2022年9月の読書記録
こんにちは。こんばんは。
先月から始めた読書に関するnoteですが、思ったよりも反応もらえたので今月も続けていきますよ!笑
ほんとね、、読書垢冥利に尽きます🙏
そしてもし、noteから私にたどり着いてくれたという方はTwittterもフォローしてやってください。
ちなみに先月の記事はこんな感じ。
1冊目: 『星降り山荘の殺人』 -倉知淳
今月も初読みの作家さんが多かった、、
1冊目は倉知淳さんの星降り山荘の殺人です。
「ミステリ おすすめ」とかで検索すると大体出てくる本格ミステリでは定評のある作品ですね。
題名からもお察しの通り、バリバリのクローズド・サークル系ミステリ小説です。
あらすじ
そして書き出しがこう!
読者への挑戦状感のある説明から始まり、一気に物語に引き込まれます。自ずと脳内も本格ミステリモードに切り替わるのです。
あらすじにもある通り、登場人物の癖がすごい。
多くのミステリにありがちな ---鍵となる人物のみ詳細に説明されていて、他の人物は放置---みたいな状況がなく、全員が怪しく見えてきます。
星は☆☆☆☆です!
5つ付けたいところなのですが、なんと犯人をドンピシャで当ててしまいました笑。ミステリはミステリは犯人が当てられない方が面白い!という真理。
2冊目: 『若きウェルテルの悩み』 -ゲーテ
もうね、、感想が難しいのよ!古典は!
過去にも『金閣寺』やら『雪国』やら『老人と海』やら『車輪の下』やら読んできましたが毎回「これはどう解釈するのが正解なんだ?」とか良くない思考に陥ってしまう。
まだ日本文学であれば情景描写だったり、昔ながらの日本語を堪能するみたいな文化的コンテキストで乗り越えられることはあっても、海外文学になるとこれがまあ難しい!
あらすじ
本書は詩人や劇作家としても有名なドイツ人のゲーテによって書かれています。日本人には作家のゲーテより音楽の授業で習った「魔王」の作詞家としての一面の方が知られているかもしれませんね。
「お父ーさん、お父さん!
魔王のささやきが聞こえないの?」ってやつ、中学生の時に口ずさみながら帰った思い出があります笑
余談は置いといて、
本書は主人公のウェルテルが友人に宛てた書簡が小説になっています。自分の生活や心の移り変わり、そして最もウェルテルを悩ます恋愛についてが綴られているわけですが、もうずっとウジウジ悩んでいます笑
現代人から見ると「何悩んでんねん!猪突猛進でいけ!」と言いたくなるのですが、そうはいかないのが海外古典・海外文学。
当時のドイツ(正しくはドイツ帝国)では許されない恋愛事情に葛藤し、果ては自殺してしまうウェルテルの生涯が描かれています。
何より恐ろしいのは解釈によって自殺という行為が美しいものとして捉えられてしまう点。本書が西洋に流行すると共に自殺者がものすごく増えたらしいです。。。
毎度お馴染み星の数ですが、、
星☆☆です!!
背景を知ると興味深い作品ではあるのですが、やはり翻訳物・海外古典ならではの読みづらさもあり、、小説としては盛り上がり・展開の多さに欠けてしまう部分があるので、どんな作品か知っているだけで良い気がします。
3冊目: 『卒業』 -東野圭吾
東野圭吾の初期の作品。
まだ東野圭吾が有名になる前なので、彼の代名詞である社会派ミステリの要素がありつつも、作中に図解があったりとどこか本格ミステリっぽさが感じられる作品です。
あらすじ
東野圭吾さんの人気小説- 加賀恭一郎シリーズの1作目です。
続く作品である『眠りの森』、『新参者』、『麒麟の翼』、『祈りの幕が下りる時』で主人公の加賀恭一郎を阿部寛さんが演じていることで有名です。
びっくりしたのが1作目の『卒業』では加賀恭一郎がまだ大学生ということ!
イケおじのイメージが強い阿部寛さんで構えていたので、大学生にすり替えるのに中々苦労しました笑
本作を自分なりに定義するなら「和ミステリ」!
就活中の心境や高校生活の淡い思い出など…日本ならではの学校生活を感じられると共に、話が大きく動いていく茶道のゲーム(雪月花之式)が印象的な作品です。
ミステリ自体が西洋からの文化ということもあって、館や交通機関を舞台としたものが多いのですが本作は日本の文化とミステリがうまーく調和していると感じました。
星の数は☆☆☆!
