第三十七候 涼風至(すずかぜいたる)
立秋を過ぎた。まだまだ暑いが、それでも朝晩には秋の香りを仄かに感ずる。
育てている植物たちを見れば、今を栄えとばかり緑の枝葉を伸ばしている。空気に秋を、植物に英気を、心穏やかに感じられるこの平穏を得難く思う。
8月6日、8月9日と、今年も原爆の日を迎えた。人が死に、焼け野原となった広島で一番初めに咲いたのは、6〜9月に花をつける仲夏から初秋の花、夾竹桃(きょうちくとう)だそうだ。
どれだけ、つらいことや悲しいことがあっても、季節はまた巡る。巡るとはいえ、巡ることに救われ