著者の想定する「台湾有事」を知ることは有益である
台湾有事といえば、戦争が起きる起きないで人それぞれに意見があるところであるが、中国と米国を長年観察してきた著者による台湾有事は戦争そのものが起こるものではない。戦わずして勝つ、あるいは、現代版の兵糧攻めともいうべき、台湾海峡を封鎖して台湾人の心を折るというものである。
台湾海峡の封鎖により、食料不足、燃料不足が起きて不満が続出、同時に台湾に潜伏している工作員が総統をはじめとする政治家の身柄を押さえ、軍部を無力化してしまうことで、台湾を支配下にいれるということになる。
これが起こるとアメリカの介入は無理で、日本が何かできるかというと、多分何もできない。台湾が中共の支配下に入ると、係争地である尖閣諸島どころか、沖縄までも危険な状態になり、文字通り、アジア太平洋地域は中国の支配下になるという悪夢が実現できてしまう。
著者が描く台湾有事を知っておくことは今後の日本がどうするかについての参考になる。もっとも、著者の描く有事が起きないことがもっともいいことなのだけど。