西村二架 Nika Nishimura (Kazuki.N)

精神保健福祉士、文筆家、翻訳家 関心|哲学(主な関心は「死、孤独への恐れに人はどう対処…

西村二架 Nika Nishimura (Kazuki.N)

精神保健福祉士、文筆家、翻訳家 関心|哲学(主な関心は「死、孤独への恐れに人はどう対処しているのか」)、音楽、詩文   楽器|チェロ、ギター 下鴨ロンド|哲学読書会、生きるためのファンタジー読書会、休む人のためのカフェ 2025/01/19文学フリマ大阪参加 (撮影:渡邉耕希)

マガジン

  • 七十二候にまつわるエッセイ

    季節の小分類である七十二候をきっかけにしたエッセイを、ほぼ毎週週末に更新しています。

  • ワイン備忘録

    ワインやワイン会の記録。いま気になっている産地は、アルザス、サヴォワ、オーストリア、山形。

  • 詩、散文

    短歌を中心に、詩や散文を挙げています。

  • 生きるためのファンタジー読書会

    自主開催している生きるためのファンタジー読書会の記録。いま読んでいるのは『新月の子どもたち』。

  • 哲学読書会記録

    自主開催している哲学読書会の記録。いま読んでいるのは『左右を哲学する』。

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“休む人のためのカフェ”の紹介記事が公開されました。

昨年から、関西を中心に活動している「任意団体あわひ」さんの活動に参加させてもらっています。 あわひでは「社会に間の選択肢を創り、 一人ひとりの心に、ゆとりと安心を届ける」をテーマに、ラジオやカフェ、畑などの活動をされており、今回、カフェの活動についてまとめた記事が公開されました。私は、京都担当としてご紹介いただいてます。(ちなみに、代表の方と私の苗字がたまたま同じなのですが、代表は西村征輝さんという方です) ちなみに、あわひのラジオ「あいだの生き方ラジオ」の第44回にもお

    • 第四十五候 玄鳥去(つばめさる)

      この夏巣立った燕たちが南方への長い旅に出るこの時節に、思索の射程を延ばすことについて考えている。 木作りの机や椅子、褪せた扉、土作りの器、硝子工芸、奥行きのある絵画や写真、空間を形作る演奏など、自分がひとの手を感じるものに言いようのない感慨を感じるのは何故なのだろう。思うに、それらひとつひとつに、途轍もない記憶と思いの射程があるからではないか。暖かい、もしくは熾烈な、もしくは寂寥とした記憶の積層を、そこに感じるからではないのだろうか。 記憶や、ひとを心配する思い、祈りなど

      • 第四十四候 鶺鴒鳴(せきれいなく)

        今年の京都は夏が長い。いっときふと涼しくなったかと思ったが、また、夏顔負けの日々が帰ってきた。 暦上は、白露の次候。朝晩、露が降り、朝陽を浴びて白く見える頃。けれどまだまだそんなことはない、というのが実感だ。 秋を感じられるものといったら、朝晩の空の清澄さ、先日庭で出会った百舌(モズ)、皓々とした月明かり、だろうか。 百舌は秋から冬にかけて、寒さを逃れ、山の麓へ下りる鳥。七十二候のひとつになっている鶺鴒(セキレイ)も、かつては季節に応じて移動する鳥だったそうだ。今は、特

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          詩や散文のポストカード5種(2024文学フリマ大阪出店)

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        “休む人のためのカフェ”の紹介記事が公開されました。

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        • 休む人のためのカフェ / 任意団体あわひ
          1本

        記事

          第四十二候 禾乃登(こくものすなわちみのる)

          晩夏の風、百舌、再会に着想した詩、3首。 風薙ぎに草葉も陰も目を細め穂波を眺みついつしか月待ち 畳座す吾の眼の端に降り立ちて遠く遥かす百舌の背姿 いつか見し植物園の京芙蓉(ふよう)再会の縁(えにし)また咲くころに ーーーーー 第四十二候 禾乃登(こくものすなわちみのる) 9月2日〜9月7日頃 稲の実る時期 ーーーーー 参考文献・資料: 山下 景子, 『二十四節気と七十二候の季節手帖』, 成美堂出版, 2013年. https://www.seibidoshuppa

