セクハラされた話|マガジン♯164

10歳の時、本屋で痴漢をされた。真っ黒なロングコートで黒いハットに黒い靴でロン毛の男だった。本屋で立ち読みしていた時、不意にお尻を触られ、背筋が凍った。慌てて違う書籍のコーナーにいる友達のところへ向かった。

「今お尻触られたと思うの、こんな背が高くて帽子で…」

言い終わらないうちに友達が「私も!」と言った。

どうやら友達も同じ目に合っていた。「あの人に触られたよね?」とお互い目を合わせて確認をし、ロングコートの男の跡をつけた。

当時の私たちは、小学四年生。本棚の影からしゃがんで男を追った。本来なら探偵気分でドキドキする行為なのだが、恐怖が勝っていた。どうしたらいいのか分からなかったのである。もしかしたら、勘違いだったかも知れない。もしかしたら、事故だったのかもしれない。

もしかしたら、もしかしたら、、、

しかし、その希望はあっけなく崩れてしまった。

その男は、立ち読みしている小学生の女の子全員のお尻を触りながら歩いていたのだ。

わからないように歩いているつもりなのだろうか。手の甲でポイポイと一人一人のお尻を触りながら歩いていた。

あーこの人は小学生だけ狙っているんだな。そう小学生ながらに思った。

それが私の初めてのセクハラ。

時を重ねて10年経った。舞台はグラビアの某事務所。2回目の撮影の日。鴨川で撮影した。忘れもしない出来事。一生恨んでも恨みきれない、恨みすぎて泣き寝入りした自分も許せない出来事。

グラビアは、ほぼ脱いでるけどAVとは違って男性との絡みはなかった。呑気な20歳の私は、学校にも嘘をついてロケにきて、初めての沖縄を満喫していた。楽しい楽しい楽しい、そんなバカ笑いをしながら撮影を続けていると、休憩時間、何の気無しに監督に「良いおっぱいしてるね」と胸を揉まれた。その瞬間、体は固まって声も出なかった。唖然とした顔で立っていた新人のヘアメイクさんの顔を今も覚えている。やっと出せた声が乾いた笑い。当時の私は、現場の空気を壊さないように壊さないように気持ちをズッタズタにナイフで引き裂くように押し殺しまくった。

心は大泣き。気持ち悪い。不愉快。自己嫌悪。大雨で大嵐で早くお家に帰りたい気持ちでいっぱいだった。

それなのに、よせば良いのに私はロケ1日目の飲み会の席で笑いながら言ってしまった。空気を壊さないように壊さないように言ったつもりだった。いや、言ったに違いない。

「もぅー、監督ー撮影中に胸触ってくるのやめてくださいよー」

極力ヘラヘラ言っていると、強張った顔のヘアメイクさんが「…私も見ました。あれは良くないと思います」と発言をした。きっとすごく勇気を出して言ってくれたのだろう。けれども、深刻な問題のように言われたら監督は嫌な気持ちになるだろうとバカな私は、ずっとヘラヘラしていた。

カメラマンさんや他のディレクターにも「お前それはダメだよ」と注意を受けた監督。きまりが悪そうな顔で酒を飲んでいた。よかった、これで終わり。

だけど、現実は甘くなかった。翌日の現場、私はずっと監督に無視をされた。はじめは聞こえないのかと思い、何度も挨拶をしたが声は届かず。世間話も仕事の話も全部無視をされ、まるでそこに私がいないかのような扱いを受けた。昨日のロケでズタズタに心を押し殺していた私は、その日、一生懸命その心を隠す作業をしていたが、もうその作業さえもできる元気は無くなっていった。気がつくと、トイレの中で当時の彼氏に電話をかけて大泣きした。この二日間の出来事を捲し立てるように泣きながら喋って話をしたとき、当時の彼は私にこう言い放った。

「なんで胸を触られるようなことをしたの?」

泣き声を止めて、もう一度聞き直してみた。聞き間違いではなかった。

今振り返ってみると、どうやら当時の私は、男性から受けた嫌な言動を一旦自分に非があるのか確認をしていたようだ。続けて当時の彼氏はこう言った。

「ミンティア、前言ってたよね?枕営業なんてしなくても、お金は稼ぐことができるって。なんでそんなことしたの?」

何をこの人は言っているのだろう。私は今好きでもなんでもない気持ち悪い人に触られて泣いているというのに、この人は営業で私が自ら触らせたと思っているのか?

