもアストラの守護者の一人なので、今後彼が主役のスピンオフもあるんじゃないかなーと思ってるんですがそのへんどうなんでしょうか! 期待してもいいんでしょうか!!
それはともかく、インド神話的な世界観と超絶スケールエンターテインメントって相性めちゃめちゃ良いんだなっていうのが第一の印象。そもそもインド神話自体が宇宙規模の創造も破壊もとんでもない力を持った神々も英雄もなんでもありの物語体系なわけで、そういう下地があるお話を実写で大真面目にやりきるっていうのがもうすごいと思うんですよ。同じことを日本でやろうとしたら多分前後編の劇場アニメになる。(どっちが良い悪いではなく得意分野の話)
ダンスと歌のシーンで使われてる音楽もいいし、あとはやっぱり主演二人がリアル夫婦っていうのもあって……というかこの映画での共演がきっかけで結婚したってことなので撮影時はまだお互い好き同士くらいの感じだと思うんですけど、とにかくイチャつきに尋常じゃない説得力がある(笑)
それぞれのアストラが持っている能力の見せ方もキャッチーで分かりやすくて、そういう異なる力の持ち主たちがひとところに集まって敵に立ち向かっていく絵というのもアベンジャーズ的な熱さがあって純粋に盛り上がる。
ただ、それぞれの力の発揮ポイントが単発すぎて、見た目のド派手さの割に一人一人の見せ場は割とすぐに終わっちゃって全体的にあっさり目な印象になってしまっているのは残念。もうちょっとそれぞれの力がうまくコンビネーションとして働いてるような場面があったらもっと楽しかったのになあと思ったのでここは勿体無い。
あと、インド映画の長尺が悪い意味で間延びしちゃってるなーと思ったところもいくつかあって、例えば終盤で敵の軍勢が攻めてくるぞ! ってなった時に急いで拠点に戻ってきたのはいいんですけど、そこから結構しっかりと荷造りを始めたりするんですよね。いや悠長悠長~!
更にそこに別の場所に逃げていたヒロインが合流した時、主人公のシヴァが「炎のショーを見せるよ」とか言って修行の成果を披露し始めるわけです。いや悠長悠長~!! ほらもう後ろに敵おるやんけ!!
その修行のくだりもミュージカル的な歌とダンスの流れで進んでて、音楽自体は良かったんですけど、絵的には同じことをずっと繰り返してるだけで単調だったなーというのが正直なところで、これはバーフバリとかRRRに大いに熱狂していた民の一人としてはどうしても比較してしまって気になるところでした。やっぱり、一つ一つの動きにいくつもの意味を込めてアクションをしながら物語もスピーディーに進めていくみたいなテンポの良い語り口に関してはラージャマウリ監督のほうが一枚も二枚も上手です。
っていう風に惜しいところもあるにはあるけど、全体的にはとても頑張っているし楽しめました。あと最初に書いた通りこの映画ってシェアワールド企画の第一弾ですし、本作自体が”ブラフマーストラ三部作”の1作目なんですけど、こういうのってきちんと続くことがものすごく重要だと思うんですよ。MCUにはそれができたからあそこまでの一大フランチャイズになれたし、逆にDCはユニバースとしてのきっちりとした芯を作ることができなくて迷走してしまったわけで、この一作だけでユニバース構想が頓挫しちゃうのは惜しいなって気持ちにさせられる一本だったのは間違いがないので。
なので、次回作も楽しみにしてますし、日本での公開もお願いしますよ!!ほんとに!!
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