          第四十二候 禾乃登(こくものすなわちみのる)

          今週日曜日9/8に下鴨ロンドの有志で文学フリマ大阪に出店します。 私は、詩のポストカードを販売します。もしお時間ある方はぜひお越しください〜。 日時:9/8(日) 12:00〜17:00 場所:OMMビル(天満橋駅) 出店者名:下鴨ロンド ブースNo:せ-46

          今週日曜日9/8に下鴨ロンドの有志で文学フリマ大阪に出店します。 私は、詩のポストカードを販売します。もしお時間ある方はぜひお越しください〜。 日時:9/8(日) 12:00〜17:00 場所:OMMビル(天満橋駅) 出店者名:下鴨ロンド ブースNo:せ-46

          『新月の子どもたち』第一章〜第三章_第1回生きるためのファンタジー読書会

          人文系私設図書館ルチャリブロ司書、青木海青子さんの「生きるためのファンタジーの会」に触発され、児童文学やファンタジー小説を読む読書会を始めた。今回はその第一回、『新月の子どもたち』の三章までを扱った。 ※一部ネタバレを含みます。まだ未読の方はご注意ください。 トロイガルドの囚人レインとシグ舞台は、トロイガルドという世界と現実世界を章ごとに行き来する。 トロイガルドでは囚人たちは毎日点呼を取られる。「お前は誰だ」と聞かれ名前を答え、「そうだ、お前は〜〜だ。そして、お前は死

          『新月の子どもたち』第一章〜第三章_第1回生きるためのファンタジー読書会

          『左右を哲学する』第二部〜最後まで_第5回哲学読書会

          まだまだ夏の香りの残る今月初旬、第5回目となる哲学読書会を行った。範囲は『左右を哲学する』第二部〜最後まで。 今回の参加者は3名。『左右を哲学する』第二部は、対話形式だったこともあり、理解の難しい部分も多かった。なので、普段あまりしないことだが、1文1文読んで精読していく、という方法を取った。 「数的」の定義p162以降の成田正人さんと清水さんの対話において、特に理解が難しいと感じたのは「数的」の定義だった。 Oさんの「数的に、とは、数学における指標のように、+1、-1

          『左右を哲学する』第二部〜最後まで_第5回哲学読書会

          第四十一候 天地始粛(てんちはじめてさむし)

          天地始粛(てんちはじめてさむし)。静粛の粛には、静まる、弱まるという語義があるそうだ。まだまだ、暑さが弱まったとはいえない気候ではあるが、朝晩の風や虫の声には僅かに秋の気配を感じる。 下鴨ロンドの庭でも、草木に水やりをしていると虫の声が聴こえる。少しく涼しい日には植物たちが、内側から膨らむような緑を陽に向かって伸ばそうとしているのを、見て、取って、感じるときがある。 今週末は、この頃の常として野分(のわき)が来ると言われている。終に、残炎(ざんえん)を粛する大風となるだろ

          第四十一候 天地始粛(てんちはじめてさむし)

          第四十候 綿柎開(わたのはなしべひらく)

          今年はじめて、京都五山送り火の点火を見た。小さな赤い灯が滔々(とうとう)と明かるい大の字になっていく様は、たくさんの火が燃えているという豪気さとは裏腹に静かで、それが祈りの火だということをわたしに感じさせた。 もうこの世にいない人の魂が、束の間わたしたちの元に戻り、共に過ごすといわれる盂蘭盆会。素敵な思いの寄せ方だと思う。もうこの世にいない人に人格があるとすれば、何を考え、私たちをどう見ているだろうか。もう死んだひとは、これから死に行くひとにどのような声をかけるだろうか。

          第四十候 綿柎開(わたのはなしべひらく)

          第三十八候 寒蝉鳴(ひぐらしなく)