冒頭で社会派と本格派どちらの要素もあると言いましたが、社会派ミステリの要素がある以上、もう少し各登場人物の深堀利をして欲しかったと感じました。。。
宮部みゆきさんの『火車』とかはその点、「そんなにも描くのか…」というぐらいその人物の半生に厚みがありましたね。。
4冊目: 『汝、星のごとく』 -凪良ゆう
続いては9月に多くの読了ツイートが見られた凪良ゆうさんの最新作『汝、星のごとく』です。
凪良ゆうさんの作品だと以前『流浪の月』を読んだことがあって、それがめちゃめちゃ良かったので今回も心に響く自信しかありませんでした。
(流浪の月は名刺代わりの小説20選が許されるなら、絶対入る作品)
あらすじ
『流浪の月』を既に読んでいて、好みだという方は本作も絶対に読んだ方が良い!まず構成がプロローグで主人公の現在に始まり、その過程を最初から追っていくという形式でかなり似ています。
ただし設定はまるっきり違う内容。どこか一癖ある両親を持つあきみと櫂の出逢い、すれ違い、そして2人の物語がどのような結末を迎えるのかページを読む手が止まりませんでした。
映画『あと1センチの恋』や『花束みたいな恋をした』のような、もどかしい!だけどどこか羨ましく思ってしまう2人の関係性が絶妙に心をくすぐります。
また島で暮らしているからこそ断ち切れない親や近所との関係。都会への憧れ、社会人になる上での選択肢の数々… 僕には到底理解ができるものではありませんが、似た環境にいる人には励みになるはずです。
星は…☆☆☆☆☆!
凪良ゆうさんの作品は心の抉られたことない部分を抉ってきます。
何より1つ1つの描写が綺麗で、、繰り返し読みたくなるフレーズがいくつもありますし、タイトルが読了後だととにかく沁みます笑
余談だけど、Twitterって句読点を入れてしまうとハッシュタグとして無効になってしまうのよねー。あれあると作品上手く広められないので早く治してほしい笑 #汝、星のごとくってあげたかったのに。。笑
5冊目: 『invert』 -相沢沙呼
続いては城塚翡翠シリーズの2作目となる『invert』!
つい最近さらに続編となる『invert II』が出版されたり、ドラマが10月から放送予定など今アツイ作品です。
あらすじ
一つ忠告をしておくと、絶対に前作の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』を読んでから手に取ってください。
大事なことなのでもう一度言います。
絶対に『medium 霊媒探偵城塚翡翠』を先に読んでください。
平気で前作のネタバレがありますし、『invert』を読んでから『medium』に戻ってしまうと『medium』の驚きが半減どころかゼロになってしまいます…
というわけで下手な感想はあまり言えません。
一つ言えるとしたら城塚翡翠シリーズは続編も面白いっ!
おすすめ度は星☆☆☆☆です。
先月は星5つを量産し過ぎてしまったので今月から厳しめです笑
6冊目: 『ファミリーランド』 - 澤村伊智
続いては澤村伊智さんの新作『ファミリーランド』
先月は『予言の島』を読んで衝撃を受けたので、他の作品を読んでみたくて手に取りました。
あらすじ
もうね、、、最高ですよこの本。
ホラー、ミステリ、テクノロジー、SF、全てを兼ね備えた短編集。
全6作で構成されているのですが、どれも不気味でなかなか忘れられません。
星新一がコミカルにテクノロジーを描いたとするなら、この作品は完全に真逆。「こんな未来は嫌だ」というテーマがピッタリの後味が悪い作品が揃っています。
導入からオチまで心を離さない構成は「世にも奇妙な物語」っぽさもあり、普段は映像化なんて。。って思うタチなのですが、これはガチの俳優さんの演技・演出で見てみたい!そう思います。
どれも秀逸な作品ばかりですが、
巻末の作品『愛を語るより左記のとおり執り行おう』が最も近い将来あり得そうで面白かったです。。
対面しない葬式が一般的な世界で、二十世紀型の葬儀を希望する死者とそれを実現するのに苦難する遺族。
現代の我々からすると思わず吹き出してしまうのですが、私たちも時代の流れとともに忘れ去ってしまっている慣習が数多く存在するのかもしれません。
どれも夢中になって読めたので、
星☆☆☆☆☆です
澤村伊智さんの描ける世界の幅に感服しました!
