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北アイルランドの港町 ベルファストの名物パブにて

ビール&サイダーフェスティバルのために訪れた、北アイルランドの港町「ベルファスト」。ダブリンから北に登ること約二時間半。

ダブリンからは、長距離バスで約二時間半ほど。アイルランドからイギリスへと国境は越えるものの、バス一本で楽に国境を通過できます。島国出身の日本人からしたら、少し変な感じ。スマホのデータ通信がイギリスに切り替わったタイミングで、「あ、入国した!」と気付きました。

ベルファストは、タイタニックが建造された港町として有名。早く行きたいとは思いつつも、日帰りで行ける距離であるが故に、アイルランドに来て半年間タイミングを失い続けていました。

タイタニックに大きなロマンを感じ続けている私は、アイルランド・コーブの「タイタニック・エクスペリエンス」、イギリス・サウサンプトンの「Sea City Museum」を訪ねて来ました(以下の記事にもまとめています)。

そんな私にとって、タイタニック建造の港町は絶対に見逃せない!ということで行ってきましたベルファスト。

タイタニックにまつわる3大港、クリア!

タイタニック・エクスペリエンス

ベルファストの中心から徒歩約20分ほど。かつてタイタニック号の進水式が行われたすぐ隣の場所に位置しています。入場料は£24.95(約5000円)と少々お高いですが、行く価値のあるミュージアムでした。

タイタニック号の建造から、艤装、進水、処女航海、三つの寄港地を経て、大西洋に至り、沈没。そしてその後の状況や捜索、タイタニック号の発見に至るまで、タイタニック号の辿った道のりを全て追体験することができます。

個人的な「すげー!!!」ポイントは、ミュージアム内に突如現れるアトラクション!五人乗りのマシーンに乗って、かつての造船所を旅するという大人も子供も楽しめるアトラクションです。

コーブやサウサンプトンのミュージアムもそれぞれ特色があって面白かったですが、ここは「造船所だった場所」という特徴を活かした展示が魅力的でした。タイタニック号に実際に装備されていた(そして海から引き上げられた)ライフジャケットや、バイオリン、デッキチェアなど、リアルな展示も多かったです。

タイタニックが出港した場所

ベルファストパブ巡り

さて、やはりどこに行ってもパブ巡りはやめられない!タイタニックの港町、ベルファストにはどのようなパブがあるのでしょう!

日頃から愛読している「Irish Pub」という本の中でも、ベルファストで代表的なパブがいくつか紹介されており、いつか行きたいと願っていました。今回の旅の主目的は「ビール&サイダーフェスティバル」だったので、多くを巡ることは叶いませんでしたが、代表的なパブを数軒訪ねることができました。

やっぱギネスの看板はテンション上がる!

ベルファスト最古のパブ「Kelly’s Cellars」

ベルファストのメインストリートから、少し外れたデパートの裏。なんだか賑やかな声が聞こえてきます。そこには、1720年代からの歴史をもつパブ「Kelly’s Cellars」。見た目は典型的なアイリッシュパブに近く、あまり派手さはないものの、どこか親近感を湧かせる落ち着いた印象です。

1780年代には、アイルランドのイギリスからの分離独立を果たすために活動し、アイルランド民族独立活動の原点ともされる「ユナイテッドアイリッシュメン協会」のリーダーとして知られるヘンリー・ジョイ・マックラッケンが頻繁に通ったと言われています。

ヘンリーがイギリスの兵士に逮捕されそうになったところを、このパブのカウンターの下に隠れてやり過ごしたという逸話もあるとか。

このパブの地下は、その後もベルファストの有名な市民が会合を開いていた場所とも知られており、ベルファストの成長を見守り続けてきた飲み屋と言えます。

ビールフェスティバルで、ビールはもうお腹いっぱい・・・!となってしまっていたので、今回はラムをロックでいただくことに。全てのスピリッツが実用的に配置されていることに感動。HUBかよ。