          蝉の寿命は短い。 短い? それでは私たちはどうなのか。 わたしは、ひとのいのちも夏のかげろうや蝉の翅(はね)のように薄ぼんやりとしたものだと思う。 今は在るが、一瞬後、明日、1週間後、1年後、同じように在るかはわからない。 わたしはある時、死のかげろうと向かい合い、先延ばしにし続けた問いを迫られた。どう生き、どう死ぬかという。 世界が、わたしのこの身体の生存を区切るときに向けて、どうするのか。わたしは顔を上げ眼を向け、人生で達成するべき目標の及第点を下げることに決

          第三十八候 寒蝉鳴(ひぐらしなく)

          『左右を哲学する』3〜4章_第4回哲学読書会

          先月末、第4回目となる哲学読書会を行った。本は『左右を哲学する』3〜4章を扱った。 簡単な自己紹介の後、語りの中で以下のような話題が取り上げられた。 左右軸をテーマとする不思議さ 「左右”感覚”というものはない」1〜2章の主張の振り返り 筆者がもっとも強調して伝えている「左右軸のみが持つ中心性」 左右軸をテーマとする不思議さ写真を扱っているTさんから「左右の話をしているのに、前後軸ありきで論が進んでいくわけではないのが不思議だった」という意見が出た。 Mさんと私は

          『左右を哲学する』3〜4章_第4回哲学読書会

          第三十七候 涼風至(すずかぜいたる)

          立秋を過ぎた。まだまだ暑いが、それでも朝晩には秋の香りを仄かに感ずる。 育てている植物たちを見れば、今を栄えとばかり緑の枝葉を伸ばしている。空気に秋を、植物に英気を、心穏やかに感じられるこの平穏を得難く思う。 8月6日、8月9日と、今年も原爆の日を迎えた。人が死に、焼け野原となった広島で一番初めに咲いたのは、6〜9月に花をつける仲夏から初秋の花、夾竹桃(きょうちくとう)だそうだ。 どれだけ、つらいことや悲しいことがあっても、季節はまた巡る。巡るとはいえ、巡ることに救われ

          第三十七候 涼風至(すずかぜいたる)

          第三十五候 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)

          夏はその生命の溌剌(はつらつ)さの中に、どこか死を匂わせる、と誰かが言っていた。 この印象を聞くのは初めてではない。前にまた、別の人からもそう聞いた。 夏は、その暑さに草木も匂い立ち、草熱れ(くさいきれ)を起こす。入道雲がくっきりとした輪郭を持ち、空に立つ。蝉が、この世の限りとばかり声を張り上げる。新芽が至る所に芽吹きいで、ぐんぐんと枝葉を伸ばしていく。 生きるということ、生まれるということを強く感じさせる。そのことが、表裏一体である死をもまた意識させる。 2、3日経

          第三十五候 土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)

          白 タケダワイナリー、サンスフル ブラン、山形

          色:白、微泡 造り手:タケダワイナリー 品種:デラウェア100% 産地:山形、日本 味の記録: デラウェア100%かつ微発泡らしい、軽やかな果実味。だが、決して飲みよいだけでなく、味のコクや深みも十分に感じた。これまで飲んだデラウェアの中で最も印象的。 味わい的には、春夏にすいすい飲むのに向いている。性格の強い料理でなければ、ほぼ万能に合わせることができそう。 フィルター濾過を行っていないことで、わずかな苦みがアクセントに加わっている?デラウェアは、薄味になるイメージ

          白 タケダワイナリー、サンスフル ブラン、山形

          白 イングリット・グロイス、グリューナー・フェルトリーナー、ヴァインフィアテル 2023

          色:白ワイン 造り手:イングリット・グロイス(Ingrid Groiss) 品種:グリューナーフェルトリーナー(Gruner Veltliner)100% 産地:ヴァインフィアテル、オーストリア(Weinviertel, Austria) 味の記録: ミネラル感、引き締まった酸があって、比較的しっかりとした味わい。梨とグレープフルーツの中間くらいのすっきりとした酸味に、うっすらと白い花のような香り。けれど、いわゆる「飲み口の良いグリューナー」「すっきりとしたグリューナ

          白 イングリット・グロイス、グリューナー・フェルトリーナー、ヴァインフィアテル 2023