欧州から日本教育改革のヒントを得る-18歳中心主義からの脱却-
日本の大学入学者の平均年齢が18.5歳に対して、北欧諸国の平均は約25歳。何がこの年齢差を生み出しているのだろうか?
欧州の大学と言えば、社会保障によって学費が極めて安いという印象を持つ。それが要因で、「学びたい時に学ぶ」という考え方が根付き、大学生の平均年齢が高くなるのだろうか?まずは、ヨーロッパに絞って深く見ていこう。
ヨーロッパの学生は無料で教育を受けることができる。また、EU出身以外の学生が無料で学べる場所さえ提供されている(ドイツなど)。奨学金や銀行ローンを受けなくても、安く勉強できる国がヨーロッパには多く存在するようだ。
各棒グラフ内に◇で記されている各国の学生平均年齢を見てみると、確かに25歳近辺に集約してる。 IS: アイスランドに限って言えば、平均年齢が30歳に上る。この理由を探るべく多くの記事を読んでようやう納得できるのを見つけた。これは、ノルウェーの学生が他のヨーロッパ諸国の学生と比較して持つ、いくつかのユニークな特徴を紹介している。
特に目立つのはギャップイヤーの存在だ。このギャップイヤーという考え方は、モラトリアムとも呼ばれる「大人になるための準備期間」とも言えるだろうか。この期間は、単に時間を過ごすだけのものではない。それは、社会の中で自分の立ち位置や存在意義を見つけ、後の人生をより有意義にするための大切な時間だ。そして、モラトリアムの真の成功は、その期間を早く終わらせることではなく、その時間を十分に活かして充実させることにあると思う。ギャップイヤーは、自分自身を見つめ直し、新しい視点や経験を得る機会を提供してくれる素晴らしい期間だ。
再教育が避けられない新時代
人生100年時代、そして加速度的にであらゆるモノが発展する中、学び直しによるスキル向上が欠かせなくなりつつある。「リカレント教育」という概念は、一度学校教育を終えて社会に参加した後でも、個々のニーズに応じて教育を再度受けることを指す。この「リカレント(recurrent)」は「繰り返し」や「循環」という意味を持ち、実際の職務と教育を交互に行うスタイルを示す。日本の文脈では、職務を中断せずに新しい知識や技術を習得するこのアプローチは、特に専門的な知識や技能の向上を目指す社会人の再教育として認識されている。
モラトリアム時代到来
同質国家日本において、ギャップイヤーという概念が十分に浸透していないのは、多くの人がとりあえず「なんとなく」大学や他の高等教育機関へ進むという社会的な同調圧力に影響されているからだと言える。この「なんとなく」という意思決定は、実に危険なサインと言える。それは、自らがモラトリアム期間を経験することを避けているかのように見える。このような背景から、モラトリアムに対するネガティブな印象を持つ人が多いのではないだろうか。しかし、この同調圧力は、結果として我々を負の連鎖に巻き込むこととなる。社会の在り方が日々変化してく過程で取り残され気がつけば、多くの人が同時にモラトリアム期間を迎えることになるからだ。
20代後半の大学生の友人がいる、30代でまだ学び続けている、子育て中にも関わらず教育機関に通っているというヨーロッパのような年齢やステータスに縛られない学び直し文化を認知することが、日本の教育体系を再構築させる要因となるだろう。そして学生間における多様性が増すことで、モラトリアムをより充実させることとなり、最終的に生涯学習の社会を強化することは間違いない。