7冊目: 『厭魅の如き憑くもの』 - 三津田信三
はい、急に怖い表紙のやつ。
ずっと前から興味を持っていた作家さんで、特に『首無しの如き祟るもの』がやばいと聞いた律儀な私はシリーズ1作目に挑戦したわけです。
表紙や下のあらすじからも推測できる通り、この「刀城言邪シリーズ」は日本古来の不気味な慣習×ミステリというテーマで刊行されているシリーズものです。
*似たテイストのミステリを描く横溝正史や京極夏彦も実は読んだことなく、どうなるか全く予想ができないまま入っていきました笑
あらすじ
まず驚くのは作り込まれた設定。
本格ミステリではお馴染みの絵図や建物図ですが、それが村全体のレベルで出てきます。それで終わらず事件現場の補足が入ってきたり、鍵となる場面の描写が繰り返しあったりとで、架空の村にも関わらず、村の様子がありありと想像できます。
それに加え、あらすじにある両家がどのような距離感で存在するのか物凄く事細かに説明がされています。(人物相関図も細かく、何度も行き来しました笑)
日本古来の慣習をミステリに組み込む以上、信仰の背景・都市での生活とのギャップ・事件との関連性…と膨大な説明が必要、逆にこれが少ないと話全体が薄っぺらく感じるためバランスが難しいところです。
上の感想を見てもわかると思いますが、、
星は☆☆です!
説明過多な気がしてしまい、解決された喜びよりも読み疲れたという感想が近くなってしまいました笑
ただ探偵役の刀城言邪はミステリにしては珍しく、やけに人間的で親近感が湧きましたね笑
(ホームズもポアロもドルリー・レーンも人間離れし過ぎてるので笑)
8冊目: 『愚者のエンドロール』 -米澤穗信
あらすじ
はい、お次は米澤穂信先生の『愚者のエンドロール』
これもまたシリーズもの(古典部シリーズ)の2作目ですね〜
1作目『氷菓』の時のツイート↓↓
実は『氷菓』であまりハマらなかったものの、2作目は面白いと聞き、猜疑心持ちながら読んだところこれがまあ面白い!!
1作目は青春ミステリ色が強すぎ。それなのに、高校生たちの言い回しが臭いところがなんだか気になってしまいました。
今作はというと、「ミステリ好きのための青春ミステリ」と言っても良いくらい!普段本格ミステリを読む人でも間違いなくハマることのできる作品です。
また前作は連作短編集のような形式だったのですが、今回はしっかりとした長編。(といっても254ページなので程よい長さ)
前作では気になってしまった青春きらきら感、事件性の薄さが全て無い。
まさに最高のバランスの青春ミステリを見つけられた気がします。
なんか『氷菓』をボロクソ言っているみたいになってしまいました笑。
僕がなんと言おうと多くのファンがいる小説ですし、『氷菓』があってこそ『愚者のエンドロール』のキャラクターに愛着が湧いているのかもしれません。もう少しシリーズ読み進めたら『氷菓』にまた戻りたくなるのかも。
おすすめ度は星☆☆☆☆です!
9冊目: 『残像に口紅を』 -筒井康隆
あらすじ
自分が描く小説(虚構)に満たされた亡くなった主人公が、現実を小説の延長とし、言葉が1つずつ失われていく世界を生きていく話です。
何がすごいかって、例えば最初に失われるのが「あ」の音なのですが、ストーリーと並行して、それ以降小説では「あ」を全く使うことが許されなくなります。まさに実験的かつ変態的な小説です。
言葉が失われていくとそのモノ・人を表現する方法、強いては概念がなくなるわけで、どんどん世界から存在が消えていきます。
ランダムに50音が消えていく世界で最後に残るのはどの文字なのか、後半どんなふうに話を成立させていくのか、やろうと思っても中々描けない小説を筒井康隆はこの世に残しています。
特に驚いたのは物語の後半まで、小説の読みやすさの観点では全く支障がないこと。途中に24音も失われている中での官能的なシーンがあるのですが、筒井康隆の表現力・語彙力に圧倒されます。
気になる星の数は☆☆☆☆!
似たような作品に出会ったことがなく、記憶に残ること間違いなし。
終わりに
今月もジャンルに囚われずに色んな小説を読めたがします。
10月も続けていく予定なので、「暇だな〜あいつのnote読んでやるか」くらいの感じで立ち寄ってくれると嬉しいです。
個人的にはもっと作品の奥深さについて言及したり、多様な視点で解説できればと思っているので、どんどん文章や考察力を磨いていく予定です✍️
最後に9月の総括ツイートはこちら↓
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?