米中の長い戦いに備えるための一冊
すでに経済成長がピークアウトに向かっている中国。ここから衰退に入るかといえば、そうではない可能性が極めて高く、中国共産党が実現しようとしている「中国の夢」とはなにか、経済がピークアウトしている国家のうち、ドイツや日本を例に対外的な侵略に進む国家の特徴はなにか、「デンジャー・ゾーン」に対してアメリカはどのように立ち向かうかを冷戦時の教訓をもとにまとめた一冊である。
特に気をつけなければならないのは、2020年代に入り、台湾もアメリカもそして日本でさえも中国の野心に築き、対応を始めたところで、ここ10年が勝負どころでもあるのだが、「デンジャー・ゾーン」においてはグランドストラテジーと機敏な戦術をそれぞれ使う必要があったり、小さな攻撃により相手を踏みとどませる必要があったり、短期的な武力に出ることがないように長期戦に持ち込む必要があったりと、日米台のそれぞれが短期でリスクを取りつつも、長期的な争いに持っていくという至難の業ともいえることをやる必要がある。これを実現するには根気も必要だし、民主政においては政権が変わると国家方針が変わることもあり、簡単なことではないが、台湾が中国の手に落ちたときは自由社会の敗北にもなるので、まずは長期戦に持ち込むために、ここ10年踏ん張るしかない。
文章がロジカルかつ平易で読むやすいので、誰にでもおすすめできる一冊。
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