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詩 未満

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詩のようで詩でないもの 詩でないようで詩のようなもの
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#カメラのたのしみ方

バージンロードまで…

バージンロードまで…

駅から学校までの葉桜並木
その緩やかな坂の途中で
君は何かを待っている

行き過ぎる顔は
皆どれも同じに見えて
僕にはお目当てがさっぱりわからない

君は来るとも知れない何かを待ちながら
手持ち無沙汰に僕の手を打つのだ
苛立ちとも不安とも取れる仕草で

さぁもうお行き
そのグラグラとした目の奥の影を見て
僕は促した

一歩進みかけて
振り返る
また一歩踏み出しては
振り返る

一度僕の顔を見て

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ずっと忘れへん

ずっと忘れへん



毎年やってる花火やけど
今年くらい特別なんはない
どっこにも出かけんと
田舎にすら帰れへん
でもそれは特別な魔法や
いつもは埋もれてしまう思い出も
今年だけは上位に食い込むで
だからずーっと忘れへんねん
あの夏のあの花火だけはな

いつもと変わらない雨の道

いつもと変わらない雨の道



いつもと変わらない
いつもの道
それは変わらずそこにある

いつもと変わらない
いつもの日々
それは必ずそこにある?

そんなことはない
当たり前の日常なんてない

祈りや感謝
それは当たり前が当たり前でいられる為にある

明日が今日のように平穏でありますように
今日も一日幸せでしたありがとうございました

この退屈で素晴らしい日常に感謝し祈ろう

背中

背中

いつからかね
あなたの背中を見てたのは

好奇心に溢れるあなたは
いつも僕を置きざりにする

どんどん進め
振り返らず進め
でも…

つまづいたら
転んだら
いつでもこっちを向いていい

その時は
あなたがもう一度前を向けるよう
勇気付けるから

今は進め

備忘録

備忘録

彼女が手にしているのは
ポケモンのアシマリ
どこへ行くにもいっしょ

手に持ってなくても
カバンの中や
リュックの中に潜んでいる

パンパンのポシェットに
ギュウギュウの荷物
アシマリも苦しそうだ

雨の日も
風の日も
晴れの日も
いつもいっしょ

いつか
大きくなったら
忘れてしまうだろうか

君が忘れてしまってもいいように
僕がここに残しておくよ

黄金律

黄金律

アシマリ、これが池だよ
と言って池を見せる

あちこち行く度に
アシマリにあれこれ見せる謎の儀式

アシマリを通して見るこの世界
それは美しいだろうか
それは優しいだろうか

美しいからこそ
優しいからこそ
見せたいのだ自慢したいのだ

僕らがそれを護らなければ
彼女の未来を

反比例の法則

反比例の法則



古今東西
こどもがやりたいことは
えてしておとながして欲しいことと相反する

その日は梅雨の晴れ間で
目の前に広がる光景に
思わず彼女は父親の手を強く引いた

対する父親は
娘の興奮を目の当たりにして
これから起こるであろう出来事を想像し躊躇した

娘が手を引く力が強まる
それは父親のためらいを察知したから
父親の顔にそう書いてあるから

娘に手を引かれながら
父親は妻の顔を思い浮かべた
ママ

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バトンは渡る

バトンは渡る

僕には背負うものがある
僕の両親もそうだったろう

母は
僕が小三の時に
一念発起して
学生になった

高卒の母が
夜遅くまで
勉強をして
看護学生になった

いつも9時に寝かされていた僕
ベットに横たわり
フスマから漏れてくる明かりを見つめながら眠りにつく
その明かりは僕が起きているうちに消えることはなかった

僕には背負うものがある
僕の両親もそうだったろう

それはなんのため
そしてだれのた

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リズム/呼吸

リズム/呼吸

けんけんぱ
イチニッサン

大地を蹴るリズムと
シンクロする呼吸

それは美しく愛おしい

アカアオキ
レッドグリーンイエロー

シャボン玉は
次々に色を変え

点在するブロックは
いつしか僕の中で混ざり合うハーモニー

軽やかなステップで
この困難を飛び越えて
息をするように

HELLO

HELLO

男子にはないのよ
その感じ
鏡越しの自分に微笑みかけたりとか

男子にはないのよ
その感じ
化粧して気分がアガるとか

ホワホワ
ポワポワ
自分に夢中やね

幸せやなー
羨ましいわ
ほんまに

世界は好きなもので溢れている

世界は好きなもので溢れている

好きなお菓子の言い合いっこ
好きなご飯の言い合いっこ
好きなフルーツの言い合いっこ
好きな外食屋さんの言い合いっこ

学校に向かう道すがら

パパは何が好き
って聞きながら
自分が話してばっかり

…うん…うん…うん…
頷きながら
あなたの好きで溢れるこの世界を護りたいと思った

ベターハーフ

ベターハーフ

何のために自分が生まれてきたか
なんて知る由もない

何ために自分が生きてるか
なんて知る由もない

ただ息をして
ただ食べて
ただ眠る

そんな日々に
意味を与えてくれた存在

生まれてきた意味を
生きる意味を

知りたくて
求め彷徨う日々

見つけたと思って
やっぱり違った
その繰り返し

そんなものはないかも知れない
ただ生物的に生まれただけだと

そしてあなたと出会えた

あなたは生きる意

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Hero

Hero

パパはなにになりたいの
唐突に娘に尋ねられた

逡巡した後
会社員だよ、もうなってる
と答えた

ちがうよ、それはおしごとでしょ
おおきくなったらなにになりたいかをきいてるの

僕はもう43歳で
身長は181センチもある
十分におおきい

僕の迷いを見透かしたように
彼女が納得するまで追求は続く

HERO
君だけのヒーローに僕はなりたいのだけど
会社員は世を忍ぶ仮の姿で…

そう言いかけて
ふと

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選ばれしもの

選ばれしもの

どうして君はうちに来たの
僕や妻が君を望んだのだろうか
なぜ他の誰かではなく君だったのか

どうして君はうちを選んだの
君が僕や妻を望んだのだろうか
なぜ他の誰かではなく僕や妻だったのか

君は妻が良かったと言う
空の上から僕達2人を見ていたと言う
妻が可愛くて優しそうで
だからうちに生まれることをかみさまに望んだと言う
道理で仲が良いわけだ

この話に
最近僕も加えてもらえるようになった
パパも

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