「違う!!!私は突然触られたの!!嫌だったの!」

「いや、だから何でそういう状況を作ったの?」

「違う!!!!!!私は嫌だったの!!!嫌で今泣いてて、あなたに助けてもらいたくて電話をかけたのに、何で私が悪いの!?!?もう、私のこと好きじゃないの!?」

私は嫌われたんだと思い落胆した。そのあと、ヘアメイクさんがトイレの外で待っていてくれた。

「もう彼氏にも嫌われちゃった」と死んだ顔でボヤくと

「なんで?すごい頑張って仕事してたのに、嫌いになるなんておかしいよ」と抱きしめられた。ヘアメイクさんの胸でわんわん泣いて最後のシーンを撮って東京に戻り、家に帰った。

その日は彼氏と話し合いをし、かくかくしかじか付き合い続けることになった。色々引っ掛かるところもあったが、きっとヤキモチだったのだろう。丸く収めたと思った。が、問題はその後に起きた。

3ヶ月後、その男は浮気をした。

金目の物は全て売られ、マンションの部屋はもぬけの殻だった。私は激怒し、その男も男の両親も、自分の親も呼び出してボイスレコーダーで音声を取りながら話し合いをした。どうして人は談笑を録音せず、残酷な一コマばかり録音するのだろうか。今も古いスマホに音声は残っている。浮気した理由は、私への仕返しだった。

「ミンティアは他の男に胸を触らせている。俺が責められるのはおかしい。先に浮気をしたのは、そっちだ」

私は浮気などしていない。強姦されたかのように嫌で傷付いて怖かったのに、この人にとってはずっと浮気だと思っていたのだ。

私は大きく2回傷付くことになった。セカンドレイプという言葉があるが、セクハラでも2度傷付くんだなと知った。

私のセクハラされた話は、これにて終了。。。

皆さん、しんどいつまらない話を読んでくれてありがとう…。私の心も晴れました。

なんで、こんなクソ暗い話を書いたのか。

それはSNS上で余りにも酷い事務所が多いなと感じたからです。私は、グラビアの社長やマネージャーに「監督が胸を触ってきた」と報告しても何も助けてくれなかった。そして、当時は普通だと思っていたし、私が悪いと男達(事務所の連中全般)からは言われ、感覚がおかしくなっていました。

それに仕事も仕事で親や友人に中々言えない仕事。だから言わんこっちゃないと言われても仕方がない仕事だと思ってました。自分が悪いんだと自分を責める日々でした。

だけどね、私は今アダルトサイトの事務所のオーナーをしてるんです。同じように親や友人に中々言えない仕事。チャットレディもそうですよね。身バレって怖いですよね。

ふと思ったんですよ。私が社長だったら、そんな問題は絶対黙ってないなって。うちの事務所のサブスタッフだったら、あの時のマネージャーみたいに良い加減な対応しなかったなって。必ず私に報告して迅速な処置をするだろうなって。

なんだか、そう思った時、何かの感情で胸がいっぱいになって泣けてきたんですよ。辛い涙や悲しい涙でもなく、感動…でもなく…嬉しいってわけでもなくて…泣き寝入りするしかなかった自分を変えることができるかもしれない。今こそペンをとって思いを残しておかなければならない。

そう思って書き殴りました。

10年前の私に会って言いたいですね。

貴方は全く悪くない。事務所がおかしい。監督がおかしい。男がおかしい。戦おう!全部私が教えてあげる!相談に行くべきところに連れて行く!大丈夫!安心して!お金はあるし、頼れる人もたくさんいる!任せて!

ってね。

ライブチャット事務所は変な事務所が多いんですよ。セクハラが当たり前のような事務所、面接で脱げとかいう事務所。他にもアダルトが終わったらすぐ入ってきたり、オーナーがセックス強要したり、、、それが普通だと信じ込んでいる女の子達。

おかしいんです。おかしい。女のことを馬鹿にしてる。許せないです。

泣き寝入りするのをやめましょう!事務所が違っても、友達として、いつでも話を聞きます。戦いましょう!

はぁ、私もこの記事を書いて…初めて詳細を書いて…思い出してたくさん泣きました。もう最後の涙です。このnoteが世間に出たら、もう私だけの気持ちではなくなるので涙は終わり。

今、自分がオーナーなのが嬉しいし、サブスタッフもみんな信用できる人で幸せです。

それに今3000億倍くらい素敵な人と付き合ってるし、今、知らない男に胸を触られたら、その人の命はないような気がします…。多分…2時間以内に土の中?

まぁこんな話は置いといて…(笑)

この世から悲しいセックスや触れ合いがなくなりますように。セクハラされて辛い思いをしている人が1人でも読んでくれますように。この記事を見つけてくれますように。

そのために、一生懸命働きます。働いて働いて日本の未来が変わるくらい働きます!

さーて、仕事しますか〜。








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