見出し画像

高校の古文読解が一冊でしっかりわかる本 感想


対象読者

スタディサプリで活躍されている岡本先生が書かれた高校の古文読解が一冊でしっかりわかる本がどのような本か気になる、使い方が知りたいという方が対象です。

内容

全体の構成は
1章 古文読解のはじまり
2章 古文読解の方法
3章 古文読解にチャレンジ
巻末付録
となっています。

文法から読解法へと繋ぎ、その後は古文をどんどん読んで古文を読む経験を積んでいくスタイルで、読むことに特化した参考書です。英語でいうとハイパートレーニングに近いです。問題という問題はついていなく、内容の理解を試す質問が読解チェックという形である程度です。そのため他の岡本先生の参考書のように解き方は扱っていません。しかし、その分読むことにふっている参考書になっています。古文自体解きより読みですし、読み方解き方両方いっぺんに学んでしまい吸収出来ないパターンがありがちなので、一つのことに集中できるこのスタイルは悪い所ではないです。内容的にはスタディサプリのベーシック古文読解にかなり近いです。

章ごとに軽く説明していきます。

1章 古文読解のはじまり
→参考書の名前に古文読解と書いてありますが歴史的仮名遣いから、つまり古典文法からはじまります。読解がメインなので決める共通テスト同様、文法はまとめノートレベルの扱いと思われるかもしれませんが、普通の文法の参考書と同じかそれ以上に説明があります。ただしあくまで読解がメイン本なので、普通の文法書に比べると内容的な漏れは結構あります。6時間古典文法も少ないですが、これはもっと少ないです。できれば文法は別にしておいた方がいいです。

問題は章の最後についています(2章も同様)があくまで、おまけ程度なので、問題を解きながら身につけて行きたいという方はここからはじめる古典文法やここから繋げる古典文法のような参考書の方がいいです。かなり解説が丁寧で得られるものも多いです。

※ここからつなげるは解釈的な要素も入っています。

2章 古文読解の方法
→古文読解で大事な技術を長文中で確認しながら進めていきます。読解技術に関しては一般的に扱われるもの以外もあります。プラスアルファで背景知識や、現代で考えると間違えてしまう所、勘違いしてしまう所などについても補足説明があります。授業同様かなりボリュームは少なめ目ですぐに終わります。ここで習得しきるというよりは、考え方を知り3章で身につけていくという感覚がいいです。

3章 古文読解にチャレンジ
→2章のスタイルをベースにしつつ、それに、白文、出典知識、導入、読解チェック、読解のヒント、文法読解常識ポイントが追加された形です。15個の長文を扱います。2章とは異なりまずは自力で読む構成になっているので、何も書いていない白文からはじまります。自力で読むことをサポートするために、読解のヒントや導入もついているのて取り組みやすくなっています。

これが終われば古文ポラリスを使って読解ストックをためていったり、志望校レベルまで持ち上げていくのがオススメです。

巻末付録
・用言活用表
・助動詞活用表
・助詞一覧
・敬語動詞一覧
・重要古語一覧
・古文文学史の主な流れ
・古文文学史の作品紹介
巻末付録ではこれらを扱っておりかなり手厚くなっています。基本的に古文単語以外はここで新しく仕入れるというより、すでに仕入れた知識を確認整理するために使うのがオススメです。古文単語は本当に大事なものだけで、読解で大事な物が赤字になっています。古文単語帳がない方はまずはここに載っている単語を覚えてしまうのも一つの手です。古文文学史の作品紹介は貴重で付録の中で一番のお気に入りです。さすがに3時間古文読解ほど手厚くはないですが、類書に比べるととても充実しています。
※自分でいっておいて何ですが、3時間古文読解はほとんど付録が本体なので比較対象が悪いですね…


強み

文法について
先生の他の参考書同様ただ文法事項を説明するのではなく、傾向、前の知識との関連、覚え方、知識の押さえ方、よくある誤解や悩み、どうその知識が問われるか、どう使われるのかを意識した解説になっているので、必要性を実感でき使える形、正しい形、使える形で覚えやすくなっています。

