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宮下 清次郎/宮下農園

法人名/農園名:宮下農園/株式会社 Madder Red(マダーレッド)
農園所在地:長崎県諫早市
就農年数:7年
生産品目:長崎県認定特別栽培米「にこまる」「ひのひかり」、特別栽培ミニトマト「宮トマト」、メロンとトマトを加工したアイスクリーム
HP:https://www.miyashitanouen.com/

no.101

干潟で特別栽培したミニトマトで海外進出!産地を活性化

■プロフィール

 諫早湾干拓地で水稲栽培70年余、トマト栽培40数年の歴史がある農家の3代目として生まれる。

 長崎日本大学高校を卒業した2004年以降、地元の「めがねのエイキ」で11年間、メガネと補聴器の販売に携わる。

 2015年に就農して代表取締役に就任するとともに、ビニールハウスに環境制御技術を導入し、ミニトマトの特別栽培を開始。

 2021年9月、農産物加工・輸出会社Madder Redを設立し、取締役を兼任。同年10月には特別栽培したミニトマトに「宮トマト」と命名し、販売を開始すると同時に、規格外の割れたミニトマトを粉末状に加工するフードロス事業に乗り出す。

 2021年12月には地元農協から脱退。2022年3月、カンボジアの富裕層向けに「宮トマト」と最高品質の「プレ宮トマト ゴールド」の輸出を開始。同年9月頃、法人化を予定。

■農業を職業にした理由

 きょうだいは4人いるが、学生時代からいずれは家業を継ぐことを意識していた。

 諫早湾の森山地区は、江戸末期から昭和にかけて干拓されたミネラル分豊かな純度100%の干潟のため、旨味が詰まった良質な作物ができることで知られており、父の代から本来の土壌成分を崩さないよう、肥料や農薬をできるだけ使わない農業を続けてきた。

 高校卒業後は社会勉強のため、地元のメガネ店で働いていたが、父が脳梗塞で倒れた2015年に就農。

 当初はJA向けの出荷が中心だったが、農薬や化学肥料の使用を県の慣行栽培基準以下に抑えた特別栽培のミニトマトをブランド化して、関東圏から北海道の百貨店や首都圏の高級スーパーマーケットなどに販路を拡大。2022年からは「宮トマト」の新規ファン獲得のため海外へ進出。

■農業の魅力とは

 美味しい名産品が豊富な九州、長崎県のなかで、諫早湾干拓地は農作物生産に適した肥沃な土地なのに、特産品がないことにずっと不満を感じていました。

 高齢化で若い生産者が減っている今、森山地区の農業を盛り上げるためにも、こだわって作った作物は、適正価格で販売したいと思っていて、就農以来、ミニトマトのブランディングについて考えてきました。

 2021年には家の名前から取った特別栽培の「宮トマト」の販売を開始すると同時に、父が代表を務める農産物販売加工会社「Madder Red」を設立しました。

 この会社では、従来なら廃棄していた規格外のミニトマトや米を、料理に使ってもらうために粉末加工したり、海外に日本食専門の市場型店舗を設立するための拠点設立などを目指していて、クラウドファンディングも行いました。

 森山地区には地元の人ですら気づいていない魅力がたくさんあります。僕は農業を通じて、産地を盛り上げて行きたいのです。

■今後の展望

 ミニトマトの国内市場価格は100gあたり150円程度ですが、東南アジアでは、日本産の品質や安全性が高い農産物へのニーズが高く、新たに年間数トンの出荷も期待できます。

 2022年3月には、カンボジアの富裕層向けに「宮トマト」と「プレ宮トマト ゴールド」の輸出をスタートしました。これを皮切りにマレーシアやタイ、シンガポールなど、北米以外の各国に日本産農産物の販売拠点を広げていきたいです。

 将来的には森山地区の生産者と一緒に農産物のブランド化に取り組んでいきたいので、ミニトマトの輸出はその試金石です。多くの人を巻き込むことで、アイディアは次々に生まれます。

 今は割れたミニトマトを使ったワインの試作を進めています。ミニトマトは熟すと甘味が増しますが、割れてしまうため、どうしても年間3〜4割を廃棄していました。

 福岡県の立花ワインさんに協力いただいて2種類の試作品を作り、2023年以降の販売を目指しています。いずれは近隣の農家からも割れたミニトマトを買い取って森山地区のワインに育てていくのが夢なのです。

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