平日の夕方でしたが既に多くの人で賑わっており、パブならではの音楽の生演奏も始まっていました。

個人的に面白いなと思ったのは、パブのホームページにこのような記載があったことです。

Can I see a menu?(メニューを見せてもらえますか?)
Kelly’s Cellars is a bar, not a restaurant. We do serve bowls of Irish stew (subject to availability) but that’s the lot. We do, however, have some very good restaurants as neighbours if you’re hungry. Check out the Mourne Seafood Bar, Manny’s Fish and Chips, or Havana Bank Square - all highly recommended!
(Kelly's Cellars はバーであり、レストランではありません。アイリッシュ シチューも提供していますが (在庫状況によります)、それだけです。ただし、お腹が空いたら、近隣に非常においしいレストランがいくつかあります。Mourne Seafood Bar、Manny's Fish and Chips、Havana Bank Square をチェックしてみてください。どれも非常におすすめです。)

https://kellyscellars.co.uk/

多くのパブでは食事の提供をしていますが、このパブはお酒と音楽の提供を主としているようです。近くの美味しいレストランを紹介しているところ、地元の飲み屋って感じがしてすごくツボです。私もハシゴしたら良かった。

お店の前には、イギリスの冬が始まっているのにも関わらずダウンを着込んでテラス飲みする人々。ギネスを抱えて歩くおじさん、いいですねー。老若男女問わず、たくさんの人で賑わっていました。

カメラで店の前の様子を撮っていると、二人組のほろ酔いなお兄さんたちから「俺たちのことも記念に撮ってってー!」と声をかけられました。そういう瞬間を撮るのは、すごく好きです。ありがとう。

パブの女王「The Crown Liquor Saloon」

「The Crown Liquor Saloon」は、1826年創業という歴史を持つパブ。

THE CROWN LIQUOR SALOON
150年以上に亘り、立派なパブのあるべき姿であることー美しく特徴的な建物の中で、暖かく客を迎え入れること。歴史ある壁の中には、ニコルソンペールエールをはじめとする豊富なカスクビール、地元の素晴らしいウイスキーやジンがあることを追求してきました。

メニューより
席は自分で見つけて、バーで注文ね!

イタリア人によって1885年にリノベーションされた豪華なインテリアは、「パブの女王」を名乗るのに相応しい立派な作りです。アイルランドの木造の古いパブよりはイギリスの産業都市にある(マンチェスターなど)に近い豪華絢爛な雰囲気を持っています。現在は、ナショナル・トラストに所有されているとか。

同じパブでも、「Kelly’s Cellars」とは全く雰囲気が異なります。

カスクビアが並ぶ、イギリスらしいカウンター

内装には木工細工、モザイク、タイルを使用していて、ビクトリア朝の装飾趣味の並外れた例として有名なようです。造船の街であるだけあり、タイタニックの姉妹船「ブリタニック号」の木材も部分的に使用しているとか。カウンターから天井、床に至るまで作り込まれたデザイン。

今まで多くのパブに足を運んできたつもりだけど、ダントツで一番豪華!!!!

ベルファストの中では、観光地としても有名なパブらしく、開店前から観光客が並んでいました。11時半開店のところ、開店10分前に到着した時には既に10名ほど人が群がっていました。

中に入ると、思い思いに席をとって、バーにお酒を注文しに行きます。カウンターで飲む人もいれば、ブース席を予約してきている団体客もいるようでした。パブにしては珍しく約10のブース席があるようで、簡単な扉も着いており、プライベートも確保されている不思議な空間でした。

席にはQRコードがあり、席からもお酒や料理を注文できるようになっていました。荷物があって席を外したくなかったので、席から注文できるのは有り難かったです。

パブで出しているカスクエール!今回は、「ニコルソン・ペールエール」をいただきました。うーん!ぬるい!ザ・エール!寒い日にゆっくり飲むにはぴったりかもしれません。にしても見た目パーフェクトすぎる。ビールって美しい。

CROWN BAR IRISH STEW

アイルランドに渡航してから5ヶ月以上経ちますが、初めてアイリッシュ・シチューをいただきました!ソーダ・ブレッドも付いて、10ポンド。ラムが柔らかく煮込まれていて、独特の臭みもまた美味しい!