まとめがあるのは勿論のこと、ここが大事です、ポイントです、ここは覚えましょうと、セリフの所や本文を使いながら先生が事前に線引きと強調をしてくれているので、自然と要点がおさえられる形で取り組め、ただの読みっぱなしという事態を防いでいます。
※会話の吹き出しで知識の押さえ方まで書いてあるののは、ニコイチや決めるシリーズと一緒です。

「まだ勉強していないので今は分からなくても構いません」、「完璧に覚えようとしなくて大丈夫!こんなのがあるんだなと思ってくれればOKです」など、学習者の視点にたって書かれているのがとてもよく感じました。布石を打っていくような解説もいいです。

本当に内容に全然関係ないですがキャラやイラストが面白怖いです。上手く説明できませんが、頭身やのっぺりしているスタイルが原因かもしれません。

読解について
古典常識や出典について詳しく、現代語訳にもイラストがついているので、状況がイメージしやすいです。これらがあるおかげで、読む最中に具体的に状況を想像する癖をつけやすく内容が把握しやすくなります。

長文に関してはかなり細かく省略や文法について説明がついていますし、省略については補う理由までしっかりと書かれてあります。それに加え、まだ単語や文法が身についていないことを想定して、かなり基礎的なレベルから細かい単語や文法の注がついているので学習しやすいです。

問題はついていませんが、内容の理解を試す質問の読解チェック、一回ごとの文法や読解、常識のポイントが書いてあるので、読みぱなっしになりにくく、目的意識を明確にしながら取り組めるようになっています。
それらに加え、3章に関しては読解のヒントや導入までついているので、1人で読んでいく学習がしやすくなっています。古文の学習では、一文から長文へいきなり行きがちですが、このように読解のサポートが至れり尽くせりなので、長文に入っても挫折しにくく消化しやすい構成になっています。

弱み

少し改善して欲しい点をいうと、古文ポラリスにもいえますが、現代語訳をまとめて1箇所で表すのではなく、文毎に記載して欲しいなと思いました。これをすることでかなり訳の対応をしやすくなるので学習しやすくなると思います。分割するとしてもThe rulesのように元の文と訳に文毎に番号をふって対応させやすくしてほしかったです。
同じような意見がおそらく出ていると思いますので、レイアウトがごちゃごちゃするなど何かしら理由があるのかもしれません。

昔から思っているのですが、ジャンル別の読解も扱って欲しかったです。古文では盲点になりがちですが、古文にも現代文同様ジャンル別の読解法というのが存在します。これを知っているかいないかで、読解のしやすさが随分変わるので、せっかく読解にふっているならジャンル別の読解も扱ってほしかったです。
後でも述べますがこれが理由で、余裕がある方には3時間古文読解にも取り組んでほしいです。

おそらく元になっているベーシックレベル古文読解と比べるとどうしても、一個あたりの説明が薄くなってしまっているのが少し傷です。授業ではもう少し理屈まで踏み込む所でも結果だけで済ましているところもあるので、この本が初見の人は少し厳しい部分があるかもしれません。

参考書の特性上どうしても結果すでに提示されてしまっているので、どうしても実際の読みとズレてしまうのが痛いです。わかりやすいところでいうとセリフの鉤括弧の付け方なとです。後ろまで読んでわかることも先に書かれてしまっているので、できれば授業などで実際にどういう動きをしているのか知ってから取り組みたい所です。

注意点

*文章を読んだ後まずは全訳を読み、読めなくなった場所を特定する
→古文は他の長文などと違い読める読めない読めると部分的に読めるということはなく、ここから読めてて、ここから読めなくなったというように明確に読めなくなるポイントが存在します。そのポイントを特定し読めなくなった原因を特定し改善することで、少しず読める範囲が広がっていくので、本番解説の前に読めなくなったポイントを特定し、どうすれは正しく読めたのか分析してください。

