書評 「経済評論家の父から息子への手紙お金と人生と幸せについて」
経済評論家の著者が息子に宛てた手紙の形式をとり、どうやってお金を稼ぎ、それを増やして、使うかということを説いた本。
お金の稼ぎ方
今の若者から見たら、昭和もはるか昔だが、いまだに生き残っている昭和で生まれた働き方の常識に従うなと説く。昭和で良いものとされていた価値観は、できるだけ安定した職業を選び、失敗を回避しながら出世をする、あるいは、これの応用で時間単価の高い仕事、例えば、医者や弁護士を選ぶというものである。
これに対して、著者が提案するのは、株式による報酬を取り込め、である。自ら起業する、早い段階で起業に参画する、株式報酬を受け取る、早い段階で出資する、という4つの手段が具体的な方法である。
また、これとは別に働き方として、労働者タイプAにはなることを回避せよともいう。労働者タイプAとは、他人と取り替え可能、会社が用意した働き方に満足する、雇用不安、リスクを極端に嫌がるという特徴に該当する労働者であり、これとは異なるタイプの労働者を意識せよとのこと。
お金の増やし方
お金の増やし方は極めてシンプルで、3ヶ月から6ヶ月の生活費を普通預金として保有して、残りは全て運用に回す。運用は、いわゆるオルカンといわれる全世界株式インデックスファンドでよく、余裕資金ができれば追加投資、資金が必要な時は一部を現金化するというもの。長期、分散、低コストの原則を充すものとして、最も経済的なパフォーマンスがいいのはオルカンなので、オルカン一択でよし。
お金の使い方とその他
ここはそれほど読んでも面白くないもので、シンプルに管理して、おおらかに使おう、具体的には知識、スキル、経験、人間関係、時間に使うと良いというもの。ここら辺、自分の息子にあれはいい、これはいい、あるいは、こうやって使ったけど、無駄だったみたいな話が多いと面白かったのだろうが、お酒の話くらいかな。ただ、お酒自体今後は人に勧めるものでもない時代がきそうだが。