【ゲームの話】【#わたしの本棚】ゲームブック界の藤子不二雄?
拙記事「noteでゲームを作るには?」を書いたときに、ゲームブックの蔵書を確認して、思ったことがあります。
「火吹山の魔法使い」の著者「S・ジャクソン I・リビングストン」は、藤子不二雄のようであると。
ジャクソンとリビングストン
「S・ジャクソン」ことスティーブ・ジャクソンと、「I・リビングストン」ことイアン・リビングストンは、名作「火吹山の魔法使い」を共著で出版したあと、それぞれ単独でも多くの作品を世に出しています。
筆者の本棚を確認すると、「火吹山の魔法使い」のほか、ジャクソンの作品であるソーサリー四部作のうちの三作(「魔法使いの丘」「城砦都市カーレ」「七匹の大蛇」)がありました。(なぜか「王たちの冠」だけ行方不明・・・😢)
つまり、リビングストン単独の作品は一つもない。
当時は「遊び」に飢えていたときですから、どちらの作品もたくさん買って、たくさん読みました。
しかし30数年後の筆者の本棚には、リビングストンの作品は残っていません。
これは、どういうことか。
好みの問題?
筆者の感覚では当時、ジャクソンの作品は新しいアイデアや謎解き要素が強く、リビングストンの作品はホラー要素が強いというイメージでした。
また、Wikipediaに載っている日本のTRPG界の巨匠安田均氏の評価も、筆者にはしっくりと来ます。
あくまで筆者個人の考えですが、作品の優劣は別にして、リビングストンの作品はジャクソンの作品よりも飽きられやすいのではないでしょうか。
市場の評価は?
では世の中の評価は、筆者と同じように「ジャクソン > リビングストン」なのか。
ヤフーオークションに出品された両氏の作品を、数えてみました。
なお、ここでは「出品数が多い=飽きて手放す人が多い=人気が低い」と想定しています。
もちろん「出品数が多い=そもそも数多く売れた=人気が高い」と考えることも可能ですが、状況によると思います。
筆者は20年以上前からブックオフによく行きますが、10年くらい前まで「司馬遼太郎の作品はほとんど棚になかった」ことを覚えています。
では、「司馬遼太郎は人気がない」のか?・・・愚問ですね。
そもそも手放す人が少ない上に、たまに棚に並んでもすぐに購入されてしまっていたに違いない。
ところがここ数年、かなりの数の「著者 司馬遼太郎」を、ブックオフで見るようになりました。
おそらく、司馬作品をよく読んだ世代の多くが鬼籍に入って、蔵書が中古市場に大量に出てきた。
同時に、それを購入する人も減ってきた。
それに対して、ゲームブックはまだ中古市場に大量に出回ることはない。
つまり今出品されるのは「飽きられた作品」であり、人気と出品数は反比例するであろう。
その調査結果が、こちらです。(2023/7/2 22時ごろ)
ジャクソン・・・7作品19冊
さまよえる宇宙船 4
地獄の館 2
サイボーグを倒せ 1
魔法使いの丘(ソーサリー1)3*
城砦都市カーレ(ソーサリー2)3*
七匹の大蛇(ソーサリー3) 4*
王たちの冠(ソーサリー4) 2*
*:ソーサリー4冊セットの2件を含む数
リビングストン・・・8作品26冊
運命の森 6
盗賊都市 6
死のワナの地下迷宮 4
トカゲ王の島 6
雪の魔女の洞窟 1
恐怖の神殿 1
迷宮探検競技 1
蘇る妖術使い 1
ジャクソン・リビングストン共著・・・1作品4冊
火吹山の魔法使い 4
さて、どうでしょうか。
リビングストンの方が数も多い上に、特定の作品への集中もあって、ジャクソンより「飽きられている」ように感じませんか?
なお、ゲームブックを多数まとめて出品しているケースは、個別に数えるのが面倒なので除外しました。
余談
「深海の悪魔」という作品の表紙には、「S・ジャクソン I・リビングストン監修 S・ジャクソン著」と書いてあります。
一見、「ジャクソンが監修と著者の二役をこなしている」ように見えますが、それは誤解です。
つまり、この二人は別人なのです。
ただし、頭文字のSがたまたまかぶっただけではありません。
スティーブ・ジャクソンが二人いるのです。
監修のスティーブ・ジャクソンは英国人で、本記事で話題にした人物。
著者のスティーブ・ジャクソンは米国人で、アナログゲームの作家。ゲームブックとしては「サソリ沼の迷路」なども「米国の」ジャクソン作品です。
まあ、ゲームブック界の鉄板ネタですかね。