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忙しすぎる人のための宇宙講座

集中よりも熱中。熱中よりも夢中の状態の方が脳はパフォーマンスを発揮するそうです。そしてその夢中の先に宇宙があると言葉遊びのようですが、真理なんじゃないかと思う今日この頃。
一般的には宇宙は実生活にはまったく関係ないですよね。そんな宇宙、宇宙言っていたら株価が下がったと怒られるご時世。
そんな忙しい人にも宇宙の大きさを感じ日々の悩んでいることなんてちっぽけな事だと勇気をもらえるかもしれないのが、今回の推薦書“忙しすぎる人のための宇宙講座/ニール・ドグラース・ タイソン著”です。

“見上げた星空の向こうには何かあるのか、と、ふと気になることがある。火星や土星、小惑星を探る探査機の活躍、重力波検出、太陽系外に惑星発見などなど、科学報道も盛り上がっている。だが私たちはみな忙しい。ゆっくり空の高みに思いを馳せる余裕もないし、そもそもそうした報道のどこがどうすごいのかだって、よくわからないのだ。そんな時間のないあなたのために、1200万超のツイッターフォロワーをもち、人気TV番組『コスモス:時空と宇宙』のホストでもある世界的に著名な天体物理学者が、これまで書いた数ある科学エッセイのなかから宇宙に目を向けることの面白さを知るのに必須の事柄を解説したものを選びぬき、手を加え、1冊のコンパクトな本をつくった。” —帯文より−

読み進めていくと、易しく教えてくれるタイプの宇宙解説書とはちがって、専門用語のマシンガン。置いてきぼりをくらってしまいます。例えば、初期宇宙のプランク時代の話なんかがそうで、プランク時代というのは宇宙が誕生してから直径10のマイナス35乗メートル(1000億分の一兆分の一兆分の1メートル)に成長するまでの期間であり、誕生のゼロ秒後から10のマイナス43乗秒(1000万分の一兆分の一兆分の一兆分の1秒)までの時間の事をいうと説明されてもちんぷんかんぷん。もう書いているだけで全くイメージができないまさに天文学的な数字で頭ではイメージできない世界です。

“宇宙”という言葉は中国の古い書物に由来しているそうで、宇宙の「宇」は“上下四方=すべての空間”を、宇宙の「宙」は“古往今来=すべての時間”を意味していて、つまり宇宙とは“すべての空間と時間、およびそこに存在する事物全体”のことで、地球も人間も、いわば宇宙の一部だと考えられています。
宇宙を駒だと仮定するとその駒が倒れて壊れた状態(ビックバン)によって目に見える物質が存在しているそうです。もし宇宙に意思があって、もう一度もとの駒に戻ろうとした場合、太陽も地球も家族も愛犬もスマホも、物質はすべて自然に消滅して見えなくなってしまうそうで、ひるがえって言うと、宇宙を知るということは自分のルーツを知ることにもなるんだなぁと本書は教えてくれます。

「宇宙」は英語で言うと“ユニバース(universe)”で「カオス=混沌」の反対の意味で、“秩序ある体系”としての「宇宙」のことは“コスモス(cosmos)”というそうです。
自分はよく、仕事が忙しくなったりプライベートでワチャワチャしだすとカオス状態に陥りやすいのですが、宇宙もカオスから今のコスモスになっているのを思うとそれは自然な事だし、カオス状態もいずれコスモスになるのがわかっていれば、カオスも味わえるような気もします。
ちなみに著者のニール・ドグラース・ タイソン氏は本国でセクハラ疑惑で訴えられているそうですが、宇宙の謎は解明できても、地上の問題はなかなか解決できないのかもしれません。

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