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連載小説『遊行者たちの行方』

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遊行者たちの行方【第二話】

遊行者たちの行方【第二話】

第二話

私は、キラ様を追って、竹林の間に分け入り、奥へと進んでいきました。
少し開けた所に来たなと感じると、前方に草庵と呼べるような小屋が見えたのです。

その小屋の前までは、細い石畳の道が一筋通っていました。

小屋に近づくと、真ん丸とお腹を膨らませた狸が、石畳の道の上に二本足で立っているのを確認できたのです。

その狸は黒の作務衣を着て、藁箒(ワラボウキ)で掃き掃除をしておりました。
石畳の

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遊行者たちの行方【第一話】

遊行者たちの行方【第一話】

・第一話

それは、いつも夜中に訪問してくる野良猫でした。
人間の言葉を話すのは初めてだったので、私は少し驚きました。

しかし、すぐに気を取り直し、
「何でもお見通しなのですね。キラ様。なぜ分かるのですか? 」
と返しました。

私は、勝手に、そのキジトラ猫を略して「キラ」様と名付けていたので、つい、このときも「キラ」様と声に出して呼んでしまいました。
当のキラ様は、一瞬、私から顔を背け、明後日

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遊行者たちの行方 【序文】

遊行者たちの行方 【序文】

・序文

ある年の春。
桜の花びらは散り、夏へ向かって、街並みの景色は桜色から緑色へと塗り替えられていく頃でした。
私は、暁の時間帯に東側の窓の向こうに目をやりました。いつの間にか暗闇の空がだんだんと明るくなってきたのを確認できたので、部屋から外へ出てみました。

朱色に染まる空を見上げると、浮かぶ白雲が行き交うのでした。それは、朱色に染まる大海原を、一艘の小舟が揺られて進んで行くようでした。波に

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