大下宇陀児「毒」
青空文庫新着分。
短編。
いやー大下宇陀児は変格ものが面白い!
母親をママちゃんと呼ぶほどに幼い伯太郎の三人称一視点で、秘密裡に進行する恐るべき犯罪が綴られる。
未だその恐ろしさを理解できない子供に顛末を語らせることで、読者には真相が判っている倒叙的作風に伴う現実の残酷さが加味され、語り手の無力さも相まって変格ものとして極上の味わいに。
中盤のちょっとした冒険要素プラス子供ならではの無垢な善意が猛毒の凶器と化して必然と偶然の狭間で二転三転する終盤と、ハラハラドキドキな好プロットの見本の如き逸品。
いいなと思ったら応援しよう!
ここまでご覧いただき、まことにありがとうございます!
サポートいただいたお礼に、えーと、何かします!!