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職場でのパニック2#17
デパスを服用すると、気分的には水中マスクを手に入れた感じに似ているかも。ぼんやり、ふらふら、鈍いけれども、あぷあぷと溺れることはないのでなんとか大丈夫。でも、当然、いつも通りとはいかない。
「ウサツキちゃん、大丈夫??」会議が終わり、戻ってきた先輩にほっとしながらも、「すいませんでしたっっ」と謝りつつ、恥ずかしさから早くこの現場から立ち去りたい気持ちいっぱい。いつもはお弁当をここでいただいてから次へ向かっていましたが、お弁当をお持ち帰りにして、そそくさと先輩の車に逃げ込みました。
お昼からの打ち合わせは車の中でゆっくりしてくれてていいよと言われ、申し訳ないと思いながらもお言葉に甘え、そうさせてもらうことにしました。ただ、ひとりでポツンというのもなかなかキツい状態。先輩はもし誰かと話したかったら、電話で話しててもいいしと言い残して行ったのもあり、平日の昼間だしと、主婦してるエミちゃんに連絡しました。
ゆっくりするはずが監獄へ
エミちゃんの声を聞き、さっき起こった話を説明していると、
コン、コン
ん??窓を叩く音に目をやると、打ち合わせ先のスタッフの方がにっこりしながら立っている!
慌てて、またかけるねっと電話を切り、ドアを開けて対応すると、「〇〇さん(先輩の名前)からご体調がよくないとお聞きしたので、良かったら当直室のベッドが空いているので使ってください。」とのこと。一旦、断ったものの、是非と勧められて、そこまで仰っていただくならと当直室までフラフラとついて行きました。
電話してたのを見て、仮病とか思われてないだろうか…など色々考えながらも自分の今の状況を説明して、今後そういう目で見られるのも嫌だなと思い、特に話さず、ただ、ほんとすいませんと誤っていました。案内された当直室に入ると、ゆっくりしてくださいねとスタッフの方はドアを閉めて去って行きました。とりあえず、横にならせてもらおう。そして、携帯でエミちゃんにメールしよう。と、ゴロンと寝そべり、携帯に目をやると…
圏外!!!!
ぎゃーー!!こんなことなら車の方がマシだったー!でも、ご好意でしてくださってるし、感謝は感謝だけどー!勝手に出てウロウロしてたら不審者だし、それこそ、体調悪い振りしたスパイみたいだし(盗み取りたい情報なんてないんだけど)、そもそも、ここまでどうやってきたのか覚えてないし…もはや、会議より監獄。
「圏外かい…」ふと、声に出してみると、少し気持ちが落ち着いた気がしたので、とりあえず、私は、独り言作戦に出てみました。
「どうしよっか。とりあえずメールを打っておいて、後で送ろうかな。うん、そうしよう。えっと、さっきはごめんね。と。あの後、…」怖いね、はたからみると、怖いね。
自分の声を聞くこと
でも、これがなんと効果的でした。独り言だけれども、誰かと話してる感じが妙に落ち着いたのがわかりました。また、頭の中でグワングワンとうずまく焦りの言葉を発することで、頭にだけ集中した神経が声と耳に分散されて、自分の身体に気が付く感覚?というのでしょうか、地に足が着き、正常さを保つことができました。そんなこんなで、独り言とメール作成で乗り切り、先輩と帰路に着きました。車では爆睡。先輩、ごめんね。