
別れ話に意外な展開#25
意を決して、彼に今、自分が誰を頼っているのかをちゃんと伝えようと思い、いつも会うときのように、休日に仕事終わりの彼と合流しました。食事をしながら、まずは自分の体調のことを伝えました。
薬は飲んでいるけど体調はよくないこと。だから、薬は辞めつつあるということ。その分、辛いこともあること。こうしてここに来るまでにも自分と闘いながら来ていること。帰りもちゃんと一人で帰れるかなと不安を抱えていること。なんとかしたいと思っているけれども、気合いとかそういうことでなんとかなることでもないこと。ささいな言葉で傷ついてしまうこと。自分のことで精一杯であなたのことを考える余裕がないこと。今の私は今までの私とは違うということ。この先、一緒にいると、いろいろ迷惑かけちゃうかもしれいこと。
伝えているうちに涙も溢れ、彼も、どうもこれはいつもと様子が違うぞと、食事の手を止めて真剣に聞いてくれていました。続けて、パニック先輩のセイくんのことを話しました。
この症状になった知り合いがいること。その人にいろんなアドバイスをもらったり、困ったときに話をきいてもらっていること。とても助けられていること。心の支えになっていること。今の私にとって、とても必要だということ。こんな状態でこのまま付き合っていくことがどうなのかなと思うこと。
かなり息苦しい状態でなんとか話せた感じでした。申し訳なさと仕方ないという思いとの狭間で、吐きそうなくらい苦しくて。でも、言わないと進めない。できるだけ人を傷つけないように生きてきたのに、大切だった人をこんな形で傷つけてしまうなんて、ほんとに自分が嫌。でも、このままだと私が潰れてしまう。私がこんなことにならなければ、彼との不協和もなかったはずなのに。パニックが憎い。
「今はこうして人の多い場所で会うことすらしんどい。だから、一旦離れて、頭を真っ白にしたい。」
なんとか言えた…伝えたいことは出し切った。これを聞いたら、もう、答えはひとつ…もう、このことで悩まなくて済む。
「わかった。とりあえず、別れるっていうのは、なしにしよう。」
………ゔん!???
思ってた答えと全然違う…
え??こんな状態でいいの?!
彼いわく、一旦離れてしまって元に戻るパターンはほとんどないし、嫌いになったわけじゃないなら別れる必要はない。病気のことは仕方ない。自分はなったわけじゃないから分からないので、セイくんとの関係はそのまま続けてもらっても構わない。どうしたらいいかはちゃんと考える。だから、とにかく別れるという選択肢はなしにしよう。
んー、あー、そう。
考えてくれるのね…じゃあ……続けますか。
(…そもそも、その思いがあるなら、パニックの本読むとかさ、もっと早く寄り添ってくれてもよかったじゃん!これ、私が心変わり済みだったら終わりだったよ?ギリギリのとこだったよ?考えるんだね?ちゃんと支えてくれるんだね??)
私の一大決心が空振りで終わったことに頭が追いついていない感じはあるけれども、じゃあ、考えてもらおう。まずはそれからだ。と、彼との未来に行き先を定めたのでした。
彼とのその後…
彼なりに病気のことを勉強して、眠れないと言えばアロマのクッションを用意してくれたり、気分転換にとお風呂で聞く音楽を用意してくれたりなど、彼なりの方法で助けてくれようと努力してくれていることに、こんな私でも必要としてくれているんだと思うと感謝の気持ちで一杯になり、なんとか危機を乗り越えました。どうせわかんないだろうと勝手に決めつけて、これでいいやと蓋をして、それでまた勝手に悶々として。最初からちゃんと向き合っていたらこんなに悩まなくてもよかったこと。もっと相手を信用して、ぶつかるときはぶつからないといけないなと思った出来事でした。正直、あのまま彼が納得して別れていたら、セイくんへ傾いていったんじゃないかなと思います。ただ、この別れ話の件を後々にセイくんに話したときに、セイくんも私との未来が頭にかすめたものの(友達にそれは奪えるのではないかと言われたらしい)、私がパニックで頼っていることに公平じゃないという思いがあって、彼とそのまま続くことを願っていたと言ってくれました。…どこまで仏なんだ。でも、そのおかげで今の私がいる。彼とはそのまま結婚し、今の夫となりました。彼には私のパニックにとことん付き合ってもらうことになるのでした。