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ストレイトアップ アプリコット
今回の記事で最終回です。
早い段階でドライベルモットとポム・ド・ノルマンディーを題材にすることは決めていました。最終回のテーマも「そのうち浮かんでくるでしょ」とたかを括っていました。
しかし、「あれにしようかな?」、「うーん、ピンと来ないな」の繰り返し。じわじわと近づく期日、決まらない題材、高まる焦り、2回目の記事がアップされて、いい加減に最終回の案を出さなきゃいけない。
パンクした頭を支えるように頬杖をついていたら、
「崎陽軒の焼売弁当を最近食べてないな」
って思ったのです。
焼売弁当に焼売以外に他の色々おかずが入っていますよね。何が入っているか思い出せますか?
たけのこ、唐揚げ、卵焼き…
僕にとって一番、印象に残っているおかずは“アンズ“です。
おかずというよりデザートですね。美味しそうだとかぶり付いたが余りの酸っぱさにびっくりした記憶があります。結局、母にあげていました。
しかし、お弁当に杏を入れる理由があるのでしょうか。
防腐効果?
食べ合わせ?
縁起?
早速、“アンズ“で検索開始。
色、縁起、栄養などの読みはどれも検討違いでしたが、気になる言葉にぶつかりました。それは「杏林」です。
杏林の指す意味とは
医療、製薬でよく見る単語ですよね。それもそのはず杏林はお医者さんを指す言葉のようです。そして、その語源は三国時代のお医者さんがルーツになっていました。
このお医者さんは治療費を取る代わりに杏を家に植えさせたそうです。実った杏はお互いに分け合い、種は薬にしたそうです。ちなみにこの種から生まれたのが杏仁豆腐です。
お酒入りのシロップ
杏のお酒は日本でもありますし、リキュールとしてはスタンダードです。
これは杏のお酒に限らずリキュール全般に言えるのですが、ストレートで飲むことを前提で作られていないと考えていました。シロップはかき氷やソーダで割るもの、そのままゴクゴク飲む人がいたらビックリしちゃいますよね。
お店でもお茶やスパークリングワインに入れて甘さを足すための材料として使っていました。そのまま飲むにしてもオンザロックをオススメしていました。
果肉を失っても残る存在感
その考えが変わったのがジファールというメーカーとの出会いです。最初に買ったエルダーフラワーのリキュールに感動しました。
開栓したときのジューシーな香り。もちろん甘いのですが、べったりくるしつこさや喉がイガイガするくどさではありません。シロップにつけて柔らかくなった果実をつるりとかじるような果実味。
アプリコットのリキュールも果汁をいただくような贅沢さがありました。
長い旅の果てに
杏の原産は中国北部やネパールと言われています。シルクロードを通って長い道のりをわたりフランスの地で成熟する。
そして、全3回の連載もようやく終点、旅に終わりはつきもの。
その甘酸っぱさに酔いながら旅の思い出を懐かしんでみましょう。
素敵なイラストの作家さん
PHIさん
大阪出身コリアン3世イラストレーター兼アーティスト、言葉や文章から大きくイメージを膨らませて描く事を得意とする
2020年3月 108にて初個展<PHEWTURE>を開催
Twitter : https://mobile.twitter.com/kim_yangphi
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