*全訳と見比べながら本文を全訳する
→古文の学習で最も大変でもっとも力になる勉強です。本文を見て、単語、文法、常識、読解技術を意識しながら、省略を補いつつ訳していってください。英語同様訳がなぜその訳になっているのか考えてください。自分が誤訳してしまっているところは、どう間違えたのか、なぜ間違えたのか分析し、次どうすれば同じような間違いをしないのか考え修正と補強を行ってください。最初は記号がついているものでいいですが、後々は何も書いていない状態のものでできるようにしていきたいです。
※この時よくでる言い回しなどもストックしていきたいです。
※全文の主語を特定してください。

*説明がなくても深掘りする
→重要単語に注な説明がついていない、文法や読解技術が使われているけど説明がついていない、というシーンは度々あります。これは全科目言えますが、解説に書いてあること=その長文で習得しないといけないことではないです。紙面の都合もあるので、書けることには限界があります。

*単語を覚えきる
→知らない単語は覚えきってきださい。古文単語帳に出てきていないけど、長文中ではよく出てくる単語をひろう意味もあります。たまにその単語の別の意味が出てきても、一つ意味は知ってるから覚えなくてもいいという方がいらっしゃいますが、覚えてください。古文単語は複数意味を覚えるのが大前提です。

*3章は自力で読む
→せっかく2章異なり自力で練習をできる構成になっているのですが、白文で学んできたことを使い補助がない状態で読む練習をしてください。解説を読んで理解するだけだといつまでたっても1人で読んでいく力が身につきません。

オススメの使い方

スタディサプリの古文読解、特にベーシックレベル古文読解の復習もしくは、文法が終わって読解に入る前の土台作りに使うのがオススメです。

共通テスト参考書ルート

最初に最低限の骨格を示し、残りは必要、状況に応じて追加で使ってください。
①高校の古文読解が一冊でしっかりわかる
※時間に余裕があればたった3時間で古文読解をして実際のての動かし方、ジャンル別の読解について学んでおきたいです


②決める共通テスト

プラスアルファ

・古文単語
本冊のではさすがに足りないので古文単語帳を一冊しておきたいです。古文単語は、一つ当たりの覚えないといけない意味が多く、英語でいうと多義語や熟語のような覚え方をしないといけないので、一つあたりの説明が手厚いものをオススメします。以下の物がオススメです。

↑学校専売品です。学校専売品は教師が後から説明しやすいように解説がほぼない(かといって説明するわけでもない)のですが、これはかなり珍しく、手厚いではじめてみた時は学校専売品でこのクオリティのものが存在するのかと驚きました。

お金に余裕があれば複数冊購入し解説を読み比べて覚えやすい説明で覚えるようにすると、かなり覚えやすくなります。

決める共通テストに入る前にジャンル別読解の補強としてこちらをしておきたいです。

与太話

最近古文はいい参考書増えてとても学習しやすくなったと思います。市販のものだけでもかなり戦えます。

八澤先生や富田先生にもいえるのですが、解説を読んでいると勉強するのが上手いんだろうなというのをひしひしと感じます。参考書学習をしながら内容だけではなく、学習のコツも吸収していって欲しいです。

こちらが会話形式で個人的にかなり煩わしかったので、普通の説明スタイルが出て喜んでいる方も多いと思います。

漢文版がありますがそちらも同じく読解にふってほしかったと感じました。古文とは文法と読解の比率がだいたい逆転していて、読解がオマケ程度になっいます。古文と同じか読解にふってくれれば、たった3時間で漢文句法と上手く棲み分けができていたと思います。

古文は読めてくると、結構面白くまじかよ、なにー!みたいなシーンがあり楽しいものですので、是非この参考書に取り組んで、少しずつ読めるようにしていって欲しいです。

受験生の参考になれば幸いです。

いいなと思ったら応援しよう!

ルカ
もしよろしければチップをお願いします!頂いたサポートは参考書や授業など記事をかくための活動費として使わせていただきます!