先ほどの「Kelly's Cellars」とは異なり、軽食含め約20種類くらいの食事が提供されていました。フィッシュアンドチップスやオイスター、スモークサーモン、ムール貝、マッケンチーズ、サンドイッチなどなど、パブメニュード定番。胃が足りない!

ベルファストを代表するガストロパブ「モーニングスター」

1810年代から続く、これまた歴史あるパブ。19世紀初頭の文化遺産に登録された建物の中にあり、強い存在感を放っています。

ガストロパブ (gastropub)、ないし、ガストロラウンジ (gastrolounge) は、ビールや食べ物を供するバーとレストランを兼ねた飲食店を指す表現。イギリスのパブ文化の中で20世紀末に出現し、21世紀に入ってから普及が進んだ業態であり、世界各地に「ガストロパブ」を名乗る飲食店はあるもののイギリスが本場と見なされる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%91%E3%83%96

先に紹介した「Kelly's Cellars」は酒類を中心に提供するパブでしたが、それとは対照的に食事をメインに提供するパブというのも存在します。それがいわゆる「ガストロパブ」というもの。今回は(やっぱりビールの飲み過ぎで)お腹に余裕がなかったので食事を取ることは叶いませんでしたが、ベルファストに来たら外せないパブの一つであるため、とりあえず行ってみることに。

ステーキを中心としたメニューの他、ランチタイムには「パブビュッフェ」なるものもあるようで、伝統的なパブメニューをたった£7.95で味わうことができるそうです。そんなパブは初めて!

食材にも強いこだわりがあるそうで、北アイルランドで採れた地元産の新鮮な食材を使用しており、まさに「農場から食卓へ」というモットーを体現しているとか。

私が訪れた時間はまだ夕方だったということもあり、人はまばらでした。しかし、なんともいい香りが漂うパブ!もちろん、他のパブ同様、お酒だけ飲むこともできます。

中心部に位置する超人気パブ「Brennans' Bar」

最後に帰りがけに寄ったパブがここ、「Brennans' Bar」。

ホテルやバスターミナルからほど近く、絶好のロケーションにあるパブというだけあって、多くの人で賑わっていました。向かいにある「The Crown Liquor Saloon」とは雰囲気が異なり、若者が気軽に入って食事をしたり、ビールを飲んでたまにはスポーツ観戦で盛り上がる!といカジュアルなお店でした。

ラムロックを2杯キメて程よく気持ち良くなり、胃がバグってきた私は、突然「ハンバーガーが食べたい!!!」と思い立ちパブに入店。ここのハンバーガーはちゃんとサラダが付いてて優しかったです。

相変わらず、こちらの建物は天井が高く広々としていて気持ちがいい!吹き抜けになっている構造も素敵!フロアスタッフとして働くとなったら階段が多くて大変かもしれませんが、やはりこんな素敵な空間を歩き回って働くことができたら楽しいだろうなあ。

結局、港町が好き

SSノルマディック号(タイタニック号の連絡船)

着いた瞬間から「うわっ…イギリスだ…」という曇天の空の下、やはり港町は港町。雰囲気は、みなとみらいと呉を足して3で割ったような感じ。気取りすぎることもなく、それなりに観光客もいて、これからも進化していく兆しが見える。また一つ、好きな港町が増えました。

なお、パブ巡りも酔っ払ってくると、
・写真撮るのを忘れる
・記憶がなくなる
ということもあり、後半になるにつれて内容が薄くなっておりますが、ご容赦ください。

ベルファストは、たった一日で巡るには足りない街。ぜひまた足を運んでみたいと思います!

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